【インタビュー】舞台「ぼくの名前はズッキーニ」川島海荷 デビュー15年を迎え「お芝居がより好きになった」

2021年2月26日 / 08:00

 2002年にフランスで発刊され、世界中でベストセラーとなった小説『ぼくの名前はズッキーニ』。孤独な少年ズッキーニが、厳しい現実の中でも、前向きに生きようとする姿を描いたこの小説は、アニメーション映画化され、アカデミー賞長編アニメーション部門の候補となるなど、各国の映画賞をにぎわせた。今回、世界で初めて舞台化されることが決定し、2月28日から、都内・よみうり大手町ホールで上演される。主人公・ズッキーニを演じる辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)が、養護施設で出会うカミーユを演じる川島海荷に、本作の見どころ、さらには舞台に立つことへの思いを聞いた。

カミーユ役の川島海荷

-出演が決まったときの心境は?

 舞台に何回か出演させていただいているうちに、生の演劇に出る楽しさに気付いてきたので、舞台にまた出演できることがうれしく、身が引き締まる思いでした。

-台本を読んで、本作のどこに魅力を感じましたか。

 今回の舞台では、大人が子どもを演じるというところもポイントになっているのかなと思います。自然と、子どもに見える瞬間があったり、逆に子どもなのに、冷静に、大人よりも俯瞰して物ごとを見ているところもあって、不思議な感覚があります。私自身、この作品に気付かされることもあったので、大人の私たちが考えさせられる作品になったらいいなと思っています。

 -子どもを演じるというのは、役者としても新たな挑戦になりそうですね。

 どこまで子どもっぽくすればいいのか、今、探りながらお稽古をしていますが、自分の子ども心を引っ張り出して演じられたらと思っています。でも、お稽古に入ってから、普段の自分も子どもっぽくなった気がします(笑)。独り言を言っていたり、役に引きずられているところがあるのかもしれません(笑)。

 -カミーユというキャラクターについては、今現在、どのように捉えていますか。

 カミーユは、人に甘えるのが苦手な不器用な子なのかなと思いました。ズッキーニは、真っすぐで、思ったことをすぐ口に出すタイプですが、カミーユは思っていることを1回飲み込むんです。それは、多分、彼女の背景や家庭環境から生じているのですが、そこは子どもらしくないところでもあると思います。演じるに当たっては、ズッキーニや施設の皆さん、大人の人たちの関係性が大事になってくると思うので、そこを大切にしたいと考えています。

-2020年は、「アンナ・カレーニナ」(全公演中止)、「PINT」とコンスタントに舞台に携わっていた印象がありました。舞台に出演することにどのような思いがありますか。

  公演中止という悔しい思いもしましたが、年末には2人芝居もやらせていただいて、鍛えられたと思います。映像のお仕事に比べて、舞台はお稽古で毎日キャストの皆さんとご一緒して、ディスカッションをしながら作っていくので、密な関係性が作れます。その中での物作りの楽しさが分かるようになりました。

 -映像での演技と舞台での演技に違いは感じていますか。

 やはり舞台は、後ろの方まで届けなくてはいけないので、そこが大きな違いだと思います。ドラマの場合、あまり大きな動作はないので、表情で思いを伝えます。ですが、舞台の場合は、表情だけでは後ろの方にまで伝えられないと思うので、雰囲気や動作、せりふの言い回しも大切になってくるのだと思います。今回は私も伝えることを意識して、自分を開放して頑張ろうと思っています。

-ズッキーニ役の辰巳さんの印象は?

 辰巳さんとは本作が初共演ですが、稽古初日にお会いしたときから本当に気さくな方だと感じました。初めましてじゃないのかなと思わせてくれるぐらい、壁のない方で安心しました。それから、お芝居が好きだという思いが伝わってきて、熱量が高く、周りを明るくしてくれるので、なんて気持ちのいい方なんだろうと思いました。

-ところで、川島さんは今年、ドラマでデビューしてから15年になります。この15年を振り返り、ご自身のターニングポイントとなった出来事を教えてください。

  随所でいろいろとありましたが、昨年末に女優のお友達と2人で企画した舞台「PINT」は、私の中で大きな作品でした。今までの私だったら絶対にやらなかったことだと思いますし、お芝居がより好きになったきっかけでもありました。

-「PINT」は以前からやってみたいと思っていたことを実現したということですか。

 そういうわけではないんです。昨年は、出演予定だった作品が中止になってしまったり、やりたいことが思うようにできないことが続いて、モヤモヤしていて…。それに加えて、舞台を見に行って、生のお芝居が自分の生活の刺激になっていることを感じて、私もいい作品を届けたいという思いが湧いてきて、やるなら今だと思いつきで周りの方に伝えたのがきっかけでした。企画からすべて行ったので、作り上げる大変さを実感しましたが、すごくいい勉強になったと思います。全力でやれば何かが伝わるんだということも感じましたし、これまで以上に達成感を味わえました。もちろん、その分、緊張も大きかったですし、心配で眠れない日もありましたが、舞台のことだけを考える日々が続いて、全力を出し切れたと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

瀬戸利樹、セラピスト役は「マッチョな体も見どころ」 役作りは「実際に施術を見学して、レクチャーを受けました」

ドラマ2024年4月24日

 現在放送中のドラマ「買われた男」で主演を務める瀬戸利樹が取材に応じ、本作の魅力や役作りについて語った。  本作は、三並央実氏と芹沢由紀子氏による漫画『買われた男~女性限定快感セラピスト~』が原作。セックスレスの主婦、芸能人、女社長、風俗嬢 … 続きを読む

Willfriends

page top