【インタビュー】「連続ドラマW 華麗なる一族」中井貴一「原作の万俵大介像を大切に」内田有紀「自分が生きてきた全てを高須相子という役にぶつけようと」山崎豊子の傑作に挑戦!

2021年4月16日 / 06:00

 数々の名作を残した作家・山崎豊子の傑作が、令和の現代によみがえる。高度経済成長期の日本を舞台に、実業家一族の繁栄と崩壊を描いた小説『華麗なる一族』(新潮文庫刊)を、WOWOW開局30周年記念で連続ドラマ化。これまで繰り返し映像化されてきたが、今回、主人公となる阪神銀行の頭取で万俵コンツェルンの総帥・万俵大介役と、万俵家の執事を務めるその愛人・高須相子役に挑むのは、中井貴一と内田有紀。何度も共演して気心の知れた2人が、4月18日からの放送開始(第1話無料)を前に、撮影の舞台裏を語ってくれた。

中井貴一(左)と内田有紀

-これまでそうそうたる俳優が演じてきた役に挑戦する意気込みをお聞かせください。

中井 子どもの頃に見た映画の『華麗なる一族』(74)で、佐分利信さんがやっていたあの役を自分がやる年になったのか…ということに、まずがく然としました(笑)。僕がやらせていただく以上は、より原作に近くありたいと思い、役作りの上では原作の万俵大介像を大切にしたつもりです。『華麗なる一族』に限らず、“原作物”は、時代により、俳優により、作品の色が変わっていくところに面白さがあります。今回は、内田さんが演じる相子と万俵大介との新しい関係性が面白さになるのではないかと思いながら、撮影に臨みました。

内田 京マチ子さんや鈴木京香さんが演じていた相子を見ると、それぞれお二人の色がすごく濃く出ているんですよね。私も相子をどう演じようか、ものすごく悩みました。相子は、大介の愛人というだけでなく、万俵家を差配していくフィクサーでもあり、愛されたいという女としての気持ちも持ち合わせる多面性のある女性です。でも、その根本にあるのは、大介に拾ってもらった自分の居場所を命懸けで守りたいという一心。だから、私も今まで自分がどう生き、何を感じ、何に悲しみ、何に喜んだか、その全てを相子役にぶつけようと決心しました。そうしなければ、とても太刀打ちできるような作品でも、役でもありませんから。

-お二人はこれまで何度も共演してきましたが、この作品で改めて共演してみた印象は?

中井 内田さんが10代の頃に初めて共演し、「最後から二番目の恋」(12)というドラマでは、僕の妹になってくれたんですよね。それがシリーズ化されて何年か続いたので、より兄妹感が強くなり、僕の中ではずっとかけがえのない妹だったんです。にもかかわらず突然、愛人になったので、最初はそのハードルをどう乗り越えようかと(笑)。

内田 あはは…(笑)。

中井 ただ、こういう形で共演することになり、改めて芝居に対する姿勢や役をつかもうとする気持ちの動かし方、現場でのたたずまいなどを見ていたら、「女優だなぁ…」と強く感じました。役柄は違っても気心は知れているし、役者同士にしか分からない、ちょっとした動きの気遣いや芝居の凹凸がぴったり合う感じがして、僕はとてもやりやすかったです。兄妹という感覚さえ乗り越えれば、愛人役としてこれ以上の相手はいません。

内田 私が相子を演じることになったとき、「きっと貴一さんは、そう思っていらっしゃるだろうな」と思っていました(笑)。でも、兄妹の関係から、愛人というポジションをスッと作ってくださったので、もう貴一さんに身を任せようと。貴一さんは本当に魅力にあふれた方で、どれほどご一緒してもその全てを知り尽くすことができません。だから、せっかくまた一緒にお芝居をさせていただけるのなら、この機会にあらゆるものを盗ませていただこうと思って、必死に貴一さんを観察していました(笑)。

-劇中では、お二人が演じる大介と相子に対し、その考えに反発する大介の息子・万俵鉄平との確執や愛憎がドラマの軸になります。鉄平役の向井理さんの印象は?

中井 向井くんときちんとお芝居をさせていただくのは、ほぼ初めて。鉄平をつかもうとする彼の気持ちがひしひしと伝わってきて、この作品に対する意気込みの大きさを感じました。だから、僕は現場ではほとんどコミュニケーションを取っていません。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

吉沢亮「英語のせりふに苦戦中です(笑)」主人公夫婦と関係を深める英語教師・錦織友一役で出演 連続テレビ小説「ばけばけ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む

阿部サダヲ&松たか子、「本気でののしり合って、バトルをしないといけない」離婚調停中の夫婦役で再び共演 大パルコ人⑤オカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月31日

 宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む

Willfriends

page top