「日本中が心から応援する気持ちが『前畑がんばれ!』という言葉になった。とてもすてきなことだと思いました」上白石萌歌(前畑秀子)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年9月22日 / 20:50

―劇中ではオリンピック選手としてだけでなく、前畑さんの普通の女の子としての一面も描かれています。共感する部分はありますか。

 周囲からは「特別な女性」と見られていましたが、前畑さん自身は、試合直前に「勝てへん!」と不安になって控え室を歩き回ったり、「この男子選手がカッコいいよね」みたいな話を女子同士で繰り広げたりする普通の女の子。そういう一面に、すごく共感できました。「こんなにすごい選手でも、プレッシャーを感じ、期待や不安を胸に秘めて戦っていたんだ」と考えたら、役に懸ける気持ちがどんどん膨れ上がって…。私自身も平泳ぎが大好きだったので、「水泳に対する気持ちがリンクすればいいな」と思い、「誰よりも水泳を愛そう」という気持ちで練習に取り組むことができました。

―前畑さんのことは、以前からご存じでしたか。

 知っていました。祖母が水泳をやっていたので。出演が決まったことを報告したら、ものすごく喜んでくれました。祖母の世代にとって、前畑さんはものすごく輝いた女性だったようです。元々私が苦手だった水泳を始めたのも、祖母がきっかけです。水泳が得意な祖母を見て「なぜ、おばあちゃんのように泳げないんだろう」と悔しくなり、小学4年生の時から祖母と同じスイミングスクールに通わせてもらいました。おかげで今回は、いい恩返しができました。

―ここまで撮影してきた感想は?

 とても楽しかったです。オリンピックのシーンは、ずっと水の中にいたので、体力的にも精神的にも大変でしたが、水泳チームの仲の良さに支えられました。あのメンバーと一緒でなかったら、乗り越えられなかったかもしれません。「『いだてん』の中で、水泳チームが一番仲がいい」と言われるくらい絆が深まったので、撮影が終わっても、ずっとこの関係が続いていったらいいな…と思っています。

(取材・文/井上健一)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

-小学生の頃、絵画教室に通われていたそうですが、演じる上で役立った部分はありますか。  僕は子どもの頃から、絵画教室に通ったり、自宅では粘土で架空のモンスターを作ったりしていました。そういう創作を楽しむ部分は、嵩に通じるものがありました。前 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

-なるほど。そうして前に進んだ先に、どんな未来をイメージしていますか。  先のことはあまり考えていないです。友達たちが家を建てたり、子どもが生まれたりしているのを見ると、そうした未来を自分が持ったらどうなるんだろうなと考えることはありますが … 続きを読む

Willfriends

page top