「吉沢亮くんとは『最初のうちは、とにかくわちゃわちゃやろう』と話しています」高良健吾(渋沢喜作)【「青天を衝け」インタビュー】

2021年3月14日 / 20:50

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「青天を衝け」。幕末から昭和にかけて、最後の将軍・徳川慶喜に仕えた後、実業家として500を超える企業に携わった“日本資本主義の父”渋沢栄一の生涯を描く物語だ。本作で主人公・栄一(吉沢亮)の生涯の相棒として、共に激動の時代を歩んでいくのが、いとこの喜作。演じる高良健吾が、撮影の舞台裏や役に込めた思いを語ってくれた。

渋沢喜作役の高良健吾

-出演が決まったときの感想は?

 まず、渋沢栄一のことをよく知らなかったので、当然、喜作のことも知りませんでした。そこで、渋沢栄一がどんな人なのか調べてみたんです。そうしたら、「なぜこういう人が存在したことを、今まで知らなかったんだろう?」とびっくりしました。そのいとこを演じられるということで、うれしかったです。

-渋沢栄一のどんなところに魅力を感じましたか。

 僕は以前、幕末に亡くなった人物を演じたことがある(2015年「花燃ゆ」の高杉晋作役)ので、信念を貫くことの美学や潔さ、格好良さがあることは分かります。ただ、そういう生き方をして、若くして命を落とす人も多かった。でも栄一は、「どうすればこの国がよくなるのか、それが何のためになるのか、誰のためになるのか」ということを考え、先の先を見ることができた。自分の真ん中にあるものを大切にして、たとえそのときは「裏切り」と思われても、その先にあるものを信じられる強さがあった。それは才能と言ってもいいと思いますが、そういうところに引かれました。そんな栄一のそばにいたからこそ、喜作も生き延びられたんだろうな…と。

-喜作の見どころは?

 喜作だけでなく、血洗島の渋沢一族全員に対して言えることですが、みんな真っすぐで、素直で、国を思う気持ちがすごく強い。それは、栄一も惇忠(田辺誠一)も長七郎(満島真之介)も平九郎(岡田健史)も、みんな同じ。そういう気持ちを持ちながらも、まだ何者でもないかわいらしい青年たちがどんなふうに変わっていくのか。その成長をこれから表現していくことになります。そういう意味では、血洗島にいる序盤は、まだ何者でもない少年っぽさが見どころだと思っています。

-喜作は栄一の生涯の相棒ということですが、2人の関係で心掛けていることは?

 最初のうちはふざけています。説得力がないふざけ方ですね。国を思って自分たちがやることに対して、勢いはあっても説得力がないので、その軽さや説得力のなさ、みたいなものを大事にして。年上の喜作は「自分が兄貴分で、栄一は弟だ」と言っていますが、僕自身はその辺はあまり意識していません。単に栄一よりも二つ年上というだけで、変に威張るわけでもなく「兄貴だ、弟分だ」と言っているだけじゃないかな、と。むしろ、喜作が栄一に甘えている節もあるので、逆にそこを意識するようにしています。

-吉沢さんとはどんな話を?

 「最初のうちは、とにかくわちゃわちゃやろう」と話しています。わちゃわちゃやっているかわいらしい2人が、国のために行動するようになるにつれ、だんだん説得力が増し、お互いの関係性も変わっていく。そういう姿が切なくなったり、頼もしくなったりするはずなので。だから、とにかく最初のうちはふざけるところはふざけようと。「ここまでやって大丈夫かな?」ということは考えず、思い切りふざけるようにしています。吉沢くんは、人柄も正直なので、一緒にいて楽ですし、気持ちがいいです。

-クランクインからすでに半年ほど演じてきた喜作の印象は?

 ずっと変わらないのは、「気持ちのいいやつ」ということです。ただ、言っていることや思いに行動が伴って、次第に説得力が増してきました。栄一と喜作は、どちらも気持ちがいい人間で、直情型で突っ走るタイプ。でも、2人の間でその方向性にだんだんズレが生じていく。それがこの先の見どころになっていくのかな、と思います。

-喜作という人間をこれから長く演じていくことになりますが、その面白さをどんなふうに捉えていますか。

 例えば、「花燃ゆ」の高杉晋作で言えば、根は変わらないとしても、最初からみんなが知っている人物ではないはずです。それがだんだん、みんなが知っている人物になっていく。そういう成長や変化をいかに演じていくか。今回は喜作として、そういう部分を楽しんでいきたいと思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

蓮佛美沙子&溝端淳平「カップルや夫婦が“愛の形”を見直すきっかけになれたら」 グアムで撮影した新ドラマ「私があなたといる理由」【インタビュー】

ドラマ2025年7月1日

 ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む

風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことがうれしい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月29日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。6月29日放送の第25回「灰の雨降る日本橋」では、浅間山の噴火によっ … 続きを読む

栗田貫一「今回はルパンたちが謎の世界に迷い込んで謎の敵と戦って、しかも前に倒した連中もよみがえってくるみたいな感じです」『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』【インタビュー】

映画2025年6月27日

 あのルパン三世が、約30年ぶりに2Dの劇場アニメーションとして帰ってくる。舞台は地図に載っていない謎の島。お宝を狙って乗り込んだルパン一行を待ち受けていたのは正体不明の存在だった。前代未聞のスケールで描かれ、全ての「ルパン三世」につながる … 続きを読む

光石研、大倉孝二「ちょっと重いけれどちゃんとエンターテインメントになっていると思います」『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』【インタビュー】

映画2025年6月27日

 日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件を題材にした福田ますみのルポルタージュを三池崇史が映画化した『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』が6月27日から全国公開された 。本作の主人公・薮下誠一(綾野剛)が勤める小学校の校 … 続きを読む

【週末映画コラム】『トップガン マーヴェリック』と兄弟のような『F1(R)/エフワン』/過酷な救急医療現場にリアルに迫った『アスファルト・シティ』

映画2025年6月27日

『F1(R)/エフワン』(6月27日公開)  かつてF1ドライバーとして活躍したソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)は、今は身を持ち崩し、フリーのレーサーとしてさまざまなレースに出場していた。だが、最下位に沈むF1チーム「エイペックス」の代表 … 続きを読む

Willfriends

page top