【インタビュー】『ダンボ』コリン・ファレル「これなら自分の子どもたちにも見てもらえると思いました」

2019年3月25日 / 10:00

 1941年製作のディズニー・アニメ映画『ダンボ』を実写化したファンタジーアドベンチャー『ダンボ』が3月29日から公開される。サーカス団に飼われ、大きな耳を使って空を飛ぶことができるゾウの子どもが、サーカス団の家族の力を借りて引き離された母親を救うために活躍する姿を描く。本作で、サーカス団の元看板スターでダンボの世話係となるホルトを演じたコリン・ファレルが来日し、ティム・バートン監督や役に対する思いなどを語った。

コリン・ファレル

-オリジナルのアニメ映画は見ていましたか。

 実は、今回の撮影が始まる3カ月前に初めて見ました。今回はオリジナルにはなかった、私が演じたホルトの一家のドラマが取り入れられています。そして、ホルトの子どもたちは母親を病で失い、ダンボも母親と引き離されてしまうというように、ホルト一家の物語とゾウの母子の物語とが、互いに響き合うようになっています。

-このところ『聖なる鹿殺し』(17)のような、家族で見るのは…というダークな役柄が続いていましたが、家族向けの本作を選んだ理由と、作品選びの基準があれば教えてください。

 最も重要視しているのは脚本です。脚本が良くなければ演じるキャラクターに対して好奇心や共感が持てないですから。ですから、どんなに監督が素晴らしくてもいい脚本がなければ…という思いがあります。ただ、今回は全ての年齢の観客の心に響くような、とても美しい脚本はもちろんですが、出演を決めた最大の理由は「ティム・バートンが監督をするから」ということでした。彼の映画に出ることは長い間の夢でした。俳優になる前の、一映画ファンの頃から、彼の作品には思い入れがありました。ですから、今回は夢がかなった気がしましたし、ファンとしての思いと俳優としての思いが交錯した不思議な感じがしました。また『ダンボ』自体が、ティムが持っているファンタジックな力や優しさを遺憾なく発揮できる素材だと感じましたし、これなら自分の子どもたちにも見てもらえると思いました。

-本作は自分の個性と向き合う物語で、できないと思い込んでいることが実はできるというメッセージも含まれていると思いますが、ご自身にも過去にそうした体験はありましたか。

 ダンボは翼がなければ飛ぶことはできないと思っていたけれど、翼はただのシンボルだったわけです。私たちが生きていく上で、時にはそうした心のよりどころとなるシンボルは必要なのだと思います。これがあれば、この人がいればできると思える瞬間があってもいいと思います。ただ、人は成長する中で、外側のものに頼らなくても、強さは自分の中にあると気付くわけです。人は皆生まれたときから何か素晴らしいものを持っています。ダンボもそうです。私の人生はとても恵まれたものだと思いますが、2人の子どもの父親としての悩みや葛藤もあります。ただ、同時に彼らの成長を間近で見られ、父親でいられることの素晴らしさも感じています。

-今回は戦争で片腕を失ったという設定でした。片腕で乗馬やアクションなどを行うのは大変でしたか。

 ずっとグリーンの袋のようなものを腕に付けて演技をしました。後はVFXのチームがうまくやってくれると思ったので、それほど大変だとは思いませんでした。乗馬は大好きなので、できることは全てやらせてもらいました。ホルトの失われた腕も一つのシンボルです。ダンボにとっての翼がポジティブなシンボルであれば、ホルトの腕はネガティブなシンボルです。また、肉体的なハンディに加えて、子どもたちとうまくつながれないというホルトの屈折した心理状態のシンボルでもあります。

-俳優として「まだこれをやっていない」とか「これをやってみたい」と思うことはありますか。

 まだまだたくさんあります。それぞれ違った役で、さまざまな問い掛けができるのが俳優の面白いところです。ただ、どの役作りでも、そのキャラクターが、どんなイデオロギーや哲学や背景を持っているのかを考えることに変わりはありません。そこからそのキャラクター特有の何かを見つけ出していくのです。繰り返しは避けたいので、常に新しいものや違うものを求めています。

