エンターテインメント・ウェブマガジン
佐々木蔵之介がプロデュースする「Team申」の11年ぶりとなる本公演「君子無朋~中国史上最も孤独な『暴君』雍正帝~」が、7月17日から上演される。本作は、清の第5代皇帝で、玉座に座ることなく執務室で毎日20時間働き、最期は過労死したという仮説が有力視される“雍正帝”の生涯を描いた作品。雍正帝を演じる佐々木に、公演への意気込みや役作りについて聞いた。
この企画は、僕がテレビのドキュメンタリー番組(2020年放送の「中国王朝 英雄たちの伝説」)で中国ロケに行き、そこで暴君としての雍正帝のことを知ったことがきっかけでした。雍正帝は中国でもあまり知られていない皇帝ですが、とてもドラマチックな人生を送った人です。究極の独裁者でもありますが、これは舞台化したら面白いんじゃないかと思ったことからスタートしました。
いや、多くの方が知らないと思います(笑)。それでいいんです。知らない方に、この作品を通して知っていただければと思っています。
ほぼ史実なんです。それが面白い(笑)。彼は、作物の収穫のために神にお祈りをするときぐらいしか北京から出なかったそうなんです。それ以外は養心殿という小さな部屋で、働きづめだった。物語には「本当にこんなことあったの?」というエピソードがたくさん出てくると思いますが、全部本当にあったことです。今回、戯曲を阿部修英さんが書いてくださいました。彼は戯曲を書くのは初めてですが、中国通で雍正帝についても何を聞いても答えられるぐらい詳しいので、たくさんの興味深いエピソードを織り込んで作品にしてくださいました。
中国ロケに行ったときに、一番に感じたのは「天子(中国の皇帝の呼称)」って何なんだろうということでした。天子には父も母もなく、家族がいない。本作のタイトルにあるように君子(高位の人を指す言葉)には「無朋」(ともなし)で、周りに友も作らなかったのです。雍正帝は、その覚悟を持って生きた人だと思います。なので、僕はまず、「天子」がどういったものなのかを知って、その上で、覚悟を持った孤独な人間である彼を作っていこうと考えました。それから、彼の功績は、究極の独裁政治により、見事に一国の「未来」を導いたところにあると思うので、それをいかに楽しく見せられるかにこだわっていきたいと思います。
例えば、彼は、中央のエリート役人をすっ飛ばして、地方の末端役人と直接、手紙のやりとりをしていました。それって現代でいったら、大企業の社長が地方の支店長にSNSで細かい数字の指示を出しているようなものですよ(笑)。夜中に「明日中に改善策を出して」と言ってきたらたまったものじゃないですよね(笑)。そんなことを雍正帝はずっとやっていた。血を吐きながら、玉座に座りもせずに。それで、息抜きに? コスプレをしていた。そう考えると、ワーカーホリックだけど、何てユニークな皇帝なんだなと感じました。
中村さんに演じていただくのは若い地方官の役なので、真っすぐで熱のある人がいいなと思っていて、それが中村さんのイメージにぴったりでした。戯曲も完成していない段階でお願いしたのに、よく引き受けてくれたなとありがたく思っています。映画で一度、同じ作品には出演したことがあるのですが、絡むシーンはなかったので、今回、一緒にお芝居ができることをとても楽しみにしています。
映画2025年9月18日
『宝島』(9月19日公開) 1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。 村の英雄でリーダー格のオン(永山瑛太)と弟のレイ(窪田正孝)、彼らの幼なじみ … 続きを読む
2025年9月18日
朝鮮の文化を近代日本に紹介した民藝運動家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎。彼らが1930年代に見た朝鮮の風景に憧れ、1970年に韓国の農村を訪れたのが写真家の藤本巧さんだ。以来50年以上にわたり、韓国の人々と文化をフィルムに刻み続けてきた。 … 続きを読む
映画2025年9月18日
世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む
映画2025年9月16日
東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む
映画2025年9月12日
ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む