【インタビュー】いのうえ歌舞伎「狐晴明九尾狩」向井理「挫折の連続だった」劇団☆新感線への思い「ここでしか見られない光景がある」

2021年8月26日 / 08:05

-昨年からのコロナ禍で生活パターンが変わったり、自粛期間があったりと変化もあったと思いますが、何か新しく始めたことはありますか。

 とにかく家と公園の往復しかしていなかった時期がありましたから、その期間は趣味を増やすよりもお芝居の勉強をしようと思い、演劇の本を読み直したりしていました。もちろん、1日1本映画を見たりと、お芝居に触れる時間を必ず取るようにもしていましたが、それだけでなく、昔、購入したいわゆるメソッド法などについて書かれている、演劇の教科書のような本を読んで、改めて学び直していました。そういった勉強や、自分と向き合うということは、時間があるときにしかできませんから。

-自粛期間を終えたときには、演技についての考え方がより深まったのではないですか。

 ここ数年、お芝居を呼吸をするようにしていたところがあったので、改めて「お芝居をするってどういうことなんだろう」と考えるきっかけにもなりました。小道具一つ取っても、その作品の時代にどういう存在だったのか、どうやって使われていたのかを考えるようになりました。例えば、刀もそうだと思います。いつ作られたかということももちろんですが、本当に人を斬るときにはまずは衣服が切れて、皮膚、脂肪、筋肉が切れて、骨に当たって…とスパッと斬れるわけではありません。僕たち役者が、それを本物のように斬ってみせることで、ファンタジーの世界にお客さんを引き込めるのだと思います。こういう細かなものにも執着することが、その世界観を作る上では大事なんだと感じました。

-最後に、公演を楽しみにしている人たちにメッセージを。

 ファンタジーで、突拍子もない世界観の作品ですが、こういったエンターテインメントを最大限楽しめる劇団が、新感線です。毎日、劇場で“お祭り”を開催していますので、ぜひそのお祭りに参加して楽しんでください。

(取材・文・写真/嶋田真己)

2021年劇団☆新感線41周年興行 秋公演 いのうえ歌舞伎「狐晴明九尾狩」

 2021年劇団☆新感線41周年興行 秋公演 いのうえ歌舞伎「狐晴明九尾狩」は、9月17日~10月17日に、都内・TBS赤坂ACTシアター、10月27日~11月11日に大阪・オリックス劇場で上演。

公式サイト http://www.vi-shinkansen.co.jp/kyubi/

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

-実際に福士さんと共演してみていかがでしたか。  とてもすてきな方で、待ち時間にちょっとお話できたんですけど、すごく温厚な方でした。お芝居に関してはすごく真面目でストイックで、「このせりふはこうやって言ってみるのもありかも」というような優し … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

-ご自宅でも絵の練習をされたそうですね。  台本が来るたびに絵を担当するチームとの打ち合わせがあり、練習用の絵が並んだ計算ドリルのようなプリントを数十枚いただくので、それを自宅に持ち帰り、宿題のように繰り返し描いて練習していました。 -歌麿 … 続きを読む

「べらぼう」ついに完結! 蔦重、治済の最期はいかに生まれたか?「横浜流星さんは、肉体的にも作り込んで」演出家が明かす最終回の舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月14日

-治済役が大きな話題となった生田さんについて、撮影を通じて感じた俳優としての魅力を教えてください。  生田さんで印象に残っているのが、何事にも動じないことです。常に泰然自若として、変なクセを出さない。ある意味、視聴者に想像させるようなキャラ … 続きを読む

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

Willfriends

page top