【インタビュー】舞台「相対的浮世絵」石田明「舞台に出れば出るほど、それが漫才にも生きてくる」

2019年9月20日 / 15:07

 2004年、2010年に上演され、大好評を博した土田英生の傑作コメディ「相対的浮世絵」が9年ぶりに、青木豪演出で上演される。主演を務めるのは、成長目覚ましい山本亮太(宇宙Six/ジャニーズJr.)。伊礼彼方、石田明(NON STYLE)、玉置玲央、山西惇が脇を固め、笑いの中にも人間の性(さが)や業を描き出す本作に挑む。お笑い芸人として活躍するだけでなく、舞台作品にも積極的に参加する石田に、演劇への思いを聞いた。

関守役の石田明(NON STYLE)

―再々演となる本作ですが、これまでの作品はご覧になりましたか。

 見ました! ただのコメディとしての面白さだけじゃなく、人間というものをしっかりと描いていて面白い作品でした。

―今回、石田さんは、ややこしい問題を抱えながら生きているところに、高校生の時に死んだはずの同級生と再会する関守を演じます。今現在、どのように演じたいと考えていますか。

 振り幅を大きくしたいと思ってます。関守は真っ直ぐな人間で、その真っ直ぐさが物語のねじれにつながっているので、それを思いっ切り表現したいです。

―主演の山本さんとは初共演ですが、彼の印象は?

 以前に一度、新幹線で会ったことがあるんですが、その時は「今度、ご一緒させてもらいます」ってあいさつしてくれました。その時も、すごく爽やかで、シトラスの香りが自然と出ているような雰囲気の方だったので、僕もその爽やかさをもらって帰ろうと思ってます(笑)。僕もどんどんおじさんになってますし、今、いろいろと黒い感じなので(笑)。

―石田さんは舞台の脚本も書かれたり、演出もされたりしていますが、もともと、演劇に興味があったんですか。

 僕はそもそも、「ザ・プラン9」というお笑いユニットの久馬さんが漫才をやっている姿を見て、衝撃を受けて、この世界に入ろうと思ったんです。それで、吉本に入ったんですが、久馬さんは演劇集団を作っていたので、僕も演劇をと思ったんです。僕、ずっと久馬さんを追い続けているんですよ。久馬さんが演劇をやっているからやる。久馬さんが脚本を書いているから僕も書く、という感じでずっと追い掛けています。

―では、お笑いと芝居のバランスというのは、石田さんの中でどのように取っているのですか。

 僕はお笑いと舞台という線引きではなく、「生もの」と「映像」という線引きをしています。テレビのバラエティや映画、ドラマなんかは「映像」、お笑いや舞台は同じ「生もの」というくくりです。なので、お笑いと舞台では線引きはしてないですが、なるべく(舞台に出演することで)お客さんの前に立とうということは心掛けています。お客さんから受け取るものも多いので、舞台に出れば出るほど、それが漫才にも生きてくると思います。

―相方の井上裕介さんと同じ舞台作品に出演することは少ないように思いますが、一緒に出たいという思いはありますか。

 それは思わないですね(苦笑)。舞台に一緒に出ても、漫才を超えるパフォーマンスはできないですから。漫才以上の化学変化は起こらない。だから、一緒に芝居をやろうとは思わないですね。でも、以前にやったことはあるんです。井上が僕の肩を押すシーンで、押したつもりが全然届いてなかったということがあって…あいつ、自分の腕の長さが分かってないんですよ(笑)。ほんまに笑いそうになって、それ以来、こいつとはできないなって思ってます。

―井上さんを(芝居で)演出しようとは思いませんか。井上さんを一番ご存じなのは石田さんですよね。

 そうなんですが、多分、これ以上僕のプロデュースを受けたくないと思いますよ、井上は(笑)。漫才だけでも、せりふを言わされているのに、それ以外の仕事でもこうしてくれ、こう動いてくれと僕に言われるのはストレスだと思います(笑)。

―では、コンビで活動している時と、本作のように個人で活動している時では気持ちに違いがありますか。

 井上とやっていると、井上が面白く映る方向に動くので、すでに型が決まっちゃっていて実は退屈だったりもします。もうコンビを組んで20年以上になりますから、その中でいろいろな型が作られてきて、新しいワードで埋めたとしても同じ型だったり、その延長線上にあることが多いんですよ。でも、個人で活動して、例えば芝居をやるとこんな戦い方もあるんだということに気付かされます。こんな笑いの取り方もあるんだって気付くことが多いので、面白いんです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

瀬戸利樹、セラピスト役は「マッチョな体も見どころ」 役作りは「実際に施術を見学して、レクチャーを受けました」

ドラマ2024年4月24日

 現在放送中のドラマ「買われた男」で主演を務める瀬戸利樹が取材に応じ、本作の魅力や役作りについて語った。  本作は、三並央実氏と芹沢由紀子氏による漫画『買われた男~女性限定快感セラピスト~』が原作。セックスレスの主婦、芸能人、女社長、風俗嬢 … 続きを読む

ディズニーの人気者「くまのプーさん」がミュージカルに! 「没入感や生の迫力を楽しめる」舞台公演を福尾誠が語る【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年4月21日

 ディズニーの大人気者、くまのプーさんと仲間たち、クリストファー・ロビンが四季をめぐって楽しい冒険をする、新作ミュージカル「ディズニー くまのプーさん」が4月27日から全国10都市で上演される。等身大のパペットを役者たちが操り、すてきなセッ … 続きを読む

「光る君へ」第十五回「おごれる者たち」見どころを成立させるドラマの積み重ね【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月20日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月14日に放送された第十五回「おごれる者たち」では、藤原道長(柄本佑)の長兄・道隆(井浦新)を筆頭に、隆盛を誇る藤原一族の姿やその支配下の世で生きる主人公まひろ(吉高由里子)の日常が描かれた。 … 続きを読む

Willfriends

page top