【インタビュー】「デジタル・タトゥー」高橋克実「SNSの問題に弁護士が介在するという話は初めて聞きました」瀬戸康史「普通に暮らしている方も、こういう危険に直面する時代」

2019年5月17日 / 18:00

 “デジタル・タトゥー”とは、悪意に基づき、ネット上に誹謗(ひぼう)中傷や個人情報が書き込まれた結果、いつまでも消えずに人々を苦しめる様子を入れ墨に例えた表現である。本作は、この“デジタル・タトゥー”を題材に、50代の弁護士・岩井と20代のユーチューバー、タイガがコンビを組み、さまざまな事件に立ち向かう姿を描いたサスペンスドラマだ。5月18日の放送開始(NHK総合午後9時から。全5回)を前に、岩井役の高橋克実とタイガ役の瀬戸康史が、ドラマの魅力、撮影の舞台裏を語ってくれた。

岩井役の高橋克実(左)とタイガ役の瀬戸康史

-このドラマのオファーを受けたとき、どんなことを感じましたか。

高橋 SNSを扱ったドラマが最近増えてきた印象はありましたが、そこに弁護士が介在するという話を聞いたのは初めてでした。これからはこういうことが事件として扱われ、弁護士が出てくる事態が起きるんだなと。今後、ますます増えていくでしょうね。

瀬戸 僕自身もSNSを使っていますが、このドラマのように、自分が悪意の標的になることもあり得ます。そういう世の中で、どんなふうに発信していけばいいのかと、改めて考えさせられました。

-役作りはどのように?

高橋 弁護士役は初めてなので、なんとなく柔らかい感じかな…と思いながら台本を読んでみたら、ずいぶん迫力のある役で驚きました。「こんなものの言い方をするんですか?」と聞いてみたところ、“ヤメ検”と呼ばれる元検事の方たちは、大物と渡り合ってきた経験があるので、それなりに迫力があるんだと。僕は仕事で弁護士の方にお会いすることもあるので、その中でイメージが近い方の話し方などを参考にさせていただきました。

瀬戸 いろいろなユーチューバーの方の映像を見させていただきました。落ち着いた雰囲気の方からにぎやかな方まで、皆さん個性はバラバラでしたが、共通するのは、視聴者の年齢層が若いためか、テンションが高めだということ。なので、僕自身はどちらかというと落ち着いたタイプですが、ユーチューバーとしてのタイガを演じるときは、かなりテンションを上げていきました。

-お互いの初共演の感想を。

高橋 瀬戸くんと面識はありましたが、お芝居での共演は初めて。ただ、顔合わせや本読みのときから、すっと入っていくことができたので、初めてという感じはしませんでした。相性がいいというのは、こういうことかなと。

瀬戸 僕も同意見です。こんなにしっくりくる感覚は初めてで、かなり克実さんを頼りにさせていただきました。初めてタイガが岩井の事務所を訪ねるシーンでは、僕と克実さんの仲が良過ぎて、監督から「もう少し距離感を…」と言われました(笑)。

-岩井とタイガの距離感はどのように考えていましたか。

高橋 岩井は最初、タイガのことをうさんくさそうに見ていますが、距離が縮まるに従って、どんどん好きになっていく部分があったんだろうなと。実は後半、事情があってタイガが岩井のもとを離れるのですが、瀬戸くんと絡む場面がなくなり、僕自身も寂しくなってしまいました(笑)。

瀬戸 タイガには大物政治家の父親がいますが、事情があって疎遠になっています。その分、岩井に「理想のお父さん」のイメージを重ねていたのではないでしょうか。だから、「おじさん」と呼んではいるものの、実は「お父さん」と呼びたい気持ちもあるのかな…と。

-演じる中で、ネット社会の怖さを感じた部分はありましたか。

高橋 今は「スマホやタブレットが使えなければ駄目」みたいな世の中になっていますが、書かれた文字だけでやりとりするのはとても怖いことだな…と。例えば、謝罪する場合、直接顔を見て「悪かった。あんな言い方するつもりはなかった」と言えば、表情で伝わるものもあるので、すぐに解決します。でも、文字だけで「ごめんね」と書くと、「そんな謝り方をされても…」と受け取られることもあるし、場合によっては「ばかにしている」と思われかねない。そうなると結局、会って話した方が早い。物事を伝えるスピードは速くなっているけど、その分、ややこしくなることも多い。そんなことを感じました。

瀬戸 第1回で、タイガが映像に映った制服から、どこの学校の生徒か調べる場面がありましたが、ソフトや機器の使い方さえ知っていれば、今はいろいろなことが簡単に特定できてしまうんですよね。それがとても怖いな…と。犯罪につながる可能性もあるわけですから。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

藤原竜也が挑む「マクベス」 「1日1日、壁を突破することが目標」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月29日

 2024年5月にスタートした、吉田鋼太郎が芸術監督を務める【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】。待望の二作目となる「マクベス」が、藤原竜也を主演に迎え、5月8日から上演される。藤原に初めて挑む「マクベス」への思いや吉田とのクリエイトに … 続きを読む

竈門炭治郎を演じる阪本奨悟が語る、舞台「鬼滅の刃」の魅力 「生身の人間が演じているからこそ、リアルに共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月28日

 「週刊少年ジャンプ」で2020年5月まで連載していた吾峠呼世晴による大ヒット漫画『鬼滅の刃』。2020年に初めて舞台化されて以降、シリーズを重ね、4月11日からはシリーズ5作目となる、舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里が上演される。 … 続きを読む

【週末映画コラム】何と主人公がサル!? 新たな試みの音楽伝記映画『BETTER MAN/ベター・マン』/17回死んでは生き返った男の悲喜劇『ミッキー17』

映画2025年3月28日

『BETTER MAN/ベター・マン』(3月28日公開)  イギリス北部の街に生まれ、祖母の大きな愛に包まれながら育ったロビー・ウィリアムズ。1990年代初頭にボーイズグループ「テイク・ザット」のメンバーとしてデビューし、ポップスターの道を … 続きを読む

梶裕貴&伊藤美来、声優たちが紡ぐ「明日を生きる糧になる物語」 朗読劇「君の膵臓をたべたい」2025【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月27日

 住野よるの大ヒット小説を原作とした朗読劇「君の膵臓をたべたい」2025が4月5日・6日に上演される。本作は、声優たちの「声」に特化した企画として2022年に初演。主人公の「僕」が病院で偶然拾った本をきっかけに、クラスメートの山内桜良と心を … 続きを読む

松島聡、タイプロを終え「自分の武器になりそうだなと思うところも見えてきた」 役者業を通して「自分という人間を更新」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月26日

 長澤まさみと森山未來が14年ぶりにタッグを組むBunkamura Production 2025「おどる夫婦」が4月10日から開幕する。とある夫婦の約10年間の軌跡を描く本作で、妻・キヌの弟で、普段は屈託がないものの時折情緒が乱れる光也を … 続きを読む

Willfriends

page top