【インタビュー】映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』市原隼人「リカが夢に出てきそうです(笑)」

2021年6月17日 / 06:30

 第2回ホラーサスペンス大賞を受賞した『リカ』シリーズが、ドラマ化を経て、ついに映画化。『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』として6月18日から公開される。本作は、幼い頃から愛に恵まれなかった雨宮リカ(高岡早紀)が、運命の男性を手に入れるために、最恐の“純愛モンスター”と化していくさまを描いたラブサイコスリラー。殺人犯となったリカを追いながら、次第にその怪しい魅力に引かれていく警視庁捜査一課の奥山次郎を演じた市原隼人が、映画の見どころなどを語った。

市原隼人(メーク:大森裕行(VANITES)/スタイリスト:小野和美)

-オファーを受けたときの感想を教えてください。

 長く愛されてきた作品ですので、映画で参加できることをうれしく思いました。リカは一見、偏った感情を持った人間に見えますが、普遍的な存在でもあり…。つまり、誰もが一瞬の選択肢を誤ることよって、リカのような人間になってしまう可能性があるのではないかと思います。

-市原さんは、狂気の愛を描いたこの作品をどのように捉えましたか。

 僕らは社会で生きる中で、ルールや規則、秩序、価値観などを植え付けられていくのですが、リカという人間は常に1人で育ってきたような人間で、自制心がない。ある意味、ありのままの人間の私利私欲を見ていただける作品だと思います。この作品を見て、悲鳴を上げるのか、声高らかに笑うのか、あるいは自身の代弁者と捉え、リカの行為を見て気持ち良くなるのか…。お客さまが自分で自分を試せるような作品になっています。

-リカを演じた高岡早紀さんとは初共演でしたが、印象はいかがでしたか。

 すごい女優さんだと思いました。芝居で、ちょうどいいところで、一筋の涙をパッと流すシーンがありまして、素晴らしいなと。しかもカメラに近い方の目から流すんです。すごく柔軟で、透き通ったイメージ。どこにいても違和感がないような方です。そんな自然な方がリカを演じるからこそ、恐ろしくなるのだな…と感じました。

-婚約者で同僚の孝子役を演じた内田理央さんとの共演はいかがでしたか。

 理央ちゃんも自然体でいてくださったので、演じやすかったです。印象的だったのは、給湯室のシーン。結構せりふも多く、これは時間が掛かるな…と思ったシーンの撮影が、すごく早く終わったんです。テストもあまりせず、段取りもそこまでせず、一気にバーンと撮って「OK!」みたいな。それを一緒にやり遂げたぞ、ということで同志みたいな気持ちが芽生えました(笑)。

-そんな次郎ですが、劇中ではリカに魅了されるような描写もありました。

 次郎には孝子という大切な存在がいるのに、なぜリカにそこまで引かれてしまったのか。そこは慎重に演じました。高岡さんとは、初日がキスシーンだったので、恥ずかしかったです。それはすごく覚えています。自分でも、何という世界観なんだ、と思っていました。まさか『リカ』でキスシーンがあるとは思わなかったので(笑)。

-次郎がなぜリカに引かれてしまったのか、その答えは出ましたか。

 人間、誰しも弱い部分があって、どこかにトラウマを抱えていると思うんです。どんなに気丈に振る舞っている人でも、手を伸ばして助けてもらいたい一面があるはずで、次郎は、それがちょうど、リカという存在と重なってしまいました。最初、刑事役ということで、肉体的なアクションシーンをイメージしていたのですが、実際に演じたのは間違いなく、精神的な内面の深いところでの心理戦でした。

-結局、次郎はリカを本当に好きになったのでしょうか。

 すごく難しい。答えがないのが次郎なんです。警察官、公務員であり、いろんなものを背負いながらも、常に中立の立場で人間を見る次郎が、基準が分からなくなる瞬間が出てくる。そこから、迷子になって、怒濤(どとう)のように、リカに転がされてしまう。僕自身、リカは自分の犯した罪を償うべきだと思うのですが、リカ自身を責めることが、途中で、できなくなってしまいました。

-責めることができないとは?

