「西郷隆盛という人を『演じるのではなく、生きたい』と思っていました」鈴木亮平(西郷隆盛)【「西郷どん」インタビュー】

2018年12月16日 / 21:10

 ついに完結した大河ドラマ「西郷どん」。はつらつとした青年期から西南戦争での壮絶な最期まで、1年にわたって西郷隆盛を演じた鈴木亮平の熱演に心打たれた視聴者も多いことだろう。そこで、最後の締めくくりとして、クランクアップ直後の会見の言葉をお届けする。

西郷隆盛役の鈴木亮平

-クランクアップを迎えた感想を。

 一言で言えば、「生き切った」という感じです。いわゆる“抜け殻”のような状態になったり、感極まったりするのかと思っていたのですが、そういうことはありませんでした。理由を考えてみたら、恐らく僕だけでなく、西郷さんという人が「生き切った」からなんだろうと。役と自分が同化していく感覚は大河ドラマならではのものですが、その中で“自分が死ぬ”ことに対する恐怖を全く感じませんでした。後悔のある最期ではありませんし、覚悟して自分で選んだ道でもあったので、「生を全うした」というすがすがしい気持ちです。自分でも意外でした。

-おっしゃる通り、見事な西郷隆盛を見せていただきました。

 実はこの作品に入る前、自分の中で決めていたことがあったんです。一つは、西郷隆盛という人を「演じるのではなく、生きたい」と思っていたこと。もう一つは、西郷さんが掲げた「敬天愛人」というフレーズの通り、現場の人間や共演者たちを精いっぱい愛して、作品を一緒に作り上げていきたいということ。この二つは、きちんとできたと思っています。

-他の作品と比べて、向き合う気持ちの違いはありましたか。

 同じ気持ちで臨んでいたつもりです。ただ、大河ドラマは期間が長い点が他の作品とは大きく違います。例えば、後半になると瑛太くんが目の前にいるだけで、今までの思い出がよみがえってきたり、対峙しているだけで泣けてきたりすることがありました。それはやはり、大河ドラマだからこそだなと。周りの状況が助けてくれたおかげで、いつもより、さらに自分がその役であるということを信じ込ませてもらえた印象です。

-そうそうたる俳優陣と共演した中で、思い出に残った場面は?

 まず印象に残っているのが、大久保(利通/瑛太)との別れ(第43回)です。明治政府を去った西郷さんが鹿児島に帰る前、大久保と会い、「自分は薩摩に帰る。おまえは自分のやり方で日本を動かしていってくれ」と告げる場面。あそこは、演技ではない、僕と瑛太くんの今までの積み重ねを全部出し切ることができました。

-その他には?

 大好きなのが、愛加那(二階堂ふみ)と初めて会った回(第18回)です。「うちの殿(=島津斉彬)は、民のためを思っていろいろなことをやってきた」と訴える西郷さんに、愛加那が「私らは、民の中に入っていなかった」と返す…。奄美の歴史を一言で物語っている上に、その事実を徐々に受け入れていく西郷さんにも、度量の大きさを感じました。いろいろな方向から物事を見ることを忘れてはいけないということにも、改めて気付かされました。斉彬さまとの相撲(第5回)も、渡辺謙さんとほぼ初めてお芝居をさせていただく場面が裸でのぶつかり合いだったので、僕の中では強烈に印象に残っています。

-「西郷隆盛を演じて良かった」と感じたエピソードは?

 今回、鹿児島にたくさんの知り合いができたのですが、その一人から、「子どもたちが『このドラマを見ていると、鹿児島がもっと好きになる』と言っている」というメールをもらったときは、涙が出ました。地元の方にどう受け止めてもらえるかは、大河ドラマにとって大きなこと。トークショーで伺ったときも、ものすごく温かく、熱狂的に迎えてくれました。その気持ちには毎回、助けられていました。「西郷さんは、本当はこんな人だったのではないかと思えます」、「今まで西郷さんのことを知らなかったけど、今回のドラマが勉強するきっかけになりました」といったお手紙も頂き、とてもうれしかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

早瀬憩「撮影中は朝子と一心同体で生きた感覚がありました」感動のヒューマンサスペンスで入魂の演技『私はあなたを知らない、』【インタビュー】

映画2026年8月27日

 新垣結衣と共演した『違国日記』(24)で鮮烈な印象を残し、今年は「サバ缶、宇宙へ行く」、『モブ子の恋』など、続々と出演作が放送・公開される注目の若手俳優・早瀬憩。その最新出演作『私はあなたを知らない、』が、8月28日から全国公開される。 … 続きを読む

渡邊圭祐「登場人物に共感ができない部分があるからこそ面白い」 舞台「Yerma イェルマ」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年8月27日

 スペインの詩人・劇作家ロルカの傑作「イェルマ」を起点に、作:オノマリコ×演出:稲葉賀恵によって、1930年代のスペインから現代の東京へと舞台を移し、生きる価値を見出そうとする女と男たちの物語を描く舞台「Yerma イェルマ」が9月21日か … 続きを読む

西島秀俊「人間は互いに支え合い、助け合って生きている」入魂のヒューマンドラマで、スペシャルニーズの子どもたちと共演『時には懺悔を』【インタビュー】

映画2026年8月26日

 ある探偵が殺された事件の調査を依頼された一匹狼の探偵・佐竹(西島秀俊)とその助手・聡子(満島ひかり)は、9年前に起きた新生児誘拐事件にたどり着く。殺された探偵が調査していたのは、9年前に誘拐され、今は父親の明野(宮藤官九郎)と二人で暮らす … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#MOMOはなぜ、同い年のアナウンサーを「友達」と呼んだのか――韓国語「チング」のもう一つの意味

2026年8月25日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

毎熊克哉、近藤華「見えないという恐怖をちょっと和らげてくれる映画だと思います」『見えない娘 THE INVISBLES』【インタビュー】

映画2026年8月25日

 『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』で注目を集めた竹林亮監督が、透明人間の娘と一緒に東京へ旅に出る家族の奮闘を描いたSFロードムービー『見えない娘 THE INVISBLES』が、8月28日から全国公開され … 続きを読む

page top