エンターテインメント・ウェブマガジン
ニール・サイモンという偉大な作家の作品を演じるということは、僕にとって大きなハードルでもありますし、それを三谷さんが演出すると考えると、緊張で身動きが取れなくなるので、できるだけフラットな気持ちで演じようと思っています。恩返しをしようとか、何かを得ようとか、そういったこともいったんは置いておいて、三谷さんの手のひらの上で踊らされて、それにただ委ねればいいんじゃないかな、と。ただ、翻訳劇ですので、反応の仕方や体を使ったジェスチャーなどは、欧米の感覚に自分を染めていこうとは思っています。欧米人の癖というんでしょうか。それは大事にしたいですね。今年は、僕、それをドラマ「SUITS」で8カ月間もかけてやってきましたから(笑)。そのときの感覚は、そのまま生かせると思います。
この作品は、群像劇で、多彩なキャラクターが登場します。それらを演じるのは、瀬戸康史さんをはじめとした実力のある俳優の方々です。劇中は、同時にあちこちでさまざまなことが繰り広げられているので、目が足りないと思います。誰に注目するかによっても印象が変わる作品なので、そういう意味では全員が主役です。群像劇のさまを楽しんでもらえればうれしいです。
それから、笑いを作る人たちがどういう意気込みで作っているのかという、業界の裏側を楽しんでもらえるとも思います。大きな事件が起きるわけではありませんが、面白いものを作りたい人たちが、一心不乱に頭を寄せ合って、ひたむきに頑張っているさまは、実は今の状況にもすごく合っています。(作品の舞台となっている)50年代は、テレビに検閲が入ったりと、政治がエンタメに侵食してきて、業界ががんじがらめになっていった時代でした。今年、新型コロナウイルスが流行したことで、エンタメ業界にはさまざまな制限が加わりましたが、それでも楽しんでもらえる作品を届けたいという、ピュアで強い業界人たちの思いは、この作品の登場人物たちに共通するものがあると思います。そんな彼らの思いを感じ取っていただける作品になるのではと思っております。
(取材・文・写真/嶋田真己)
「23階の笑い」は12月5日~27日、都内・世田谷パブリックシアターで上演。
公式サイト http://www.siscompany.com/23f/
映画2025年9月1日
『蔵のある街』(8月22日公開) 岡山県倉敷市に住む高校生の蒼(山時聡真)と祈一(櫻井健人)と紅子(中島瑠菜)は、小学校からの幼なじみ。ある日、蒼と祈一は、紅子の兄で自閉スペクトラム症のきょんくん(堀家一希)が神社の大木に登って叫んでいる … 続きを読む
ドラマ2025年8月31日
-主演の横浜流星さんとは同世代ですが、ご一緒した感想はいかがでしたか。 横浜さんは昨年末、僕が初出場したNHK紅白歌合戦の審査員を務めてくださり、その2カ月後には成田山新勝寺で行われた節分の豆まきでもご一緒しました。今回が3度目の対面とい … 続きを読む
映画2025年8月29日
-今回は、実年齢より年上の役で年上の吉岡里帆さんの先輩役でもありましたが難しかったですか。 水上 難しかったです。30代の工藤は単純に今の自分を老けさせればいいという話でもなく、精神的な部分で年上の人間として、令子がほれるような人間像を作っ … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年8月28日
YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼講談は落ちない 「今日の話はオ … 続きを読む
映画2025年8月26日
-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。 奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけ … 続きを読む