「五代さんとの不思議な縁を改めて感じました。再び演じさせていただけることは光栄です」ディーン・フジオカ(五代才助(友厚))【「青天を衝け」インタビュー】

2021年6月20日 / 20:50

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「青天を衝け」。主人公・渋沢栄一(吉沢亮)が一橋家に仕えるようになり、劇中にはさらに多彩な人物が姿を見せるようになってきた。その1人が、薩摩藩士・五代才助(友厚)だ。今は薩摩藩の一藩士に過ぎないが、今後、日本の近代化が進む中で実業家として名を成し、「西の五代、東の渋沢」と称されるようになる。演じるのは、連続テレビ小説「あさが来た」(15~16)の五代役で大ブレークしたディーン・フジオカ。5年ぶり二度目となる五代役に懸ける思いを語ってくれた。

五代才助(友厚)役のディーン・フジオカ

-「あさが来た」に続き、再び五代役に決まったしきの気持ちは?

 五代さんとの不思議な縁を改めて感じました。率直にとてもうれしかったですし、こういう形で再び同じ偉大な先輩を演じさせていただけるのは、すごく光栄なことだなと。興奮しました。

-本作の脚本は「あさが来た」と同じ大森美香さんが担当していますが、五代という人物は、ディーンさんの中で「あさが来た」からつながっている感じでしょうか。

 大森さんが脚本を書かれていることを含め、「あさが来た」があった上で今回につながっているとは思いますが、演じる上では、「あさが来た」の五代さんを踏襲しているわけではありません。

-服装や髪形も「あさが来た」のときとは異なると?

 全く違います。衣装は今回のための特注ですし、髪形も今回のキャラクターに合わせた新しいものになっています。せりふも、「あさが来た」では関西弁が多かったと思いますが、今回は今のところ、外国語を使う場面を除き、基本的に薩摩弁です。

-そうすると、また新しい五代という人物を演じている感覚でしょうか。

 そうですね。現場で演出をつけていただき、役者の方々とやり取りをさせていただく中で、撮影初日からアプローチが違うと感じました。それがすごくフレッシュな感覚で、新しいことに挑戦しているというワクワク感を自分の中で明確に感じることができました。おかげで、いい意味で「あさが来た」を引きずらずに演じることができています。

-今回演じる上で意識していることは?

 「あさが来た」でやっていたことに固執しすぎない、ということを意識している気がします。朝ドラと大河ドラマでは焦点が違いますし、大河でしかできないこと、この作品の中でやるべきことがあります。自分がそこに五代役として参加させていただく上では、最も力を発揮できる形で現場にいたい。そういう意味で「あのときはこうだった」と、過去のことに固執しないように…と。

-「青天を衝け」の五代の魅力とは?

 意外にワイルドだな…と、第十三回の初登場シーンのときに感じました。どういう表現が正しいのか分かりませんが、野性味あふれるというか、型にはまらないキャラクターとして描かれていることに、すごくワクワクしました。「あさが来た」のときには、ああいうシーンはありませんでしたから。「ここまで解放していいんだ?」と、あのシーンで自分自身も気付かされたような気がします。

-五代という人物と改めて向き合った手応えは?

 自分がこの仕事を離れて一人の人間として生き、仕事をしていく上での指針になるような言葉がたくさん散りばめられています。そういう意味では、大森さんの脚本を通して、後世に残すべき五代さんの知恵や思い、みたいなものを全身で受け止めている気がしています。

-指針になるような五代の言葉とは、具体的にどんなものでしょうか。

 例えば、初登場の場面で口にした「捨小就大」(しゃしょうしゅうだい)。仕事というのは、常に締め切りやバジェット、マンパワーなど、いろいろと決められた条件の中でゴールを達成するものなので、必然的に優先順位が生まれてきます。それはどんな業種であっても基本的に同じだと思いますが、その優先順位の中で、小を捨てて大を求めることが、時にリスクを取るように思えることがあるかもしれません。でも、そんなふうに先見性を持ち、現実を真正面から受け止めることによって、未来に向かって着実に進んでいくことができる。大森さんが書かれた脚本の中の五代さんのその言葉に、ハッとさせられました。

-ディーンさんが考える五代の魅力が発揮されたシーンは?

 全てです。全シーン、役を離れて見ると、「こういうふうに物を考えて行動できたら、カッコいいな」と思います。逆に言うと、自分が普段言っていることややっていることは、五代さんに教えてもらったことを、そのまま現代に移して実行しているのかな、と錯覚するほど。それぐらい偉大な知恵と行動力を持った先輩だな、と改めて気付かされました。今のところ毎回とても印象的なシーンになっていて、ギュッと密度の濃いやり取りがあります。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

黒崎煌代 遠藤憲一「新しいエネルギーが花開く寸前の作品だと思います」『見はらし世代』【インタビュー】

映画2025年10月15日

 再開発が進む東京・渋谷を舞台に、母の死と残された父と息子の関係性を描いた『見はらし世代』が10月10日から全国公開された。団塚唯我のオリジナル脚本による長編デビュー作となる本作で、主人公の蓮を演じた黒崎煌代と父の初を演じた遠藤憲一に話を聞 … 続きを読む

草なぎ剛「今、僕が、皆さんにお薦めしたい、こういうドラマを見ていただきたいと思うドラマです」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」

ドラマ2025年10月14日

 草なぎ剛主演の月10・新ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時/初回15分拡大)が13日から放送スタートとなった。本作は、妻を亡くし、幼い息子を男手一つで育てるシングルファーザ … 続きを読む

川島如恵留「僕にとって一番の幸福は、メンバーといられること」 初の単独主演舞台に挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月13日

 Travis Japanの川島如恵留が主演する舞台「すべての幸運を手にした男」が11月14日から東京グローブ座で上演される。世界を代表する劇作家アーサー・ミラーの初期の名作として名高い本作は、主人公デイヴィッド・ビーヴスに思いもかけない幸 … 続きを読む

妻夫木聡、佐藤浩市「この物語は馬と人の継承を描いていると感じました」日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年10月12日

 TBSでは、10月12日(日)午後9時から、妻夫木聡が主演する日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」が放送スタートする。本作は、競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の … 続きを読む

中村ゆり「草なぎ剛さんは包容力があって“人の痛み”が分かる方」 ドラマ「終幕のロンド」【インタビュー】

ドラマ2025年10月10日

 草なぎ剛が主演する月10ドラマ「終幕のロンド —もう二度と、会えないあなたに—」(カンテレ・フジテレビ系)が、13日から放送がスタートする。本作は草なぎが演じるシングルファーザーで遺品整理人の鳥飼樹が、遺品整理会社の仲間と共に仕事に向き合 … 続きを読む

Willfriends

page top