-本作について「違いを受け入れるのではなく、称賛し合うことが大切だ」と語っていますね。サーカスはそれを象徴するものだと思いますが。

 確かに、サーカスは一般社会からはみ出してしまったと感じている人たちがいられる場所だと思います。また、綱渡りをしたり、口から火を吹いたり、曲芸をしたりと、とてもユニークな技を磨いた人たちが、その力を発揮できる場でもあると思います。オリジナル版の、サーカスにいる動物たちはとても幸せそうに見えましたが、今回は動物たちがサーカスに使役されていることを描き、より現実に近いものになっています。動物はおりに入れるものではないというメッセージが入っていると思います。ただ、私自身も子どもの頃は 日常の詰まらない世界から逃げ出して、サーカスに入ってみたいと思ったことはあります(笑)。

-共演したエバ・グリーン、ダニー・デビート、マイケル・キートンの印象は?

 本当にすてきな人たちで、とてもラブリーな体験でした。みんなティムとは関係性が強い人たちだったので、その中に自分が入っていくのは難しいかなとも思いましたが、実際は全くそんなことはなく、とても楽しかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【演劇コラム】人気俳優出演作から大人気原作の舞台化まで、2019年秋冬の注目舞台!

舞台・ミュージカル2019年8月16日

 昨今、夏恒例の音楽番組にミュージカル俳優たちが出演し、見事な歌声を聞かせることも多くなった。このように、大きな盛り上がりを見せているミュージカル、演劇業界だが、実際にはまだまだ劇場に足を運んだことがないという人も多いのでは。そこで、舞台初 … 続きを読む

【インタビュー】ミュージカル「ペテン師と詐欺師」山田孝之&石丸幹二コンビが送る珠玉のコメディー「見終わった後にすごくハッピーな気持ちになれる」

舞台・ミュージカル2019年8月15日

 テレビドラマの脚本・演出や映画監督としても活躍する福田雄一が演出・上演台本を手掛け、山田孝之と石丸幹二がW主演するミュージカル「ペテン師と詐欺師」が9月1日から上演される。2005年にブロードウェーでミュージカル化され、トニー賞で10部門 … 続きを読む

【2.5次元】財木琢磨&古田一紀、久々の共演で共に目指す「生演奏」 「この音とまれ!」インタビュー

舞台・ミュージカル2019年8月13日

 『ジャンプSQ.』に連載中のコミックス(アミュー作)を舞台化し、和楽器「箏(こと)」に情熱を注ぐ高校生たちの青春を描く「この音とまれ!」の公演が8月17日からスタートする。上級生にすら恐れられる不良少年だが仲間思いの優しさを持つ久遠愛を演 … 続きを読む

【映画コラム】日本の近代史を総括するドキュメンタリー映画『東京裁判』

映画2019年8月12日

 ドキュメンタリー映画『東京裁判』(83)が、監督補佐・脚本の小笠原清らの監修のもとで修復され、4Kデジタルリマスター版として8月3日に公開された。  本作は、終戦後の昭和23年に行われた極東国際軍事裁判(通称、東京裁判)の模様を、アメリカ … 続きを読む

「今までミュージシャンとして培ったものを生かして一生懸命、アナウンサーを演じているところです」トータス松本(河西三省)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

ドラマ2019年8月11日

 開幕したロサンゼルス五輪でメダルラッシュの快進撃を見せる日本水泳陣。日本国内にその喜びを伝えたのが報道陣だ。だが、当時のスポーツ報道は発展途上で、さまざまな苦労が伴った。第30回では、現場で見た競技の様子を、あたかも目の前で行われているよ … 続きを読む

アクセスランキング RANKING

page top