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「雨降り」「ゆりかごのうた」「からたちの花」「この道」「ペチカ」「あわて床屋」「待ちぼうけ」など、数々の童謡を残した詩人・北原白秋の波乱に満ちた半生を、音楽家・山田耕筰(AKIRA)との友情を軸に描いた佐々部清監督の『この道』が2019年1月11日から全国公開される。本作で白秋を演じた大森南朋が、役作りや、白秋に対する思いを語った。
実際にいらっしゃった方なので…、ご本人やご遺族の方に怒られるぐらい(笑)、はみ出してやれればいいのかなと思いながら演じていました。『アマデウス』のことは、脚本を読んだときに、キャラクターの色分けがはっきりしていたので、「あー、そういうことなのか」とは思いました。ただ、『アマデウス』のモーツァルトはなかなかの狂気の人なので、あそこまでやるとご遺族の方に怒られるなと(笑)。監督にも止められたので、ぎりぎりのところで面白くなればと。白秋の“ぶざまだけど天才”という部分が表現できればいいかなと思いました。
もちろん北原白秋という存在や、作品も幾つかは知っていましたが、あくまでも教科書に出てくる偉人というイメージでした。なので、演じるに当たり、少しは白秋のことを知らなければと思い、彼の故郷の柳川を訪ねたりもしました。また、いろんな歌を聴いたり、詩を読んだりもしたので、「この作品も白秋さんだったんだ」ということを知ることができました。いろいろな話を聞くと、白秋にはこの映画が描いたような面もあったのかなとは思いますが、勝手にイメージを浮き上がらせてしまったので大丈夫かな、という心配もあります。
まず、無邪気さや子どもっぽさを前に出せば、その奥に、物書きとしての純粋な面が自然と出てくると考えました。無垢さを、子どものような無邪気さと捉えてやっていました。ただ、この映画を撮影しているときは46歳でしたので、大丈夫かな、こんなに無邪気でいいのかなと思い、泣く場面などは、恥ずかしさと闘いながら演じているときもありました。
子どもは無邪気に女の人を好きになるので、多分白秋もそういう人だったのではないかと推察します。本当に悪気のない人だけど、それが罪になるという…。こんなことを言うと「俺はこんなんじゃない」と白秋さんに怒られるかな(笑)。
映画はもともとエンターテインメントですし、面白い方がいいに決まっています。これが普通の伝記映画だったらむしろ詰まらなかったと思います。このぐらいふざけてもいいということで、かえってやる気が増しました。
この映画の中の2人について、監督は「夫婦みたいな関係」と言っていましたが、そういう人間同士の距離が、物語の中でちゃんと表現できれば、おのおのが浮き上がってくるのかなと思いながら演じていました。
あれはまだメロディーが付く前という設定でしたので、監督から「メロディーを付けちゃ駄目だよ」と言われたのですが、僕の中には歌として刷り込まれているので、表現するのは結構大変でした。
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