大河ドラマ初出演で知った当時の人々の思い「価値観や常識は違っても、抱く感情は変わらない」新垣結衣(八重)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年5月22日 / 12:00

 NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。名手・三谷幸喜の巧みな脚本と主人公・北条義時役の小栗旬をはじめとした俳優陣の好演により、およそ800年前の平安末期から鎌倉初期を彩った人々の活躍が生き生きと現代によみがえり、好評を博している。その1人が、源頼朝(大泉洋)の最初の妻で、激動する時代に運命を翻弄(ほんろう)された後、義時の妻となった八重だ。演じるのは、これが大河ドラマ初出演となる新垣結衣。「本格的な時代劇は初めて」と語る新垣にとって、本作は収穫の多い現場となった。撮影が進む中で感じた思いを聞いた。

八重を演じる新垣結衣 (C)NHK

-初めての大河ドラマ出演とのことですが、ここまで演じてきて、どんな手応えを感じていますか。

 自分の実になるいい経験ができたと思っています。ファンタジー作品で戦国時代の姫を演じたことはありますが、本格的な時代劇は初めてですし、大河ドラマはもちろん、NHKの連続ドラマに出演することも初めてで、初めてのことが本当にたくさんありましたから。所作などは、現代劇でも姿を美しく見せるのに役立ちそうですし、お着物で過ごす時間も長かったので、体になじんでいく感じがあって、今後、また何かの機会に生かせるのではないかと思っています。

-小栗旬さんとは久しぶりの共演になると思いますが、どんな印象を持っていますか。

 周りをよく見て、いろいろと気に掛けてくださる方です。その印象は以前も今も変わりません。今回共演させていただき、これだけ長い間、一緒にお芝居ができることは本当に光栄です。いろんなお話もしましたが、大河ドラマ初主演に当たって、「引き受ける前に悩み、主役を経験された方に意見を聞いた」とコメントされていたので、「それから半分ぐらいたって、どうですか?」とインタビューみたいなこともやっていました(笑)。

-脚本の三谷幸喜さんと何かやりとりをしたことはありますか。

 どんな声の出し方をすると時代劇に合った表現になるかとか、言葉の意味など、具体的なアドバイスを頂き、語源や由来を改めて考えたりすることは今後、別の作品に携わるときも大事にしていきたいと改めて思いました。うれしい感想もたくさんいただいたので、それを励みに、撮影に臨んでいます。

-それでは、ご自身が演じる八重という人物の魅力をどう捉えていますか。

 「八重姫はこういう人物だった」と史実に残っているエピソードをあらかじめ聞いていたのですが、それと今回のドラマの中での八重は、だいぶ印象が違います。その上で、今回の八重は、自分自身に対しても、周囲の大事な人に対しても、生きることに対して、すごく強い意志を持っているなと。そのために、すがるものを見つける力があるというか、諦めない力があるというか…。演じる上でも、そういう自分が大事にしているものに対しては、揺るがない意志の強さを貫くことができたらと思っています。

-本作には、八重だけでなく、政子(小池栄子)やりく(宮沢りえ)など、強い女性たちが多数登場します。新垣さん自身はこの作品に登場する女性たちをどんなふうに見ていますか。

 現場に時代考証の坂井(孝一)先生がいらっしゃったとき、そういうお話をされていたんですけど、この時代の女性たちは、やっぱり強かったそうです。女性だから、男性だからとか、親だから、娘だからとか、立場がどうとかいうことは関係なく、当時の女性は、割と強かったんだと。頼もしい人たちがたくさん登場しますし、それがもし当たり前だったのだとしたら、いいことですよね。皆さん、とても魅力的だと思います。

-そんな強い女性たちの代表とも言える政子役の小池栄子さんと共演した感想はいかがでしょうか。八重にとって政子は、頼朝の前妻と本妻という関係から、義時の妻になったことで義理の姉に変わるなど、深いかかわりがありますが。

 栄子さんは先輩ですが、当初、役の立場的には八重の方が政子より上だったので、初めて2人が対面するシーンでは、政子に負けないようにしなければとプレッシャーや緊張を感じていました。でも、撮影が始まると、栄子さん演じる政子が、まだ何者でもない1人の女性としてそこにいらっしゃったんですよね。前妻の下に1人で乗り込んできたのはいいものの、ややおびえている…。歴史上の政子のイメージから、そうくるとは思っていなかったので、その顔を見たとき、「政子さんにも、まだ何者でもない少女の時代があった。生きていたんだ」と感じることができたんです。そこに深い感銘と刺激を受けました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

 1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

蓮佛美沙子&溝端淳平「カップルや夫婦が“愛の形”を見直すきっかけになれたら」 グアムで撮影した新ドラマ「私があなたといる理由」【インタビュー】

ドラマ2025年7月1日

 ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む

風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことがうれしい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月29日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。6月29日放送の第25回「灰の雨降る日本橋」では、浅間山の噴火によっ … 続きを読む

Willfriends

page top