【インタビュー】映画『真夜中乙女戦争』二宮健監督 「永瀬くんは、物語を背負う顔をしている」

2022年1月19日 / 07:52

-今回はそれほど多くないですが、監督の作品では必ず時制が行き来します。

 リアルな時間が流れているというよりは、抽象的に流れているということです。それは寝ているときに見る夢がそうですし、映画は時間芸術なので、時間の使い方に関してはこだわりたいと思っている。逆に時間は不可逆というか、絶対に巻き戻せないものだからこそ、映画はそこに自由な翼を持っているような気がしています。

-時計もよく登場するし、冒頭のモノローグ「この映画はあと110分で終わる」など、記憶だけではない時間と映画表現との関係にこだわりがある気がします。

 それでいうと、『真夜中乙女戦争』と『リミット・オブ・スリーピング・ビューティー』『チワワちゃん』は、どれも僕の中で若さを失う映画、青春に別れを告げる三つの映画としてつながっている。より変化が激しい年代の話だからこそ時間の流れに対してもっとリアクションしていく、そういう世界観だと思う。3部作、僕の中の一つのトリロジーになってもいいような、通底するものがあります。

-ラブホテルの部屋のトーンが突然赤から青に切り替わったり、スクリーンが爆発した後にまたスクリーンが立ち現れるといった映画的なビジュアルは、原作を読みながら思い付くのですか。

 場合によりますけど、その二つでいうと、準備して脚本を書いていく中で立ち上がったイメージです。そういったものを思い付く瞬間ってやっぱり楽しいですよね。それが楽しくて映画を撮っているというところもあります。でも、意図が強過ぎても、表現が勝ち過ぎても駄目で、自分の中で、「うわっ、ここだ」っていう道筋を見つけたときの喜びはすごくて、『真夜中乙女戦争』では自分の中のいろんな方法を実現できたと、今までの作品よりもより強く感じています。観客も、この映画を受け止めるための受け皿を作ることになるかもしれません。でも、その行為が、その人のイマジネーションやまなざしの幅を広げるきっかけになってほしい。いつもそう願いながら、映画を作っています。

(取材・文・写真/外山真也)

(C)2022「真夜中乙女戦争」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

石橋静河「皆さんに『一歩前進してみようかな』と思っていただけたら」連続テレビ小説主演に懸ける思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月26日

  -劇中では、渡部篤郎さん演じる珠の父・清治が強烈な存在感を放っています。珠と清治の関係も物語の重要なカギになりそうですが、2人の関係をどのように捉えていますか。  実際のお父様は、宇野千代さんが「ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のよ … 続きを読む

【映画コラム】戦争が終わった後に残るものは…『ハート・オブ・ビースト』『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』

映画2026年9月25日

『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』(9月11日公開)  ニューヨークの貧しい家庭に生まれたアフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソン(ロドニー・ヒックス)は、貧困と差別から抜け出すため18歳で海兵隊に入隊する。1966年、ベトナム戦争 … 続きを読む

市川團十郎、市川新之助「こういう形で記録に残せたのは非常によかったと思います」【インタビュー】『襲名』

映画2026年9月24日

-クライマックスの「勧進帳」で、歴代の團十郎さんによる弁慶と富樫が重なって映るシーンも、三池監督の発案でしょうか。 團十郎 私からは何も言っていません。三池さんが一生懸命にお作りになって、ああいう形になってよかったと思います。父(十二代目) … 続きを読む

尾上松也「金田一耕助を演じる喜びがふつふつと」奥智哉「今の時代にふさわしい作品に」名作ミステリー映画で共演『八つ墓村』【インタビュー】

映画2026年9月18日

-お二人は今回が初共演だそうですが、そういう金田一と辰弥の関係をどのように作っていったのでしょうか。 松也 僕のクランクインが、ロケ地の岡山でちょうど奥さんや堀田(真由/森美也子役)さんと3人のシーンでしたので、初日の撮影が終わった後にみん … 続きを読む

有村架純、石田ひかり、姫野花春「見終わった後ですごく幸せな気持ちになれる映画です」『さとこはいつも』【インタビュー】

映画2026年9月18日

有村 花春ちゃんは、その青さといい輝きといい、本当に今しかないものがしっかりと画面に映っていました。15歳の聡子ちゃんには、まだ名の知れぬ感情がいっぱいある。これからこの子はいろいろな感情を知って大人になっていく。今はそのスタートラインにい … 続きを読む

page top