エンターテインメント・ウェブマガジン
「HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」が2019年8月から、7年ぶりに日本で上演される。本作は、1997年からオフブロードウェーで初上演されロングランを記録、その後世界各地で上演後、01年には映画化もされ、数々の賞を受賞した。愛と自由を手に入れるため、性転換手術を受けたものの、手術の失敗によって股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまったロックシンガー、ヘドウィグ。幾多の出会いと別れを経験し、傷つき倒れそうになりながらも己の存在理由を問い続け、「愛」を叫び求める姿が描かれる。日本語版公演では、過去に三上博史、山本耕史、森山未來が主演し、話題となった。本作でヘドウィグを演じる浦井健治に話を聞いた。
生では見ていないんです。でもそれが逆に良かったのかも、とも思っています。例えば三上博史さんが演じるヘドウィグを見ていたら、きっと飲み込まれていたに違いないですから。「三上さんがやればいい」って言ってしまいそうだし…。
実はいつの時代も変わらないメッセージを持つ戯曲なので、「なぜ日本で」という視点はちょっと違うのかも、と思うんです。いつだって、どこでだって上演できる作品であり、シェークスピアのような、人間を描いている「古典」であると思うから。だから、今は「今の自分たちでできる『ヘドウィグ~』とはどのようなものだろうか?」を、みんなで考えているところなんです。
何しろお手本ともいえる(イツァーク役の)アヴちゃんがいるので(笑)。アヴちゃんは歌い方、存在感、身振り手振りも惜しげもなく全て見せてくれるので、まねではなく、お手本としてそういうところを目指していけたらなと思っています。最初、われわれは「これらの歌をどう歌おうか」という目線で取り組もうとしていたんですが、翻訳・演出の福山桜子さんは、歌を通して、演劇としてうそのない歌詞と芝居を作ろうとしてくださっています。時代背景や情報をワークショップ的な場で体感させつつ、言葉にリアルさを目指しています。
だから演じる側も、毎回「これが最後のライブ」となるべく、本番になっても毎公演毎公演ガラッと変わるぐらい、いい意味で“キマらない”と思います。音楽監督の大塚茜さんや歌唱指導の冠徹弥さんなど、スタッフもキャストも一丸となって頑張っています。冠さんについては、歌い方や、声の出し方などの技術も全て教えてくださるので、みんなでそれを吸収しようと真剣に見ているんです。
それが今回は苦手だと感じないんです。今回演じる「怒り」は一人で芝居をするときの「怒り」ではないから。ベルリンの壁や家族の問題など、ヘドウィグが抱えているものから放たれる「歌」なんです。今までトライしたことがない歌い方をゼロからやることで、怒りの昇華、表現につなげていこうとしています。(演出の福山)桜子さん、アヴちゃん、(音楽監督の大塚)茜さんたちと「皆で作っていこう」というこの空気が僕の背中を押してくれているんです。
「The Origin Of Love」ですね。ママの事は絶対許せないんだけど、そういう環境で育てられた中での自分の核となることは…という場面で歌う曲ですが、そこから人類とは、命とは、ということを語っている壮大さに心引かれます。あとは後半で僕が歌うシャンソンのような、歌うというか、ずっと語っていて最後は「無」となるような「Midnight Radio」では表現の極致を目指せる気がします。
映画2025年9月18日
『宝島』(9月19日公開) 1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。 村の英雄でリーダー格のオン(永山瑛太)と弟のレイ(窪田正孝)、彼らの幼なじみ … 続きを読む
2025年9月18日
朝鮮の文化を近代日本に紹介した民藝運動家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎。彼らが1930年代に見た朝鮮の風景に憧れ、1970年に韓国の農村を訪れたのが写真家の藤本巧さんだ。以来50年以上にわたり、韓国の人々と文化をフィルムに刻み続けてきた。 … 続きを読む
映画2025年9月18日
世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む
映画2025年9月16日
東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む
映画2025年9月12日
ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む