【インタビュー】赤坂大歌舞伎「怪談 牡丹燈籠」中村七之助 獅童と兄・勘九郎との共演は「安心感」

2020年3月3日 / 11:00

 18代目中村勘三郎の「芸能の街・赤坂で歌舞伎を!」という一言から、2008年にスタートした赤坂大歌舞伎が3年ぶりに上演される。中村勘九郎、中村七之助兄弟が亡き父の遺志を継いで公演を続け、さらなる進化を遂げてきた本シリーズ。6回目の上演となる今回は中村獅童も加わり「怪談 牡丹燈籠」を上演する。三大怪談話の一つと呼ばれる本作は、三遊亭圓朝の長編落語が原作で明治25年に歌舞伎化されて以来、何度も上演されてきた人気の演目だ。脚本と演出には、昨年放送されたTVドラマ「令和元年版 怪談牡丹燈籠 Beauty&Fear」(NHK BSプレミアム)でも脚本・演出を手掛けた源孝志を迎え、新たな解釈も加えた新作に挑む。男女の愛憎、富を手に入れ狂い出す人生、忠義故に企んだ仇討ちなどが絡み合い、人間の煩悩や本質をも描く本作で、お露、お国、お峰の3役を演じる七之助に話を聞いた。

お露、お国、お峰の三役を演じる中村七之助(ヘアメイク:中村優希子(Feliz Hair)/スタイリスト:寺田邦子)

-本作で七之助さんが演じるお露、お国、お峰という3人の女性についてそれぞれの違いを教えてください。

 まだ源さんの脚本が上がってないので、先日のTVドラマ版でのイメージですが、お国は闇があり妖艶な女性、お露は真っすぐな娘、お峰は本当に人間くさい女性という印象です。

-七之助さんとしては、どの女性が演じていて楽しいですか。

 お国とお峰ですね。立場は違えど、2人とも生きることに一生懸命で、手段を選ばないところは演じていて面白いです。逆にお露だけが異質ですが、生きるという意味で一生懸命な点は他の2人と似ていると思います。演じるのに一番大変なのはお露だと思います。ぱっと出たときに「あっ、いいところのお嬢さまだな」といった説得力が求められるので、その辺りを表現するのが大変なんじゃないかなと。

-以前「源さんの作品は深い」とおっしゃっていましたが、その「深さ」についてもっと聞かせてください。

 歌舞伎の「牡丹燈籠」は役者で魅せる部分が強い作品だと感じています。根本はお峰と伴蔵夫婦がどのようになっていくか、そこに新三郎やお露、お国や源次郎が絡んでいく話ですが、源次郎に至ってはあまり具体的に描かれていないんです。お峰はお金が転がり込んできたら喜んだり、伴蔵が浮気をしたら嫉妬したり…。そんなやり取りを見ているお客さまの方で「人間の業ってあるよね」と感じていただくものとなっています。ところが源さんの脚本では、因果因縁の深さがとてもよく描かれていたので、これはいいなと感じました。男女関係だけでなく、親子関係や師弟関係の因果因縁などが入り乱れていて、そこがとてもエンターテインメント性にあふれていると思ったんです。

-獅童さんと兄の勘九郎さんとの共演については、どう感じていますか。

 獅童さんと兄と僕は昔からずっと知っていますし、ツーカーの仲なので、期待というより安心感を覚えます。獅童さんが演じる源次郎は、男くさくて色気があるので、TVドラマ版とは違うやさぐれ感が出そうです。また獅童さんが演じることで陽気な中に孤独が見え隠れするのも魅力的だと思います。兄が演じる黒川孝助は一本気で真っすぐな人物なので、兄そのものだと思います。また新三郎役の方ですが、源さん版だと、死にたくないという自己防衛から家にお札を貼るんですが、幽霊のお露が毎晩訪ねてくるうちに「この人がいなくちゃ僕は生きていけない」と考え、自らお札をはがして幽霊のお露を迎え入れるんです。孝助にしても新三郎にしても、兄はピュアな役をとても上手に演じるので楽しみです。

-プライベートの話も聞かせてください。赤坂で歌舞伎をやる場合、上演の前後に立ち寄る店などあれば教えていただけますか。

 今も食べてきたのですが、「室町 砂場」というおそば屋さん。父が大好きで子どもの頃から何度も連れていってもらいました。後はジンギスカンの「しろくま」さんもお薦めです。赤坂は多くのお店があるので、終演後にご飯を食べに行くと、店の人たちから「今度見に行きますね」と声を掛けられるんです。歌舞伎座の周りではなかなか声を掛けられないんですよ。場所柄、TBS赤坂ACTシアターは若い方も足を運びやすい劇場なのかもしれませんね。

 
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