幕府のかじ取りに苦悩しつつ、いちずに妻を愛する若き将軍役「和宮様は家茂にとって大きな存在です」磯村勇斗(徳川家茂)【「青天を衝け」インタビュー】

2021年6月13日 / 20:50

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「青天を衝け」。主人公・渋沢栄一(篤太夫/吉沢亮)が、徳川慶喜(草なぎ剛)の家臣となり、幕末の騒乱もいよいよ本格化してきた。江戸幕府第14代将軍としてその渦中に身を置くのが、徳川家茂だ。権力争いに巻き込まれた末の若過ぎる将軍就任で幕府のかじ取りに悩む一方、政略結婚であるにもかかわらず、天皇家から迎えた妻・和宮(深川麻衣)をいちずに愛するなど、その人間味あふれる姿は心に残る。演じる磯村勇斗が、役に込めた思いや撮影の舞台裏を語ってくれた。

徳川家茂役の磯村勇斗

-第十八回(6月13日放送)は、家茂と和宮の仲むつまじい姿が印象的でした。

 「私は武家の棟梁でありながら、何かと争うよりも、あなた様とずっとこうしておりたいと心の奥で願ってしまう」というせりふは印象的でした。すごくロマンチックですよね。若いからこそ出てくる言葉なのかな、と思いましたし、本当に愛していたから出てくるんだろうな…と。台本を読んでも、自分で言っていても、「ものすごく愛のあるせりふだな…」と感じました。

-家茂にとって和宮はどんな存在だったのでしょうか。

 政略結婚だったとはいえ、家茂は和宮様に対して、1人の女性としてきちんと愛したいという気持ちが強かったと思うんです。他の女性を好きにならず、和宮様しか見ていなかったわけですから。そういうことを考えると、いちずに思っていたし、心の支えにもなっていたんだろうな…と。いろいろな人々に翻弄(ほんろう)される中、精神的に耐えられたのは、和宮様がいてくれたおかげ。そういう意味では、家茂にとっては大きな存在です。

-和宮とのシーンの撮影はいかがでしょうか。

 すごく温かな時間が流れていたな…と。深川さんと呼吸が一緒になっていたような時間の流れというか、お芝居の間尺を感じたりして…。深川さんとはこれまで何度かお会いしたことがありますし、共通の知人もいたので、撮影の合間にはそういう話をして、楽しく過ごしていました。おかげで、見ていて心が苦しくなる部分がありながらも、どこか「この2人が幸せであってほしい…」と思えるシーンになったのではないでしょうか。

-第十八回では、かっちゅうを身に付ける場面もありましたね。

 身が引き締まりました。別に磯村勇斗自身が戦に行くわけでもないのに、着るだけで、「これから戦だ!」という気持ちになって。かっちゅうの重さもあり、ものすごく背筋が伸びました。

-改めて、磯村さんの考える家茂の魅力とは?

 ドラマに登場した時13歳だった家茂は、幼いまま将軍になり、21歳で亡くなります。その間、さまざまな難しい問題に直面していきますが、分からないながらも一生懸命、その時代を自分で背負っていこうとし、同時に和宮様も一筋に愛していた。そんなふうに、ものすごく心が豊かで、気遣いのできる人だと思ったので、変に威張ったり威圧的になったりするのではなく、どんな身分の人に対しても寄り添える将軍になればいいな…と。そんなことを考えながら演じています。

-そういう意味では、家茂は穏やかな表情が印象的ですが、それは自然に出てきたものでしょうか。

 そうですね。意識しているのは、「そのシーンで、家茂としてどう振る舞えばいいか」ということだけで、特に「こういう表情をしよう」と考えているわけではありません。気持ちが穏やかでいられるからこそ、そういう表情が出てくるのでしょう。そういう意味では、現場にストレスのたまるようなことがないおかげかもしれません。役に忠実に生きることだけを考えていられるので。

-将軍としてはさまざまな人たちの間で翻弄され、苦しい立場にありますが、演じてみて家茂の苦労を実感した部分はありますか。

 かわいそうだな…ということは改めて実感しました。いろいろな人の意見を聞かなければいけないのに、それぞれちぐはぐなことを言ってくるわけですから。だから、すごく苦しかったのではないでしょうか。甘党になったのは、そのせいかもしれません(笑)。

-慶喜との関係性についてはいかがでしょうか。

 未熟な家茂を支えてくれたり、喝を入れてくれたり、慶喜は何かと助けてくれてはいるんですよね。ただ、家茂自身にはどこか「悔しい」と感じている部分もある。自分の力不足のために、いいところを全て慶喜に持っていかれてしまうわけですから。でも、お互いにそれを口に出すわけではないので、表面的な関係が亡くなる間際まで続いてしまったような気がします。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「豊臣兄弟!」第26回「信長を笑わせろ!」 人間ドラマと華やかなエンターテインメントが一体になった大河ドラマならではのエピソード【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年7月10日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。7月5日放送の第26回「信長を笑わせろ!」では、小 … 続きを読む

花總まりがアガサ・クリスティに 失踪の謎を追うミュージカル「AGATHA(アガサ)」で「ミステリーの世界を体感していただけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年7月9日

 イギリスを代表する推理小説家で“ミステリーの女王”と呼ばれたアガサ・クリスティが失踪した実話を元にしたミュージカル「AGATHA(アガサ)」が7月18日から上演される。本作は、アガサ・クリスティが失踪した11日間の謎を追う物語。現在(19 … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#セブチを見ていると分かる、韓国の年齢の不思議

2026年7月8日

   K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り … 続きを読む

小栗旬「織田信長は、気づいたら“破壊神”になっていた」“本能寺の変”迫る!【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年7月5日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 20:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄の秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。7月12日放 … 続きを読む

唐沢寿明「原点回帰をした感じがしました」『トイ・ストーリー5』【インタビュー】

映画2026年7月3日

 おもちゃと子どもの絆を描いてきたディズニー&ピクサーの人気シリーズの最新作『トイ・ストーリー5』が、7月3日から全国公開された。現代的なテクノロジーというかつてない脅威に、おもちゃたちが手を取り立ち上がる姿を描いた本作で、30年来、主人公 … 続きを読む

page top