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何をやっても失敗ばかりだけど、なぜか憎めない主人公・舎人真一(香取慎吾)と、書斎の壁に偶然発見した「穴」から真一の生活をのぞき見するのを楽しみとしている隣人・粕谷次郎を中心とした、三谷幸喜監督・脚本の新感覚エンターテイメント「誰かが、見ている」が9月18日からAmazon Prime Videoで配信されている。粕谷次郎を演じる佐藤二朗に話を聞いた。
三谷さんの演出で「愛と哀しみのシャーロックホームズ」という舞台をやっていたときに、「今度こういうのをやるんだけど、出てくれない」と言われた記憶があります。これまでの俳優の仕事場は、映画、テレビ、舞台が主でしたけど、今は配信がものすごい勢いで伸びてきている。それによって、媒体同士が切磋琢磨(せっさたくま)して面白いものを作っていければ、それはいいことだと思っていたので、ぜひ参加したいと思いました。お客さんを入れるというのも、なかなかドラマではできない経験でしたし。それから、香取慎吾くんとは何回か共演したことがあって、とてもいい俳優だと思っていたので、信頼できる三谷さんの脚本で、これまで以上にがっつり絡めるというのが、今回の一番の楽しみでした。
三谷さんが、何度も「せりふや段取りを間違えても止めません」と言うんです。ちなみに今回の座組みの中では、僕は年長者の部類に入るので、「俺が引っ張ってやろう。俺に付いてこい」というつもりで1話目をやりました。ところが、開始7秒ぐらいでせりふを忘れまして。お客さんは気付いて笑っていましたが、「誰か俺にせりふを教えろ!」と叫びました。なんとも頼りにならない年長者です(笑)。でも、そういうことも含めて、とにかく楽しかったです。
舞台の本番中に三谷さんから「やってみない?」と言われたので、多分当て書きだと思います。僕はよく当て書きをされる方だと思いますが、実は「この人に当て書きをされると絶対に面白くなる」という人は意外に少ない。もちろん三谷さんの当て書きは非常に素晴らしい。今回も最初に脚本を読んだときに「文句なく面白い」と思いました。妻にもそれを伝えたら「さすが三谷幸喜だねえ」と言っていました。何さまなんだという話ですが(笑)。面白い脚本を与えられると、俳優はうれしいんです。だから誰かに言いたくなる。うちの場合は妻です。もちろん、俳優としては脚本が面白ければプレッシャーにもなりますが、テンションは上がります。
今回の粕谷次郎もそうですが、割と僕は癖が強い役が多いと思われがちですが、基本的には常識人の役なんです。今回の粕谷次郎も良識のある社会人です。一方、慎吾くんの舎人真一というのは、ある意味、奇想天外な天然のキャラクターで、慎吾くんにぴったりで、本当にうまく演じていたので、その逆は想像がつかないです。香取慎吾以上に、舎人真一になれる自信はありません。
慎吾くんがやっていることを見て、リアクションをしなければいけないのに、穴から姿が見えない場合もあるんです。その場合は、2人の間に助監督がいて、「今こうやりました」とかを教えてくれて、それに合わせてリアクションをしました。だから、あちらこちらで「キュー」を出さなければならないので、助監督は大変だったと思います。メーキングで撮影の裏側とかを見せたら、結構楽しいと思いますよ。
三谷さんのように、自分で脚本を書いて演出する人は、たぶん自分の中に「正解の音」とかがあると思うのですが、自分が書いたせりふに対するこだわりはあるけれども、基本的には俳優から出てくるものや、その場で生まれたものを大事にしてくれます。だから、僕は一緒にやっていて楽しいです。僕は人前で芝居をするときには、基本的に稽古でやった以外のことはやりません。お客さんが笑って、グルーブ感が上っていって、気持ち良くなって乗ってくる、というのはあってもいいと思いますが、稽古でやってないことをやって、共演者を驚かすというのはあまり好きではありません。そのあたりは、三谷さんも同じだと思います。
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