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浦井健治が、俳優生活20周年を記念したオリジナルソロアルバム『Piece』をリリースした。さらに、4月20日には、「20th Anniversary Concert~Piece~」と題したコンサートを、東京国際フォーラム・ホールAで開催する。浦井にアルバムに込めた思いやコンサートへの意気込みを聞いた。
コロナ禍で、悲しいことがあったり、人となかなか会えずに後ろ向きな気持ちになってしまうことが多いかもしれませんが、そんなときにこのアルバムを聞いて、希望を見いだしたり、リフレッシュしてもらいたいという思いからスタートしました。それで、オリジナル曲でできませんかというお願いをしたところ、デモを数十曲くださって、そのうちの3曲を歌わせていただくことになりました。K-POP、シティーポップ、そしてバラードと、曲調の違うオリジナル曲ですが、いずれもこのコロナ禍でも前を向いて元気を出そうというメッセージを伝えられるのではないかと思います。
それから、ミュージカルやカバー曲の選曲や曲順も、スタッフさんたちと話し合って決めました。タイトルにある『Piece』という言葉には、楽曲の一つ一つが「平和やそれを願うかけらたち」であり、その思いを放っていこうという気持ちが込められています。ですので、そういった観点から曲も選びました。今回、20周年を記念したアルバムなので、20年前のJ-POPのヒット曲の中からチョイスをさせていただいた2曲と、僕が20年間でお世話になった方々に学んだことや、歌唱を含めた技術を込めた楽曲を集めたアルバムになっています。
はい。たくさんの方から感想を頂いて、伝えたかったメッセージが届いていることを実感しています。僕は、演劇をやっていますが、ありがたいことにコロナ禍でもステージに立つことができています。ですが、演劇を観劇することを自粛するという選択をせざるを得ないファンの方から、「このアルバムを聞いてうれしくて涙が出た」となんて言っていただくと、改めてエンターテインメントや歌の力は偉大だと感じられました。
僕自身は、「天保12年のシェイクスピア」の東京千秋楽と大阪公演が中止、それからその次のブロードウェーミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」が全公演中止になってしまいましたが、それ以降は全ての出演作が中止になることなく千秋楽を迎えられているんです。これは世界的に見ても奇跡だと思います。そもそも、現在(取材当時)、これだけの演劇を公演し続けることができているのは、すごくまれですよね。それは本当にすごいことで、スタッフさんをはじめとして、関わっている方、皆さんの感染対策の徹底などの努力でつかみ取ったものだと思います。もちろん、お客さまも感染対策を徹底し、制限が多い中でも見にきてくださっている。何が正解なのかは分かりませんし、今後どうなるかもまだ分かりませんが、医療関係者の皆さまに本当に感謝しながら、なんとか乗り越えていければと思っています。
どれも思い入れが深い曲ばかりですが、ミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の「The Origin Of Love」を。僕は、もともとはパンクやロックが大好きな人間なんです。でも、今はミュージカルの舞台で歌い続けているので、ミュージカルでの歌唱法というものが身についています。そういう人間がロックミュージカルをやるとなると、その歌唱方法の壁にぶち当たるんです。もちろん、ミュージカル歌唱は、長い年月をかけて培っていく素晴らしいものだと思います。ですが、「ヘドウィグ~」のような楽曲にはそぐわない。それで、僕が「ヘドウィグ~」に出演したときに、(共演していた)女王蜂のアヴちゃんやメタル界の大御所の冠(徹弥)さんがロックの歌唱法を教えてくれたんです。ですが、いざ本番が始まっても、自分がロックを歌えているのか、自信が持てないままでした。
そんな時、僕が大ファンの劇団☆新感線の演出家、いのうえひでのりさんが見にいらして、「健治がロックを歌っていた」とおっしゃってくださった。しかも、いのうえさんのお薦めの演劇にも挙げていただいた。それはもう、僕にとっては人生の表彰状でした。ロックの歌唱法とミュージカルの歌唱法は真逆なもので、両方を得ることは難しいと思いますが、僕はそれをかなえたいという思いがあります。そして、このアルバムの中では、「The Origin Of Love」はロックな歌唱法で歌っているので、そこも意識して聞いてみてほしいです。
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