【インタビュー】「連続ドラマW 絶叫」尾野真千子「台本を読んで『私もこうなっていたかも…』と思い、ゾクッとしました」

2019年3月22日 / 15:48

 3月24日からWOWOWで放送が開始される「連続ドラマW 絶叫」は、貧困や無縁社会、ブラック企業という現代社会の闇に切り込む社会派サスペンス。平凡な家庭に生まれながらも、家族の不幸をきっかけに人生を踏み外して転落、やがて犯罪に手を染めていく主人公・鈴木陽子を演じるのは、演技派女優・尾野真千子。「私もこうなっていたかも…」と語る鈴木陽子役に対する思いを中心に、撮影の舞台裏を聞いた。

ヘアメイク:山内聖子( söt )/スタイリト:山口幸奈( BRÜCKE )

-台本を読んだときの感想は?

 本当に心が痛い作品だな…と。なぜ誰も、陽子のことを救ってあげられなかったのかと思いました。誰でも陽子のようになり得る可能性がありますし、仕事がなかった下積み時代のことを振り返ると、私だって一歩間違えればこうなっていたかもしれない…。そう考えたら、ゾクッとしました。そういう意味で、私自身も陽子に共感しましたし、視聴者の方にも共感していただけるのではないでしょうか。

-そんな陽子という女性を演じてみた感想は?

 やっぱり、感情移入しやすいですね。普段、現実味の薄い作品に出演するときは、気持ちをどう持っていけばいいのか悩むこともありますが、今回は自分自身がお手本かと思うほど身近に感じます。普通に涙も出てきますし、素直に役と向き合えているような気がします。

-身近に感じると言っても、陽子のように犯罪に手を染めるところまではなかなかいかないわけですが、そのあたりはどう受け止めましたか。

 近からず、遠からずだなと…。お金がないだけで、人はとてもみじめで不安な気持ちになります。電車に乗ることすらできず、何もできない。そうすると、全てが敵に見えてくるんです。時には、ただお店で商品を売っているだけの人にまで、「物を売っているぐらいで、人を上から見るんじゃないわよ」みたいな感情を抱いてしまいますし…。やりたいのにできない。やれる体はあるのに、できない。そういうことが人をどんどん人をマイナス思考にしていく。だから、普通は「犯罪なんて…」と思っていても、そういう気持ちになるまで、実はそんなに遠くないような気がします。

-尾野さん自身が、それほど身近に感じる陽子のようにならずに済んだのはなぜでしょうか。

 私には、お金がないときでも、話を聞いてくれる人たちや助けになってくれる人たちがいました。悩んでいるときも、少なくとも週に1回は家族と話ができましたから…。周りの人に恵まれていたから、なんとかやってこられたんだと思います。でも、陽子はそうではなかった。母親から見捨てられ、誰にも話を聞いてもらえなかった。そのことを考えると、本当に心が痛いです。

-そんな陽子を演じる上で心掛けていることは?

 「ごく普通の人を演じてほしい」。最初にプロデューサーや監督から、そう言われました。「普通の人がどうなっていくのかを描きたいので」と。だから、本当に平凡な普通の人を演じています。ただ、ぼそぼそと小声でしゃべってばかりいるので、ストレスがたまります(笑)。猫背でうつむきながら「すみませんでした」と謝るような場面も多く、肩も凝りますし…。タイトル通り絶叫するシーンもあるのですが、まだ撮影していないので、早くやってすっきりしたいです(笑)。

-髪を切られたのは、役作りのためでしょうか。

 「そうです」と言いたいところですが、実はただの気分転換です(笑)。こんなに短くしたのは中学生のとき以来。切ってみたら髪を洗う時間が短くなったし、乾くのも早くなったし、シャンプーも節約できて感動しました(笑)。だから、お金のない陽子が節約生活を送っていると考えれば、結果的に正解でした(笑)。ただ、陽子は職業を転々とする上に、演じる年代が20代から30代までと幅広くなります。そこで、「この時代は巻いて、この時代はストレートで…」と、メークさんと話し合いながら変化をつけるようにしています。

-髪形も役作りの上で大事にされていると?

 ものすごく大事です。衣装やメークによって芝居は変わってきます。前髪がちょっと目にかかるだけでも全然違いますから。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

山下美月が“かつてなく最高の主人公”に 「自分も成瀬あかりのような人間に近づきたい」舞台「成瀬は天下を取りにいく」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月16日

 舞台「成瀬は天下を取りにいく」が7月4日(土)から上演される。本屋大賞をはじめ数多くの文学賞を受賞し、主人公・成瀬あかりが全力で我が道を突き進む姿が読者を魅了した、シリーズ累計発行部数210万部を突破する大人気小説『成瀬あかりシリーズ』。 … 続きを読む

片山友希、MEGUMI「間違えても失敗しても、とにかく前に進み続けるということはお伝えできたかなと思います」『FUJIKO』【インタビュー】

映画2026年6月15日

 1970~80年代の静岡を舞台に、激動の時代を生きるシングルマザーが自らの生き方を模索しながら力強く歩んでいく姿を描いた、木村太一監督の『FUJIKO』が全国公開中だ。本作で主人公の富士子を演じた片山友希と、企画・プロデュースを担当し、出 … 続きを読む

舞台「キングダムII ―継承―」三浦宏規・高野洸・山本千尋・山口祐一郎、「死力を尽くさなければいけない」作品に再び挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月12日

 累計発行部数1億2000万部を突破した、原泰久による大ヒット漫画を原作とした舞台の第2弾となる「キングダムII ―継承―」が、8月9日から上演される。本作は、苛烈な戦乱の中にある中国・春秋戦国時代を舞台に、戦災孤児の少年・信と、のちの始皇 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」戦国の世の難しさを印象付けた播磨攻略戦【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年6月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。小一郎と秀吉が播磨攻略に難渋する様子を描いた6月7 … 続きを読む

山本耕史、「RENT」に続き全編英語上演に挑む「ゼロからのスタートだけどやるしかない」 日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月11日

 山本耕史が、ゆりやんレトリィバァとブロードウェイで活躍するキャストとともに挑む、日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」が、8月19日から上演される。本作は、1997年に映画をもとに誕生し、トニー賞作品賞を含む9部門にノミネー … 続きを読む

page top