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新型コロナウイルスの感染拡大で数々の演劇公演や音楽コンサートが中止となっている今、活動の場を失ったエンターテイナーたちに少しでも活動の場を作りたいという思いから企画された、配信型演劇フェスティバル「Ohineri(オヒネリ)」。同イベントでは、スタッフ、キャストらに最大限の注意を払った上で、無観客でLINELIVEを利用した動画配信を実施。それを見た視聴者がアプリ上で「応援アイテム」を贈ることで、作品の作り手に直接的な支援を行うことができる。今回のイベントを主催する株式会社Office ENDLESS代表取締役・下浦貴敬氏に、開催に至った思いを聞いた。
はい。配信を行う会場は、もともとは弊社制作の舞台を上演するために押さえていた劇場なのですが、新型コロナウイルスの感染拡大予防のために、公演中止・延期検討となり、会場が空いた状態でした。そして、弊社では、このほかにも新型コロナウイルスの影響で3本の作品を上演中止としたため、キャストもスタッフもかなりの人数の方のスケジュールを飛ばしてしまうことになってしまったんです。それを考えると、何かしらの形で現場を提供できないか、というところから思いついたのがこの企画でした。弊社は映像の収録技術もありますし、これまでにも公演の宣伝などで配信を行っていたので、そのノウハウを使うことができます。僕自身が劇団をやっていた頃から「演劇祭」というものになじみがあったこともあり、その形ならば多くの方が参加できるのではないかと考えたのです。
もちろん、これを開催することでリスクを背負うことになるかもしれないとは思っています。弊社のスタッフは、必要最低限の人数で行うため、ごく少人数で配信できると思っていますが、例えば各アーティストの稽古期間はどうするのかなど、感染拡大予防の観点からのリスクがゼロなわけではありません。それについては、それぞれの問題点にどう対応をするのか、真摯(しんし)に向き合っていこうと思っています。もちろん、金銭的な面でのリスクもあります。弊社としては今回の企画は決して黒字になるものではないのですが、この環境においても物ごとを作ったという経験がこの先、3年後かもしれないし、5年後かもしれませんが、絶対に生きてくると思うのと、何より収入が断たれてしまうキャストやスタッフに現場を提供したいという強い思いがあったことから、リスクを考えた上でもやりたいという思い、今回の企画実施に至りました。
それがきっかけとなって、企画がスタートしています。ただ、そこから考えを進めていくと、キャストやスタッフという作り手側と観客側の双方にとって、両者をつなぐものが必要なのではないかということを強く感じました。アーティストたちは、こういう状況だからこそ与えられるものがあると思っておのおのが活動していますし、お客さんの中にも、これまでに経験したことがない非日常を送る中で、「ステージが持っている力を感じたい、それにすがりたい」という思いを持っている方もいると思います。その双方向の思いをつなぐことができればと思っていますし、それが今の状況に対して僕たちができることだと思います。
いえ、僕自身は今回、企画に本腰を入れようと思っています。もちろん、役者や演出家からの要望を受けて、作品のお手伝いやブッキングは行いますが、僕自身で作品を作ってそれを公演するということは考えていません。ただ、現段階で多くの演出家や役者、表現者の方々の賛同を頂いているので、この記事をご覧の皆さんにとってもなじみのある多くの方が参加してくださると思います。
演劇をやっていて、座席に人がいない公演というのはなかなかないと思います。僕自身も今まで「演劇は生で見てこそだから、劇場に来てください」と言い続けてきましたが、今回は初めて「劇場に来ないでください」と言わなければいけない。同じように、役者にとっても、演出家にとっても、ステージに関係する人にとって、今回の企画は初めての経験だと思います。しかし、座席にいなくても、その先には観客がいます。僕は観客がいなければ絶対にステージは成り立たないし、観客は作品を作り上げる最後の1ピースだと思っています。その最後の1ピースを担う方々は、携帯やパソコンを見てつながっているということを実感してもらえたらと思います。きっと、表現者の皆さんは、これまでの表現活動において「観客とつながっている」という感覚を実感したことがあるでしょう。今回の企画に賛同して参加してくださり、その「つながり」を実感してもらうことで、これからもクリエーティブをやっていけるという自信ややりがいを感じてもらえたらうれしいです。
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