 今回、リカの人格形成に関わる幼い頃の話なども少し出てきます。善と悪は紙一重であって、それぞれに正義がある。誠実でまっとうな人間に正義があるように、悪人にも正義はある。よく母に「人の罪は恨んでも人は恨むな」と言われたのですが、確かにその通りで、自分がそうなるつもりがなくても、リカは必然的にそういう人間になってしまった。僕は、奥山がリカを何かしらの形で、助けることができるのではないかと思ってしまいました。

-リカは、「愛しているから」という理由で、相手を壊してしまうような女性ですが、理解できる部分もあったということですか。

 共感する部分はたくさんあると思います。人は瞬発的に何かを思っても、その感情を抑え込んで生きているわけで、僕もその1人だと思うので…。ただ、リカが誰かを好きだからといっても、自分の私利私欲を相手に押し付けてはいけないですよね。見終わった後に、感想を話し合ってもらいたいです。それが夫婦であっても、カップルであっても、友達同士でも、笑ってキャッキャ言いながら、話が止まらなくなると思います。あなたはリカを許せるか、許せないか。理解できるのか、理解できないのか。周りにリカのような人はいるのか。あるいは、自分自身がリカなのではないかとか…。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ドラマ「LOST10」脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る【インタビュー】

ドラマ2026年10月16日

 横浜流星が主演する金曜ドラマ「LOST10」が、16日22時からTBS系でスタートする。大河ドラマ以来の民放連続ドラマ出演となる横浜が、映画『国宝』の脚本家・奥寺佐渡子と再タッグ。「Nのために」「最愛」などを手掛けた塚原あゆ子監督、新井順 … 続きを読む

磯村勇斗「吉田監督の世界に入れることが楽しみでした」吉田恵輔監督「磯村くんは思考が自分に近い」初顔合わせの舞台裏『mentor』【インタビュー】

映画2026年10月15日

 かつて、花火遊びをきっかけにアパートを全焼させてしまった2人の少年、龍之介(磯村勇斗)と拓海(末澤誠也)が15年ぶりに再会。さらに、その火事で大火傷を負い、妻子を失った被害者・埜本(綾野剛)と交流する中で、2人は運命を狂わせていく…。   … 続きを読む

キタオ・サクライ監督「自分が夢中になってプレーしていた、子どもの頃の高揚感を生かしたいと思いました」『ストリートファイター/ザ・ムービー』【インタビュー】

映画2026年10月15日

 1993年。かつて共に天才格闘家として名をはせたリュウとケンは兄弟のような存在だったが、ある理由から疎遠になっていた。そんな彼らの前に謎の女性格闘家・春麗が現れ、「ワールド・ウォリアートーナメント(世界格闘王決定戦)」の招待状を差し出す。 … 続きを読む

山下幸輝、初めての舞台出演への思い「踏み込んで挑戦しよう」 福田雄一演出のコメディーで「笑わせたい」ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月15日

 山下幸輝が出演する、ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」が、2027年1月からEXシアター有明で上演される。本作は、イギリスの国民的人気コメディ・グループ、モンティ・パイソンの「アーサー王伝説」をベースにした映画『モンティ … 続きを読む

西川美和監督、小八重葵美「子どもたちが本当にみずみずしくて素晴らしいので、ぜひそれを映画館に見に来ていただきたいと思います」『わたしの知らない子どもたち』【インタビュー】

映画2026年10月15日

 戦争で家族と日常を奪われた12歳の少女・琴子は、生き延びるため自らの性別を隠し、少年として生きることを選ぶ。西川美和が原案・脚本・監督を務め、戦後の日本で家族を失い社会からこぼれ落ちた子どもたちを題材に描いた『わたしの知らない子どもたち』 … 続きを読む

page top