エンターテインメント・ウェブマガジン
2月14日の放送スタート以来、好調な滑り出しを見せるNHKの大河ドラマ「青天を衝け」。幕末から昭和にかけ、最後の将軍・徳川慶喜に仕えた後、実業家として500を超える企業に携わった“日本資本主義の父”渋沢栄一の激動の生涯を描く物語だ。主演を務めるのは、連続テレビ小説「なつぞら」(19)などで注目を集めた吉沢亮。渋沢栄一の印象や主演を務める意気込みなどを語ってくれた。
他の大河ドラマの主人公のように、散り際の潔さやはかなさといった派手な部分はありませんが、泥くさく生き抜く強さや生命力が渋沢さんの大きな魅力です。だから、そういう部分を今の人たちに見てほしいですし、それきちんと伝えられる大河になればいいな…と思っています。
幕末から明治に変わる瞬間は、ものすごい価値観の変化があったはずです。でも、それを素直に受け入れられるかというと、なかなか難しいと思うんです。そんな状況の中でも、渋沢栄一という人は、パリで日本と全く違う文化を目の当たりにして、それをいち早く日本に取り入れようと、誰よりも早くまげを切り、洋風の髪形に変えた。そういう柔軟さや、正しいものを正しいと言える強さは、演じる上でこだわっていきたいです。
たくさんありますが、台本や資料などを読んで特に印象的だったのは、尊王攘夷運動など、当時のはやりに対して、のめり込みながらも、やや俯瞰で見ているところです。自ら腹を切った方が勇ましい、みたいな雰囲気がある中で、「自ら命を絶っても、世の役には立たない」と、冷静な見方をしている。ある意味、現代人に近い命の価値観ですよね。そういう考え方は、当時としては珍しかったでしょうし、だからこそ生き延びられたんだと思います。
撮影前に、史料を読んだり、そろばんや剣術の練習をしたり、演じる上で必要な準備はいろいろとやりました。その時点では、道徳を大事にし、身分による格差に憤りを感じたからこそ、「身分に関係なく、優秀な人をきちんと評価すべき」という思いを持って生きてきた男、という印象が強かったんです。でも、実際に演じてみると、そこから外れる瞬間も多々あって。それがすごく人間くさくていいなと。ある意味、キャラクターとしての捉え方ではなく、「人としての揺らぎ」みたいなものを大切に演じていかなければと改めて思いました。
もちろん、渋沢さんの功績を描く部分はたくさんあるんですけど、そこに至るまでの揺らぎみたいなものも、きちんと出していきたいなと。やっぱり人間ですから、「こうでなければいけない」みたいなものはないと思うので、自由に演じていきたいです。
第五回に「お姉さんがキツネにつかれた」と言って、修験者を家に呼び、おはらいをしてもらう、というシーンがあります。でも、そこで適当なことを言う修験者たちを、栄一がいろんな方向から問い詰めて、結局追い返してしまうんです。そのやり取りが面白くて、すごく栄一っぽいなと。実際にあった話だそうなので、そこはぜひ見てもらいたいです。
草なぎさんとの共演は、今のところあのシーンだけですが、それでも、存在感や声を発したときの強さみたいなものが、ビシビシと伝わってきました。僕が一方的に、慶喜に思いをまくし立てるシーンでしたが、「草なぎさんのパワーに負けられない」という気持ちで、熱量も上がりましたし、いいシーンになったと思っています。共演するシーンはまだたくさんあるので、これからが楽しみです。
ドラマ2024年4月20日
NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月14日に放送された第十五回「おごれる者たち」では、藤原道長(柄本佑)の長兄・道隆(井浦新)を筆頭に、隆盛を誇る藤原一族の姿やその支配下の世で生きる主人公まひろ(吉高由里子)の日常が描かれた。 … 続きを読む
映画2024年4月19日
長野県の自然豊かな高原を舞台に、代々つつましい生活を続けてきた住民の、レジャー施設の開発をめぐる生活の変化を描いた『悪は存在しない』が、4月26日から全国公開される。本作で第80回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で銀獅子賞に輝いた … 続きを読む
映画2024年4月19日
『あまろっく』(4月19日公開) 理不尽なリストラに遭い尼崎の実家に戻ってきた39歳の近松優子(江口のりこ)は、定職に就くことなくニートのような毎日を送っていた。 ある日、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が信条の能天気な父・竜太郎 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2024年4月19日
上演の度に大きな話題を呼ぶミュージカル「ロミオ&ジュリエット」の3年ぶり6度目の上演が決定。5月16日に東京・新国立劇場 中劇場で幕を開ける。 本作は、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で600万人以上を動員したメガヒットミ … 続きを読む
映画2024年4月18日
映画監督の小島桐子はロードムービーを撮りたいと思っているが、限られた予算や決まらないキャストなど、数々のトラブルに見舞われる。理想と現実がずれていく中で、彼女はある選択をする。台湾出身で日本に留学し、東京藝術大学大学院映像研究科で学んだ蘇 … 続きを読む