エンターテインメント・ウェブマガジン
NHKで好評放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」。個性的な戦国武将が数多く登場する中、本心の読めないキャラクターとして異彩を放っているのが、越前の戦国大名・朝倉義景だ。一時は美濃を逃れた明智光秀(長谷川博己)をかくまい、後には織田信長(染谷将太)と激しい戦を繰り広げるなど、ドラマの盛り上げに大きく貢献している。演じるのは、これが大河ドラマ初出演となるユースケ・サンタマリア。一癖ある朝倉義景の役作りや撮影の舞台裏を語ってくれた。
初めての大河ドラマの上に、時代劇の経験もあまりなく、ましてこんなに地位の高い大名の役も初めて。その時代の言葉遣いに苦戦しながら挑戦の日々です。本当に、ちょっとしたきっかけでせりふが飛んでしまうので、撮影の日は、一日、誰ともコミュニケーションが取れずにいます(笑)。ただ、普段はなかなか声を掛けていただけない年配の方にも「見ています」と言ってもらえるようになったので、日曜の大河ドラマを全国の方がご覧になっているんだな…と改めて実感しました。
越前を支配する名家の戦国大名です。豊かな国の大名ですから、戦にも強くてかっこいい…と思いきや、戦はあまり好まず、かっこいいところもありません(苦笑)。だから、威厳のある姿や重厚な雰囲気は、家臣の山崎吉家(榎木孝明)にお任せして、「大名とはいえ、人間だ」という裏表のない人物を見せられたら…と思っています。とはいえ、義景は怒っているシーンでも、悪だくみをしているシーンでも、蹴鞠(けまり)をしているシーンでも、「そうとは限らんな」という雰囲気で、かなり含みのある人物なんですよね。
義景の衣装はピンクで斬新。僕は「てんとう虫」と呼んでいるんですけど、一目見て「戦をしようとはみじんも思ってないんだろうな」と思いました(笑)。しかも、やっと戦に出たと思ったら、金キラの甲冑(かっちゅう)に、頭にはサザエ(のかぶと)をかぶっている。本当に戦う気ゼロなんだな…と。ハイブランドで全身固めて戦に行くようなものですよ(笑)。でも、義景しか着ることができない甲冑なので、そういう意味では楽しんでいますし、派手な衣装からも、どこか憎めないキャラクターとして目に止まればいいな…と。とにかく、衣装もセットも本格的なので、撮影のたびに異空間に連れて行かれたような感覚になっています。
演じるときは、なるべくニュートラルでいたいと思っているので、監督とその場で相談しながら、人物像を作っています。僕は戦国時代に生きたことがあるわけではないので、現代の考え方に照らし合わせ、自分のフィルターを通して「こうじゃないかな…」と考えながら、演じるようにしています。
ドラマでは描かれていませんが、実際の義景は文章も上手だったようです。そんな大名が、「小京都」と言われる美しく豊かな国・越前を営んでいるわけですから、住んでいた人たちは、ものすごく楽しい日々を送っていたのかもしれません。もしかしたら、義景が今の時代に生まれていたら、世のため、人のため、いろいろなことをしてくれたかもしれないな…と勝手に想像しています。僕としてはやっぱり、演じる役柄を最も愛したいので、越前を守ることができたらいいな…と思ってしまいます。
映画2025年12月28日
今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】 2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む
ドラマ2025年12月26日
今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む
映画2025年12月24日
脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む
映画2025年12月23日
2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む
映画2025年12月20日
『楓』(12月19日公開) 須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む