【インタビュー】「23階の笑い」小手伸也 三谷幸喜演出の舞台で「全力で恩返しをするときがきた」

2020年11月25日 / 08:00

 三谷幸喜が演出する、ニール・サイモン作の「23階の笑い」が、12月5日から上演される。本作は、熾烈(しれつ)な視聴率戦争で各局がしのぎを削っていた1950年代のアメリカのテレビ業界が舞台。ある高層ビルの23階の一室に集まった人気コメディアン、マックス・プリンスと彼の冠バラエティー番組「ザ・マックス・プリンス・ショー」の放送作家たちが、テレビ局の上層部から突きつけられた厳しい要求に応えるために奮闘する姿を描く。本作で、マックス・プリンスを演じる小手伸也に、三谷作品への思いや、本作の見どころを聞いた。

マックス・プリンス役の小手伸也

-2020年は、これが初舞台になりますね。出演が決まった気持ちは?

 まず素直にうれしかったです。ここ数年は映像が主戦場になっているので、演劇的な反射神経が鈍っているのではないかという不安もあります。何せ、三谷さんの作品なので(苦笑)。肝が冷えると同時に、期待に応えるためにも全力で挑もうという強い覚悟のもと、参戦いたしました。

 -最初に脚本を読んだとき、どんなところに魅力を感じましたか。

  最初に読んだ脚本は、三谷さんが上演台本に書き直す前のものだったので、翻訳劇ならではの言い回しや、その応酬に、正直、難しそうだなと思いました。もちろん、欧米の会話劇ならではのウイットに富んだやり取りや情報量の多さというのは、それはそれですごく面白かったのですが、実は僕は翻訳劇に出演した経験がほとんどなくて…。

-それは意外です。

 はい、2回目なんですよ。三谷さんからも驚かれました(笑)。そういった翻訳劇ならではのせりふ回しに立ち向かうのも役者としては刺激的なんですが、三谷さんが上演台本という形で書き直されたものを読んだとき、非常に三谷さんらしい会話劇になっていると思いました。なので、お客さまはすごく安心して笑えると思います。稽古中にも、三谷さんのアイデアがどんどん足されていますので、これからどうなるんだろうと、ますます(仕上がりが)楽しみです。

 -三谷さんの演出はいかがですか。

  言葉に対して非常にロジカルで、人物の行動や動機にユーモアを加える天才だと思います。ただ稽古中のリアクションが薄いので、正直何を考えているのか分かりません(笑)。

-以前にも演出を受けたことがあるんですよね?

 はい、(2017年上演の舞台)「子供の事情」で初めて演出をしていただきました。その前に、NHKの大河ドラマ「真田丸」にも呼んでいただいたのですが、そのときはお会いできなかったんです。「真田丸」での演技を見てくださって「子供の事情」に呼んでいただいたのだと思うのですが、当時は、三谷さんが持っていた僕のイメージが、本来の僕とは違っていたようで…。“当て書きの達人”と呼ばれる三谷さんから「小手さんがそういう人だと思わなかった」と言われてしまいました(笑)。僕は、アクが強く、自意識過剰な役を演じることが多いのですが、実際はそんなに面白い人間じゃないんですよ。考えて(役を)作り込むタイプなので、どんなすっとんきょうなキャラクターでも、割と行動原理を綿密に考えたりしながら役を作るので、三谷さんには意外だったのかもしれません。

 特に「子供の事情」のドテ役は、かなり難易度の高いテクニカルなキャラクターだったので、三谷さんと相談しながら慎重に作り上げました。なので、ぜひ次回は、僕の真骨頂と言いますか、「小手伸也」のパブリックイメージとして定着しているような役柄で使ってもらえたらと思っていました。それに、「真田丸」や「子供の事情」以降、お仕事が急激に増えまして、そういった意味でも三谷さんには恩を感じています。今回は、いよいよ100パーセントの力で恩返しをするときがきたなと思っています。

-では、今回演じるマックスは、小手さんから見て、自身のパブリックイメージに近いキャラクターなんですね。

  近いと思います。我の強いところや、みんなの視線を集める支配者のような振る舞い、何かやらかしそうな期待感、ウザさ、うさんくささ、顔芸、このあたりは自分で言うのもなんですが得意分野ですからね(笑)。今回はその部分を全力で開放して演じさせてもらっています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】2月後半の公開映画から『木挽町のあだ討ち』『レンタル・ファミリー』『センチメンタル・バリュー』

映画2026年2月28日

『木挽町のあだ討ち』(2月27日公開)  江戸時代後期のある雪の降る夜、芝居小屋「森田座」のすぐ横で、美しい若衆・菊之助(長尾謙杜)によるあだ討ちが成し遂げられた。  父親をあやめた博徒の作兵衛(北村一輝)を斬り、その血まみれの首を高くかか … 続きを読む

「身代金は誘拐です」“亀井”佐津川愛美の正体が判明 「また小池徹平が出てきた」「不穏でしかない」

ドラマ2026年2月27日

 勝地涼と瀧本美織がW主演するドラマ「身代金は誘拐です」(読売テレビ・日本テレビ系)の第8話が、26日に放送された。(※以下、ネタバレを含みます)  本作は、娘を誘拐された夫婦が「娘の命を救うために、他人の子どもを誘拐できるか?」という極限 … 続きを読む

「ラムネモンキー」「今回は山下達郎の『クリスマスイブ』が効いてたね」「事件の鍵は都市開発にあるのでは」

ドラマ2026年2月26日

 「ラムネモンキー」(フジテレビ系)の第7話が、25日に放送された。  本作は、かつての恩師の失踪事件の謎が3人の大人を再起動させる「1988青春回収ヒューマンコメディー」。反町隆史、大森南朋、津田健次郎主演。脚本は古沢良太氏。(*以下、ネ … 続きを読む

ゴーマン シャノン 眞陽 (まひな)「ブレンダン・フレイザーさんは、心も体も大きな太陽みたいな存在の人です」『レンタル・ファミリー』【インタビュー】

映画2026年2月26日

 東京で暮らす落ちぶれた俳優のフィリップが、レンタル・ファミリーの仕事を通して自分自身を見つめ直していく姿を描く『レンタル・ファミリー』が2月27日から全国公開される。『ザ・ホエール』でアカデミー主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザーが主 … 続きを読む

渡辺大知「僕が演じた駒井という人物そのものがカメラの役割を果たしています」『道行き』【インタビュー】

映画2026年2月23日

 大阪から奈良に移住してきた青年・駒井は、御所市に代々暮らす老人・梅本から購入した古民家の改修工事を進めている。たびたび様子を見に訪れる梅本が語る昔の町や家に流れてきた時間の話が、駒井に大切な風景を思い出させる。『おばけ』でPFFアワード2 … 続きを読む

Willfriends

page top