【インタビュー】「誰かが、見ている」佐藤二朗「三谷さんの脚本で、香取慎吾くんとがっつり絡めるのが、今回の一番の楽しみでした」

2020年9月21日 / 06:00

 何をやっても失敗ばかりだけど、なぜか憎めない主人公・舎人真一(香取慎吾)と、書斎の壁に偶然発見した「穴」から真一の生活をのぞき見するのを楽しみとしている隣人・粕谷次郎を中心とした、三谷幸喜監督・脚本の新感覚エンターテイメント「誰かが、見ている」が9月18日からAmazon Prime Videoで配信中されている。粕谷次郎を演じる佐藤二朗に話を聞いた。

粕谷次郎役の佐藤二朗

-初めて今回のドラマのことを聞いたときは、どんな気持ちでしたか。

 三谷さんの演出で「愛と哀しみのシャーロックホームズ」という舞台をやっていたときに、「今度こういうのをやるんだけど、出てくれない」と言われた記憶があります。これまでの俳優の仕事場は、映画、テレビ、舞台が主でしたけど、今は配信がものすごい勢いで伸びてきている。それによって、媒体同士が切磋琢磨(せっさたくま)して面白いものを作っていければ、それはいいことだと思っていたので、ぜひ参加したいと思いました。お客さんを入れるというのも、なかなかドラマではできない経験でしたし。それから、香取慎吾くんとは何回か共演したことがあって、とてもいい俳優だと思っていたので、信頼できる三谷さんの脚本で、これまで以上にがっつり絡めるというのが、今回の一番の楽しみでした。

-お客さんを入れて、30分間、ほぼ流れを止めずに撮影するという方式はいかがでしたか。

 三谷さんが、何度も「せりふや段取りを間違えても止めません」と言うんです。ちなみに今回の座組みの中では、僕は年長者の部類に入るので、「俺が引っ張ってやろう。俺に付いてこい」というつもりで1話目をやりました。ところが、開始7秒ぐらいでせりふを忘れまして。お客さんは気付いて笑っていましたが、「誰か俺にせりふを教えろ!」と叫びました。なんとも頼りにならない年長者です(笑)。でも、そういうことも含めて、とにかく楽しかったです。

-最初に台本を読んだときはどう思いましたか。また、役名も“次郎”でした。これは三谷さんが当て書き(その役を演じる俳優をあらかじめ決めておいてから脚本を書くこと)をしたのでしょうか。

 舞台の本番中に三谷さんから「やってみない?」と言われたので、多分当て書きだと思います。僕はよく当て書きをされる方だと思いますが、実は「この人に当て書きをされると絶対に面白くなる」という人は意外に少ない。もちろん三谷さんの当て書きは非常に素晴らしい。今回も最初に脚本を読んだときに「文句なく面白い」と思いました。妻にもそれを伝えたら「さすが三谷幸喜だねえ」と言っていました。何さまなんだという話ですが(笑)。面白い脚本を与えられると、俳優はうれしいんです。だから誰かに言いたくなる。うちの場合は妻です。もちろん、俳優としては脚本が面白ければプレッシャーにもなりますが、テンションは上がります。

-香取さんと佐藤さんの役をチェンジさせても面白かったのでは、と思いました。

 今回の粕谷次郎もそうですが、割と僕は癖が強い役が多いと思われがちですが、基本的には常識人の役なんです。今回の粕谷次郎も良識のある社会人です。一方、慎吾くんの舎人真一というのは、ある意味、奇想天外な天然のキャラクターで、慎吾くんにぴったりで、本当にうまく演じていたので、その逆は想像がつかないです。香取慎吾以上に、舎人真一になれる自信はありません。

-佐藤さんは、壁の穴から香取さんをのぞいているという設定なので、どちらも相手のリアクションが見られないわけですが…。

 慎吾くんがやっていることを見て、リアクションをしなければいけないのに、穴から姿が見えない場合もあるんです。その場合は、2人の間に助監督がいて、「今こうやりました」とかを教えてくれて、それに合わせてリアクションをしました。だから、あちらこちらで「キュー」を出さなければならないので、助監督は大変だったと思います。メーキングで撮影の裏側とかを見せたら、結構楽しいと思いますよ。

-演出家としての三谷さんの魅力は? また「これは三谷さんならではだ」と感じている部分はありますか。

 三谷さんのように、自分で脚本を書いて演出する人は、たぶん自分の中に「正解の音」とかがあると思うのですが、自分が書いたせりふに対するこだわりはあるけれども、基本的には俳優から出てくるものや、その場で生まれたものを大事にしてくれます。だから、僕は一緒にやっていて楽しいです。僕は人前で芝居をするときには、基本的に稽古でやった以外のことはやりません。お客さんが笑って、グルーブ感が上っていって、気持ち良くなって乗ってくる、というのはあってもいいと思いますが、稽古でやってないことをやって、共演者を驚かすというのはあまり好きではありません。そのあたりは、三谷さんも同じだと思います。

 
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