【インタビュー】『ダンボ』ティム・バートン監督「他者からは欠点に見えることを肯定的に捉えてみれば、それは美しさに変わるのです」

2019年3月20日 / 10:00

-監督にとって、ダンボの大きな耳に当たるものはありますか。

 他の人にとっては欠点や短所に思えることを乗り越えて生きている人はたくさんいると思います。それは肉体的なものかもしれないし、精神的なものかもしれません。この映画ではその問題を“空飛ぶゾウ”という形に単純化して語っています。

-監督の映画には、例えば『ビッグ・フィッシュ』(03)のように、サーカスが出てくるものがあります。今回もご自身のサーカスへの思い入れを表現したかったのでしょうか。

 とてもいい質問です。実は子どもの頃、サーカスはあまり好きではありませんでした。動物が捕らわれておりの中に入れられているのが嫌だったし、ピエロや、団員たちがやっている芸も怖いと感じていました。ただ概念としては、「こんな家から逃げ出してサーカスに入るんだ」というフレーズがとても好きでしたし、「居場所のない者や異形の者、仕事のない者が、そこに集まって何かを成し遂げる」というイメージにも引かれました。そういうものが私の映画に出ているのだと思います。

-では、今後撮ってみたい映画は?

 今はこれを撮り終えたばかりなので、私としては「この世の終わりだ。後は闇だ。無の世界だ」と思っています(笑)。だから今はまだ何も考えられません。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】夏の日の少年たちが頑張る映画『ベスト・キッド:レジェンズ』『蔵のある街』『海辺へ行く道』

映画2025年9月1日

『蔵のある街』(8月22日公開)  岡山県倉敷市に住む高校生の蒼(山時聡真)と祈一(櫻井健人)と紅子(中島瑠菜)は、小学校からの幼なじみ。ある日、蒼と祈一は、紅子の兄で自閉スペクトラム症のきょんくん(堀家一希)が神社の大木に登って叫んでいる … 続きを読む

新浜レオン「大きな夢がかないました」念願だった大河ドラマ初出演【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月31日

-主演の横浜流星さんとは同世代ですが、ご一緒した感想はいかがでしたか。  横浜さんは昨年末、僕が初出場したNHK紅白歌合戦の審査員を務めてくださり、その2カ月後には成田山新勝寺で行われた節分の豆まきでもご一緒しました。今回が3度目の対面とい … 続きを読む

水上恒司、池田千尋監督「人間の心が一番の謎。その謎を一緒に楽しんでもらえたらと思います」『九龍ジェネリックロマンス』【インタビュー】

映画2025年8月29日

-今回は、実年齢より年上の役で年上の吉岡里帆さんの先輩役でもありましたが難しかったですか。 水上 難しかったです。30代の工藤は単純に今の自分を老けさせればいいという話でもなく、精神的な部分で年上の人間として、令子がほれるような人間像を作っ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(2)大阪下町に生まれて

舞台・ミュージカル2025年8月28日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼講談は落ちない  「今日の話はオ … 続きを読む

原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】

映画2025年8月26日

-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。  奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけ … 続きを読む

Willfriends

page top