平岡円四郎、壮絶な最期の舞台裏!「『人生最高の時に突然、途切れるように死んだ』というふうに描きたいと思っていました」村橋直樹(演出)【「青天を衝け」インタビュー】

2021年5月30日 / 20:50

-見どころ満載の回でしたが、その他で特に印象に残ったシーンは?

 どれもすごく熱いシーンを書いていただいたおかげで、すべての役者さんが想像を超えてきてくれたと思います。その中でも特に印象的だったのが、息子を全員、役人に連行されてしまった(尾高)やへ(手塚理美)が、「水戸が憎い」と怒りをあらわにするシーンです。もともと、台本にはなかったんですけど、手塚さんが「息子の名前を一人ずつ呼びたい」とおっしゃったので、家の中に独りぽつんと座って名前を呼ぶところからお芝居を撮らせていただきました。台本では2行ぐらいのシーンですが、それを手塚さんがあそこまで膨らませてくださって…。僕も子どもがいるので、心にくるものがありました。

-今後、期待していることは?

 今は共に一橋家にいる慶喜と栄一ですが、これから離れ離れになり、栄一の地位はどんどん上がっていきます。やがて年を重ね、近代日本の礎を築き上げるほどの人物になったとき、ふと慶喜のことを思い出し、慶喜の伝記の編纂を始めるんです。そのとき、なぜ栄一の気持ちが慶喜に戻ったのか。その瞬間を大森さんがどんなふうに描いてくるのか。それがすごく楽しみです。これから栄一は、円四郎の遺志をバトンのように受け継いでいくことになるので、第十六回はそういう先のことも見すえて演出したつもりです。

(取材・文/井上健一)

渋沢栄一役の吉沢亮(左)と平岡円四郎役の堤真一

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  ―確かにその通りですね(笑)。  ただ、大半は史実通りですが、(小田)新之助(井之脇海)とふく(=うつせみ/小野花梨)ととよ坊の一家、序盤に登場した蔦重の恩人の花魁・朝顔(愛希れいか)など、一部に私が創作したオリジナルキャラもいます。と … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』『栄光のバックホーム』

映画2025年11月29日

『栄光のバックホーム』(11月28日公開)  2013年のプロ野球ドラフト会議で指名され、鹿児島実業から阪神タイガースに入団した18歳の横田慎太郎(松谷鷹也)。誰もがその将来に大きな期待を寄せていたが、突然横田の目にボールが二重に見えるとい … 続きを読む

氷川きよし、復帰後初の座長公演に挑む「どの世代の方が見ても『そうだよね』と思っていただけるような舞台を作っていきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月29日

 氷川きよしが座長を務める「氷川きよし特別公演」が2026年1月31日に明治座で開幕する。本作は、氷川のヒット曲「白雲の城」をモチーフにした芝居と、劇場ならではの特別構成でお届けするコンサートの豪華2本立てで贈る公演。2022年の座長公演で … 続きを読む

Willfriends

page top