奥平大兼「戦争の捉え方が変わった」當真あみ「当時の女性の強さを感じた」80年前の戦時下を生きた若者役への思い『雪風 YUKIKAZE』【インタビュー】

2025年8月21日 / 12:00

 太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」。数々の戦場を潜り抜け、沈没する僚艦から海に投げ出された仲間を救い、戦後は「復員輸送艦」として外地に取り残された約1万3千人を日本に送り返した。その史実に基づき、太平洋戦争から戦後、さらに現代へとつながる激動の時代を生き抜いた人々の姿を壮大なスケールで描く『雪風 YUKIKAZE』が、終戦の日の8月15日から全国公開中だ。本作で雪風の若き水雷員・井上壮太を演じた奥平大兼と、先任伍長・早瀬幸平(玉木宏)の妹・早瀬サチを演じた當真あみが、その舞台裏や作品に懸ける思いを語ってくれた。

井上壮太を演じた奥平大兼(左)と、サチを演じた當真あみ(C)エンタメOVO

-終戦80年の節目に公開ということで、まずは本作に出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。

奥平 最初にお話をいただいたとき、監督や脚本家、プロデューサーからお話を伺う機会がありました。そこで駆逐艦「雪風」のことや「こういう映画を作りたい」という思いをお聞きして、ものすごく熱量を感じ、僕もこれまで戦争を題材にした映画に出演した経験がなかったので、とてもやりがいを感じました。

當真 私が演じた早瀬サチは、「雪風」に乗っている兄・幸平の帰りを待つ妹です。戦時下を生きる人を演じるのは初めてだったので、知らなければいけないことがたくさんあると思っていました。ただその分、この作品を通して学ぶことも多く、参加させていただき、すごくうれしかったです。

-演じるにあたって、どんな準備をしましたか。

奥平 クランクイン前、江田島の旧海軍兵学校をはじめ、さまざまな施設を見学させていただき、当時の空気を感じたことが、演じる上でも役立ちました。中井貴一(帝国海軍・第二艦隊司令長官、伊藤整一役)さんから、「雪風」の乗組員を演じるチームに「80年前、実際にこういうことがありました。生半可な気持ちでやっていいものではありません。僕らの先輩方は、今までそういう映画をたくさん作り、多くの方に届けてきました」とお言葉をいただいたことも、大きな刺激になりました。

當真 私は台本からできるだけ想像を膨らませて撮影に挑みました。仮に私が今、サチのように戦場に出た兄の帰りを待つ立場になったとしても、心の支えになる人は妹など身近にたくさんいます。それに比べて、母と2人で兄を待つサチは、すごく心細かっただろうなと。そんなことを考えながら、演じていました。

-80年前の戦時下を生きた若者を演じるにあたって、ご自身との心の距離感をどのように感じていましたか。

奥平 僕が演じた井上は、見てくださる方々の目線に近い立場なので、自分の気持ちを捨てすぎない方がいいのかな…と思っていました。仲間と戦争の話をするシーンでも、井上は果たしてこれがいいことなのかと、きっと考えていたでしょうし。そういう意味では、「雪風」に乗って戦争に参加している立場ですが、心の距離感という意味では、それほど自分とかけ離れていなかった気がします。

當真 私はサチをとても近い距離感で捉えていました。自分が同じような状況に置かれたときに感じる不安のようなものは、共有した方がいいと思って。ただ、撮影現場に入ってからは、当時の女性の強さをつくづく感じました。男性がみんな戦争に行ってしまい、女性だけで家を守らなければいけない。私がそんな状況に置かれたら、きっと気が気ではなく、サチのように落ち着いていられないし、笑顔で送り出すなんて絶対にできません。演じる上では、そういう芯の強さを常に意識していました。

 

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

page top