「監督からいきなり『肋木に足を掛けて…』と言われ、焦りました(笑)」杉本哲太(永井道明)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年5月12日 / 21:00

-永井は嘉納治五郎、可児徳と一緒の場面が多いですが、演じる役所広司さん、古舘寬治さんと共演した感想は?

 面白いですね。校長室のシーンはまとめて撮ることが多いのですが、いろいろな人が出入りする中でも、僕と役所さんと古舘さんはいつも一緒。ずっと大声を張り上げているので大変ですが、3人のアンサンブルは大好きです。治五郎さんには懐の深さがありますし、中間管理職的な可児さんも魅力的。可児さんと2人で酔っ払ってクダを巻いて、安仁子(シャーロット・ケイト・フォックス)の悪口を言う場面(第8回)は、撮影の前日ベンチで休憩していたら、古館さんから「あの場面、哲太さんとアドリブでやれたら楽しいなー」と言われたりして、ちょっと緊張しましたが楽しかったです(笑)。

-金栗四三役の中村勘九郎さんの印象は?

 僕がミスター・肋木なら、勘九郎さんはミスター・ストイックマンです(笑)。体作りを含めた役作りに余念がない。話を聞いてみたら、撮影前にジムで筋トレをしてきたり、撮影が終わった後にジムに行ったりしているそうです。360度、どこから見ても四三さん。まるで乗り移っているようで、四三さんなのか、勘九郎さんなのか、分からないくらいです。

-永井を含め、どの登場人物も熱く個性的で、今の日本人とはだいぶ印象が異なりますが、演じていてどんなことを感じますか。

 最近は、自分の思いや主張はあっても、表に出したり話したりするのはかっこ悪いことと思われているのかな。でも、このドラマに出てくるのは、それとは正反対で熱い人ばかり。もしかしたら、「暑苦しい」と感じる人もいるかもしれません。でも、僕らの先生や先輩を含めて、そういうふうに自分の主張をはっきり持っている熱い人がたくさんいらっしゃった。もちろん、大声を出せばいいというわけではありませんが、そういう「熱さ」も日本人の良さの一つではないかと思うんです。このドラマの「熱さ」から、何かを感じてもらえたらいいですね。

(取材・文/井上健一)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】

映画2025年8月26日

-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。  奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけ … 続きを読む

上田竜也&橋本良亮、舞台初共演を通して「絆はより強固になる」 音楽劇「謎解きはディナーのあとで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月26日

-皆さんの歌唱シーンもあるのですか。 橋本 それはもちろん、ちょくちょくあります(笑)。歌います。アンサンブルの方と一緒に歌うシーンもありますが、ミュージカルではないんです。バックに流れていて、それに合わせて芝居していくという形だと思います … 続きを読む

青山貴洋監督「問診シーンが最大の課題に」日曜劇場『19番目のカルテ』【インタビュー】

ドラマ2025年8月25日

 また、原作から得た気付きも大きいという。「原作には、読者の感情を揺さぶる瞬間が描かれています。それがどこにあるのかを探りながら、ドラマにもそのエッセンスを取り入れるようにしています」。  原作の短編では、百々がさまざまな医療機関を受診して … 続きを読む

中園ミホ 連続テレビ小説「あんぱん」は「やなせたかしさんが書かせてくださった」執筆を終えた脚本家が物語を振り返る【インタビュー】

ドラマ2025年8月22日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、いよいよクライマックスが近づいてきた。このタ … 続きを読む

森田剛「戦争と背中合わせの世界であるということは今も変わらない」 19世紀を代表する未完の戯曲に挑む パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月22日

-本作は、19世紀を代表する未完の戯曲です。そうした作品を今、上演する面白さや魅力はどう感じていますか。  自分は与えられた役を生きることに集中したいと思います。ただ、今も昔も、みんなそれぞれに傷ついて、それを隠して生きていると思います。戦 … 続きを読む

Willfriends

page top