「僕が吉沢さんをリスペクトする気持ちを、うまく芝居にリンクさせられたら」志尊淳(杉浦愛蔵)【「青天を衝け」インタビュー】

2021年8月15日 / 20:50

 4週間ぶりに放送が再開されたNHKの大河ドラマ「青天を衝け」。幕府のパリ万博使節団の一員に加わった主人公・渋沢栄一(篤太夫/吉沢亮)が出会ったのが、外国奉行支配を務める杉浦愛蔵だ。これをきっかけに栄一と友情を結んだ杉浦は、後に郵便制度の確立に尽力するなど、共に明治政府で活躍することとなる。演じるのは、大河ドラマ初出演となる志尊淳。撮影の舞台裏や役に込めた思いを語ってくれた。

杉浦愛蔵役の志尊淳

-大河ドラマ初出演が決まったときの気持ちは?

 最初に、「半分、青い。」(18)でご一緒させていただいた田中健二監督からお話を頂きました。その時点で、撮影まであまり時間がないということで、僕自身、今まで日本史に関心を持ってこなかったこともあり、どのぐらい役を作り込んでいけるのか心配でした。それでも田中さんから「ぜひ」と言っていただけたので、「僕で力になれることがあれば」という気持ちでお引き受けしました。だから、大河ドラマに出演できる喜びはもちろんありますが、それ以上に同じ監督にもう一度呼んでいただけたことや、初めて総髪のかつらをつけた芝居に挑戦できるワクワク感の方が大きかったです。

-演じる杉浦愛蔵という役の印象は?

 お話を頂いたときは杉浦愛蔵という方を知らなかったので、いろいろ調べさせていただきました。そうしたら、今までフォーカスされてこなかっただけで、実際はものすごい功績を挙げていらっしゃる方だったんだな…と。人柄も愛されていて、陰で渋沢さんをしっかり支えていた。そういう史実を知り、いかにも“武士”といった雰囲気とは違うアプローチで、渋沢さんを支えられるような役柄にしたいし、きっとそんな方だったんじゃないかな、という印象を持ちました。

-杉浦はやがて栄一と親友のような関係になっていきますが、その距離感を表現する上で心掛けていることは?

 2人が仲を深めていく過程が全て描かれるわけではないので、そこは大変だな…と思っていた部分です。役柄やせりふを通して伝わるお互いの雰囲気や距離感を尊重したかったので、あからさまに「仲良くやっていきましょう」「親友になりましょう」という空気は違うでしょうし…。だから、どんなふうにアプローチすればいいのか悩みましたが、結局、その場、その場に応じて僕が杉浦愛蔵として渋沢さんを献身的にサポートすることが、2人の絆につながるんじゃないかな…と。

-杉浦にとって栄一はどんな存在でしょうか。

 自分ができないことに対して、率先して前に出て、身を削って突き進んでいく人の姿に感化されることってありますよね。杉浦も、そういう渋沢さんの姿に魅力を感じて「この人の役に立ちたい。この人にもっと先を走ってほしい。だから支えたい」という思いを強く持ったのかな、と。ただ、渋沢さんが主役とはいえ、前を走る人だけが主役とは思っていません。それぞれに役割があるわけですから、僕は杉浦として「支える」という大変な仕事に全力で取り組むつもりです。

-なるほど。

 ただ、それはドラマの中で描かれることではなく、僕が演じる上で感じていることです。だから、僕が普段、吉沢さんをリスペクトする気持ちや魅力的だと感じている空気感を、うまく芝居にリンクさせられたら…と思っています。

-栄一役の吉沢亮さんの印象は?

 吉沢さんとしっかり共演するのは今回が初めてですが、大河ドラマという歴史のある作品で、同じ役を1年通して演じるのは、役者としてものすごく試されますし、学ばなければいけないことも多いはずです。それを1年間やり遂げるということだけで尊敬してしまいます。そばで見ていても、せりふの量がものすごい上に、普段使い慣れていない言葉を常に練習していて、本当にすごいな…と。これを1年間続けるのは、半端な気持ちでできることではありません。どこかで息抜きしてほしいところですけど、会話をする中で、笑顔が垣間見えるときがあるので、そこはよかったな…と安心しているところです。撮影も、2人で楽しくコミュニケーションを取りながら進めています。

-出演が決まってから撮影まで、あまり時間がなかったとのことですが、撮影が進む中で手応えはどんなふうに感じていますか。

 手応え、という意味では、今のところまだ確かなものはありません。もちろん、できる限りのことはやっていますが、何が正解か分からないので、難しいですね。時代劇ということで、最初の所作指導から「普通に歩くことができない」ということが衝撃的でしたし、言葉も普段通りでは通用せず、アドリブも入れられませんし…。時代考証的にきちんとやらなければいけない部分もありつつ、そこにとらわれ過ぎると芝居に気持ちが入らなくなってしまうので、その折り合いも難しいところです。現代劇であれば、今までの経験から自分なりに「これが正解」と思えるものもありますが、今回は役者として壁にぶつかることばかりで。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

中川大志、三谷幸喜の最新作は「現代にも通ずる、過去の出来事として片付けられないもの」を描く PARCO PRODUCE 2026「アメリカン・ドリーム」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年8月8日

 三谷幸喜が長年温めていたテーマを豪華キャストで描く、渾身(こんしん)の書き下ろし新作舞台「アメリカン・ドリーム」が8月15日からPARCO劇場で上演される。本作は、1940年代後半のアメリカを舞台に、反共産主義に基づく“赤狩り”によって告 … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#韓国人はなぜ「呼称整理」をするのか、「脱出おひとり島」が映す韓国社会

2026年8月7日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

福原遥「自分の大切な人を大事にして生きていこうと思いました」【インタビュー】『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』

映画2026年8月6日

 大ヒット映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の続編にして完結編『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』が8月7日から全国公開される。前作に続いて主人公の百合を演じた福原遥に話を聞いた。 -始めに、前作『あの花が咲く丘で、君とま … 続きを読む

【映画コラム】7月の公開映画から

映画2026年8月3日

「トイ・ストーリー5」(7月3日公開)★★★ おもちゃを取り巻く“変化”を描く  持ち主の少女ボニーの成長を見守ってきたカウガール人形のジェシー。だが、タブレット端末「リリーパッド」の登場で、ボニーは画面の世界に夢中になり、おもちゃと遊ぶ時 … 続きを読む

「ConChu!」が大昆虫展アンバサダーに就任! ハロプロ研修生から羽化した4匹たちの、その先とは

インタビュー2026年7月31日

 夏休みの人気イベント「大昆虫展 in 東京スカイツリータウン(R)」のアンバサダーに、杉原明紗(モーニング娘。’26)、長野桃羽(アンジュルム)、西村乙輝(つばきファクトリー)、相馬優芽(ロージークロニクル)による特別ユニット … 続きを読む

page top