【インタビュー】映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン「これで終わりだと思っています」

2019年11月7日 / 09:00

 サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)とT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)の活躍により、30億人の人命が奪われる“審判の日”は回避されたはずだった…。だが、再び新たな脅威が現れ、人類は危機を迎える。その時、サラとT-800が再び姿を現す。『ターミネーター2』(91)の正統な続編として製作された『ターミネーター:ニュー・フェイト』が11月8日から公開される。公開を前に来日したシュワルツェネッガーとハミルトンに話を聞いた。

アーノルド・シュワルツェネッガー(左)とリンダ・ハミルトン

-お二人にとって『ターミネーター』シリーズとはどのようなものでしょうか。また、今回、久しぶりに同じキャラクターを演じるに当たって、何か決め手となったことはありましたか。

リンダ 最初の『ターミネーター』(84)に関わったときは、まさかこのキャラクターと35年も付き合うことになるとは誰も思っていませんでした。ですが、今から思えば、サラ・コナーを演じたことで、その後の私の人生が決まったと言っても過言ではないと思います。『ターミネーター2』から28年たって、もうサラに戻ることはないと思っていましたが、その間、彼女は何をしていたのだろう、どこにいたのだろう、どのように変わったのだろう、ということに興味を持ちました。今のサラは…という好奇心から演じることにしました。

アーノルド 『ターミネーター』シリーズは、自分のキャリアや人生にとって、とても重要なものです。今リンダが言ったように、最初の『ターミネーター』は低予算で作られたアクションムービーだったので、誰もそれ以上のものになるとは思っていませんでした。ところが、ジェームズ・キャメロンの監督術と脚本が素晴らしかったので、公開後はタイム誌のベストテンに選出されるなど、批評家からも絶賛され、ただのアクション映画を超えたことを証明しました。また、タイムトラベルや未来についてなど、人々にいろいろなことを考えさせる要素もあり、それが成功につながったとも思います。1作目に出た後、ハリウッドの多くのアクション映画から私にオファーが来ましたし、2作目ではさらに高みに上ることができました。ですから、これに関われたことはとても幸運だったと思っていますし、多くの人々を楽しませることができたことを大変うれしく思っています。

-記者会見では「ターミネーター(T-800)を演じるのは今回が最後」と語っていましたが…。

アーノルド 毎回「これで終わりだ」と思っていますし、実際に劇中では何度も死んでいます。でも、また演じるかについては、観客の皆さん次第だと思います。ただ、私としては、この物語はこれで終わりだと思いますが、もしかしたら、100年後に私の墓から骸骨を出して使うかもしれませんね(笑)。

-では、サラの戦いはまだまだ続くのでしょうか。

リンダ はー(ため息)。そうなんですか? アーノルドがいなかったら、多分私はやりたいとは思わないでしょう。私も「これで終わり」だと思っていますが、観客のリクエストがあれば、仕方ないのかな…と(笑)。

-今回のサラの初登場シーンを見てどう感じましたか。

リンダ 私は自分を見るのが嫌なんです。本当に見たくないんです(笑)。なので、客席で「サラ、行け!」なんて絶対に言いません。強い役柄を演じるのはとても楽しいのですが、見るのは楽しくありません。

アーノルド あのシーンを撮影しているとき、私は手術後で、自宅で静養していました。ところが、ティム・ミラー監督から、全くコメントなしで、あのシーンの映像が送られてきました。それを見て、「すごい。戻ってきたな」と思って興奮しました。リンダの自信のある表情も、武器の扱い方もとてもいいと思いました。その後、実際に自分がセットに入って彼女を見たときに、1年を懸けて体作りやトレーニングに励んだ跡がうかがえました。彼女は完璧主義者なので、どれほど努力したかが分かりますし、女性のアクションヒーローの基準をさらに上げたと思いました。91年に『ターミネーター2』で彼女が成し遂げたときには、「もうこれ以上はできないだろう」と思ったのに、今回、さらにその上をいったのを目撃して、とても感動しました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作『宝島』/純文学風ミステリーの趣『遠い山なみの光』

映画2025年9月18日

『宝島』(9月19日公開)  1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。  村の英雄でリーダー格のオン(永山瑛太)と弟のレイ(窪田正孝)、彼らの幼なじみ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

 朝鮮の文化を近代日本に紹介した民藝運動家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎。彼らが1930年代に見た朝鮮の風景に憧れ、1970年に韓国の農村を訪れたのが写真家の藤本巧さんだ。以来50年以上にわたり、韓国の人々と文化をフィルムに刻み続けてきた。 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

 世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

Willfriends

page top