【インタビュー】舞台「君子無朋~中国史上最も孤独な『暴君』雍正帝~」佐々木蔵之介、11年ぶりの主宰公演で初の皇帝役「ただの暴君では終わらない」

2021年7月6日 / 08:00

 佐々木蔵之介がプロデュースする「Team申」の11年ぶりとなる本公演「君子無朋~中国史上最も孤独な『暴君』雍正帝~」が、7月17日から上演される。本作は、清の第5代皇帝で、玉座に座ることなく執務室で毎日20時間働き、最期は過労死したという仮説が有力視される“雍正帝”の生涯を描いた作品。雍正帝を演じる佐々木に、公演への意気込みや役作りについて聞いた。

佐々木蔵之介 (ヘアメイク:晋一朗/スタイリスト:勝見宜人(Koa Hole))

-久しぶりの「Team申」の本公演になります。どういった思いから、本作の上演に至ったのでしょうか。

 この企画は、僕がテレビのドキュメンタリー番組(2020年放送の「中国王朝 英雄たちの伝説」)で中国ロケに行き、そこで暴君としての雍正帝のことを知ったことがきっかけでした。雍正帝は中国でもあまり知られていない皇帝ですが、とてもドラマチックな人生を送った人です。究極の独裁者でもありますが、これは舞台化したら面白いんじゃないかと思ったことからスタートしました。

-今回の話を聞くまで、雍正帝という人物を知りませんでした。

 いや、多くの方が知らないと思います(笑)。それでいいんです。知らない方に、この作品を通して知っていただければと思っています。

-本作で描かれる雍正帝は、1日20時間、部下に罵詈(ばり)雑言を浴びせてパワハラをするなど、まさしく“暴君”ですが、作中に出てくるエピソードは史実通りなのですか。

 ほぼ史実なんです。それが面白い(笑)。彼は、作物の収穫のために神にお祈りをするときぐらいしか北京から出なかったそうなんです。それ以外は養心殿という小さな部屋で、働きづめだった。物語には「本当にこんなことあったの?」というエピソードがたくさん出てくると思いますが、全部本当にあったことです。今回、戯曲を阿部修英さんが書いてくださいました。彼は戯曲を書くのは初めてですが、中国通で雍正帝についても何を聞いても答えられるぐらい詳しいので、たくさんの興味深いエピソードを織り込んで作品にしてくださいました。

-そうした皇帝を演じるに当たって、現在(取材当時)はどのように役作りをしようと考えていますか。

 中国ロケに行ったときに、一番に感じたのは「天子(中国の皇帝の呼称)」って何なんだろうということでした。天子には父も母もなく、家族がいない。本作のタイトルにあるように君子(高位の人を指す言葉)には「無朋」(ともなし)で、周りに友も作らなかったのです。雍正帝は、その覚悟を持って生きた人だと思います。なので、僕はまず、「天子」がどういったものなのかを知って、その上で、覚悟を持った孤独な人間である彼を作っていこうと考えました。それから、彼の功績は、究極の独裁政治により、見事に一国の「未来」を導いたところにあると思うので、それをいかに楽しく見せられるかにこだわっていきたいと思います。

-その彼の面白さを、具体的にどんなところに感じていますか。

 例えば、彼は、中央のエリート役人をすっ飛ばして、地方の末端役人と直接、手紙のやりとりをしていました。それって現代でいったら、大企業の社長が地方の支店長にSNSで細かい数字の指示を出しているようなものですよ(笑)。夜中に「明日中に改善策を出して」と言ってきたらたまったものじゃないですよね(笑)。そんなことを雍正帝はずっとやっていた。血を吐きながら、玉座に座りもせずに。それで、息抜きに? コスプレをしていた。そう考えると、ワーカーホリックだけど、何てユニークな皇帝なんだなと感じました。

-今回、中村蒼さんにオファーしたのはどのような思いからですか。

 中村さんに演じていただくのは若い地方官の役なので、真っすぐで熱のある人がいいなと思っていて、それが中村さんのイメージにぴったりでした。戯曲も完成していない段階でお願いしたのに、よく引き受けてくれたなとありがたく思っています。映画で一度、同じ作品には出演したことがあるのですが、絡むシーンはなかったので、今回、一緒にお芝居ができることをとても楽しみにしています。

 
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