松永久秀、壮絶な最期の舞台裏!「本能の赴くまま演じた結果、信長に対するほうこうを上げつつ息絶える演技になった」吉田鋼太郎(松永久秀)【「麒麟がくる」インタビュー】

2021年1月10日 / 20:50

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」。2月7日の最終回に向けて息詰まる展開が続く中、1月10日放送の第四十回「松永久秀の平蜘蛛(ひらぐも)」では、第一回から主人公・明智光秀(長谷川博己)と親交を結んできた戦国武将・松永久秀が、織田信長(染谷将太)に反旗を翻した末、壮絶な最期を遂げた。1年以上の長きにわたって松永を演じてきた吉田鋼太郎が、熱演の舞台裏や、ここまでの手応えを語ってくれた。

松永久秀役の吉田鋼太郎

-松永久秀が自害するシーンは、どんな思いで演じましたか。

 松永としては、信長を見据えながら腹を裂く、という思いでした。非常に心残りだったでしょうね。演じる上では、全編を通して、何を考えているのか分からない人物として演じてきたので、最期もひょうひょうと死んでいくという方法もあったのかもしれません。ただ、僕自身どうもしっくりこなかったので、自分の本能の赴くままに演じてみました。その結果、断末魔の叫びというか、信長に対するほうこうを上げつつ息絶える、あの演技になったんです。

-松永は、信長をどんなふうに見ていたのでしょうか。

 これは台本にも書かれていることですが、久秀は、信長とかつての主君・三好長慶(山路和弘)を比べているんです。リベラルだった長慶こそが真に天下人たる人物で、今の信長は完全に冷静さを欠いている。比叡山を焼き討ちにするなんて、さすがに人の道に外れ過ぎているのではないかと。ですが、同時に、そんな信長に嫉妬している部分もあるんです。自分は信長のようにはなれない、だったら最後までとことん逆らってやろうと。信長に反旗を翻したのはある意味、松永の自己主張というか、アイデンティティーだったのかもしれません。

-なるほど。

 ただ、「麒麟がくる」の松永にとって救いだったのは、自分の全てをさらけ出せる明智光秀という心の友がいたことです。ですから、松永の最期には「光秀ありがとう」という思いもどこかに含まれていることを、視聴者の皆さんにくみ取っていただけたらうれしいです。

-第四十回の台本を最初に読んだときの感想は?

 松永の最期が、(よく話題になる)爆死でなかったことはやや残念でしたが(笑)、「麒麟がくる」という作品の色を崩さず、池端(俊策/脚本家)先生らしい解釈で描かれていて、実にすてきだな…と。心して演じなければ、と思いました。

-光秀に名物茶器・平蜘蛛を託す場面は、どんな思いで臨みましたか。

 松永が「平蜘蛛は自分だ」と言ったのは、面白かったです。平蜘蛛は、一見異様に見えるものの、よく見ると理にかなった形をしている。だから美しいと言われています。それが自分だと言うのですから、考えようによっては非常に厚かましい。ただ、松永は生まれがよくないため、己の才覚だけでのし上がった人物。そんなことから、姿形が一見醜怪な、平蜘蛛と自分を重ねるというのは、実感を込めて演じることができました。

-あそこは、松永が光秀と語り合う最後のシーンにもなりましたね。

 思えば、これまで松永が登場する場面は、ほとんど光秀と一緒でした。そういう意味で、あそこは松永と光秀の最後の場面、そして長谷川くんとお芝居をする最後の場面でもありました。撮影が始まったのが2019年の春ですから、ずいぶんと長い間、長谷川くんとお芝居していたんだなあ…と。撮影の際は、いろんな思いが重なり、非常に感慨深いものがありました。

-松永は光秀をどんなふうに見ていたのでしょうか。

 最初の出会いは、光秀が鉄砲を求めて堺にやってきたとき(第一回)です。そのときの彼の真面目さ、ひたむきさ、そして純粋さに、松永は好感を持ったのでしょう。「鉄砲は攻撃のためのものではなく、戦争を抑止するものだ」と諭すシーンもありましたが、松永は、他の誰にも言わない考えを、光秀には言ってしまうところがあります。戦国の世がいつまでも続くことは、果たしていいことなのか、悪いことなのか。光秀なら、そのことを真っすぐ正面から考えられる。そんな人物だと見ていたのではないでしょうか。

-第四十回の光秀と、最初の頃の光秀の違いを、どんなふうに感じましたか。

 光秀が年齢を重ねていくさまを、長谷川くんはとても上手に演じていました。どんどん精悍(せいかん)になっていくし、重みが増していますよね。にもかかわらず、2人の最後のシーンでは、まるで堺で初めて出会った頃の光秀がよみがえったようでした。特に、光秀が「戦などしたくない、平蜘蛛などいらない!」と言ったときは、若い頃の光秀をもう一度見たような気がして…。本当に、素晴らしい演技だったと思います。

 
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