「日本人はこんなにピュアな気持ちでオリンピックに取り組んでいたんだと気付かされました」宮藤官九郎(脚本家)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年1月2日 / 10:00

-ナビゲーターを落語家の古今亭志ん生(ビートたけし)にした理由は?

 『オリンピック』という案が出る前に、戦前・戦後の日本の歴史を描く中で、戦争自体を過剰に重く描かずにドラマを作れないかという話をしていたんです。そこで、僕は志ん生さんの「戦争当時、東京では落語ができないので、みんなが止めるのも聞かず満州に行って、死んだことにされた」というエピソードが好きだったので「どうですか」と提案してみました。さらに、志ん生さんと金栗さんはほぼ同い年。そういうところから、ナビゲーターとして志ん生さんの高座を入れるのもいいだろうと。

-戦争の時代も挟むことになりますが、そのあたりはどのように描くつもりでしょうか。

 大きな歴史の話をするのではなく、基本的に戦争が金栗さんや田畑さんにどんな影響を与えたかということを中心に描いていくつもりです。ベルリンオリンピックが第1次世界大戦で中止になり、全盛期の金栗さんが走ることができなかった話や、予定していた1940年の東京オリンピックが日中戦争の影響で中止になった…みたいな話ですね。落語を交えた語り口になりますが、決して戦争を軽く扱うわけではなく、きちんと深いテーマがあるような物語にしたいと考えています。

-この作品を通じて、視聴者に伝えたいことは?

 このドラマが終わると、実際にオリンピックがやってきます。初めてオリンピックに参加したときや、東京にオリンピックを招致したとき、日本人はこんなにピュアな気持ちで取り組んでいたんだと、書いていく中で僕も気付かされました。そういうことを皆さんにも感じていただき、2020年の東京オリンピックに対して、また違った楽しみ方を見つけてもらえたらいいですね。

(取材・文/井上健一)

大河ドラマ「いだてん」から

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