「新八を演じたこの1年、とても貴重な経験をさせていただきました」堀井新太(村田新八)【「西郷どん」インタビュー】

2018年12月9日 / 20:50

 ついに幕を開けた西南戦争。新政府軍と反乱士族たちの争いであると同時に、幼なじみである西郷隆盛(鈴木亮平)と大久保利通(瑛太)にとっては苦渋の戦いとなった。そしてもう1人、西郷と共に戦う道を選んだ幼なじみが、村田新八である。かつては共に島流しを経験し、戊辰戦争ではその指揮下で戦うなど、弟分的な存在として最後まで西郷を慕い続けた。演じる堀井新太が、西郷と共に西南戦争を戦った新八の気持ち、長期にわたる撮影の思い出などを語ってくれた。

村田新八役の堀井新太

-西南戦争に加わった新八の気持ちはどんなものだったのでしょうか。

 互いに引くに引けない状況とはいえ、あれだけ仲の良かった吉之助(=西郷隆盛)さんと大久保さんが、命を懸けて争わなければいけないのは、とても悲しいことです。西南戦争には、桐野(利秋/大野拓朗)や別府(晋介/篠原悠伸)、篠原(国幹/榊英雄)といった面々も参加していますが、彼らは吉之助さんと大久保さんの関係を詳しく知らないので、「やるしかない!」となりがちです。ただ、ずっとそばで見てきた新八には、2人のつらい気持ちがよく分かる。だから「自分に何ができるのか」と悩んでいたとは思います。ただやっぱり「最後まで吉之助さんの味方でいたい」という気持ちが勝ったのではないかと。

-新八は海外視察にまで行きながら、西郷の後を追うように、大久保が中心となった明治政府を去りました。その辺りの行動は、どう受け止めていますか。

 大久保さんも昔からの仲間なので、政府を去ることに対して心苦しさはあったと思います。決め手になったのは「欧米は文明が発達して豊かではあるけれど、暮らしている人たちは幸せそうではなかった」という第44回の新八自身のせりふです。だからこそ、吉之助さんの「誰もが平等で豊かな暮らしができるように」という思想に共感して、薩摩に帰った。新八自身も貧しい暮らしを送ってきたので、誰もが笑って暮らせる世の中にしたかったに違いありません。

-西郷の姿を、新八はどんなふうに見ていたのでしょうか。

 吉之助さんは後先を考えないところがあって頑固な一方、自分の意思を貫き通す強さがあります。新八はその強さに共感し、刺激を受けた。大山(綱良/北村有起哉)、海江田(武次/高橋光臣)、有馬(新七/増田修一朗)、大久保、吉之助という幼なじみの面々は、新八にとっては兄のような存在で、それぞれの長所も短所も見て育っています。中でも強く引かれたのが、周りの人から慕われる吉之助さんのぶれない強さだったのではないかと。

-西郷たちの弟分的な存在だった新八も、物語が進むにつれて地位が上がってきました。演じる上で、変化を意識した部分はありますか。

 若い頃は、身振り手振りを交えたりして勢いよく演じていましたが、役職が上がるにつれ、考える間を持たせたり、動きを少なくして話すようにしています。亮平さんからも、「地位の高い人物を演じる場合は、その方が貫禄が出せる」と教えてもらいました。とはいえ、ちょっとおどけたり、時々笑顔を見せたり、おなかが鳴ってしまったりという、子どもの頃から持っていた新八らしさも忘れないようにしています。

-これまで新八を演じてきた中で、印象に残っている場面は?

 精忠組の仲間とウナギ捕りをした場面(第23回)は忘れられません。あのときは、信吾(西郷従道/錦戸亮)も一緒で、「みんなで楽しかった」という記憶しかありません。撮影もアドリブ満載で、僕たちも本当に楽しかったですから。それだけに、人の死に直面したり、後に引けないような局面になったりすると、「あのときに戻れないのか…」と、いつも思い出します。あれがあるから、今の状況が一層つらいです。

-新八といえば、旅籠「鍵屋」の仲居・お虎(近藤春菜)とのユーモラスなやりとりも忘れられません。

 吉之助さんと一緒に会ったとき、隠していた「西郷吉之助」の名前を思い切り叫ぶお虎さんを止めた(第22回)のが最初ですね。それから、監督や脚本家の中園(ミホ)さんが面白がってくれたようで、台本に「お虎に無視される新八」とか、いろいろ書いてくれるようになりました(笑)。お芝居は、監督や春菜さんと相談しながら作っていきましたが、とても楽しかったです。ああいうものが重なると、何でもないシーンに深みが出て、キャラも立ってきますから。SNSでは「新八はお虎のことが好きなのか?」と話題になったようですが、「好き」なわけではありません(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】青春コメディー+ミュージカル+ゾンビ=『アナと世界の終わり』

映画2019年5月25日

 青春コメディーとミュージカルとゾンビを融合させたイギリス発の珍品映画『アナと世界の終わり』が5月31日から公開される。  クリスマスを迎えたイギリスの田舎町に突如ゾンビが出現。さえない日常を送る高校生のアナ(エラ・ハント)は、日頃の鬱憤( … 続きを読む

【2.5次元】崎山つばさ&北園涼、「役者は根暗が多い」役柄との意外な共通点 映画『いつまでも忘れないよ』インタビュー

映画2019年5月25日

 2018年夏に放映された連続テレビドラマ「ディキータマリモット~オウセンの若者たち~」の劇場版『いつまでも忘れないよ』の公開が決定した。ドラマは、猪野広樹や崎山つばさ、橋本祥平、北園涼ら、2.5次元ミュージカルで活躍する人気俳優たちが集結 … 続きを読む

【インタビュー】「ドキュメンタル」霜降り明星・せいやがシーズン7に初参戦! 「死ぬほど笑いをいただいた松本人志さんは、一番笑かさなあかん存在」

テレビ2019年5月23日

 Amazon Prime Videoで全話配信中の松本人志の人気バラエティーシリーズ「HITOSHI MATSUMOTO Presentsドキュメンタル」がシーズン7に突入した。同番組は、松本から「招待状」を受け取った10人の芸人たちが、 … 続きを読む

【2.5次元】EXILE 橘ケンチ「京極堂を徹底的に解明したい」 舞台「魍魎の匣」インタビュー

舞台・ミュージカル2019年5月20日

 京極夏彦の大人気小説『百鬼夜行』シリーズ。その中でも最高傑作の呼び声が高い『魍魎の匣』が舞台化される。戦後間もない昭和20年代後半を舞台に、シリーズの中心人物で「つきもの落とし」を副業にし、営む古本屋の屋号にちなんで「京極堂」と呼ばれる中 … 続きを読む

「役所広司さんは、中学生の頃から憧れていた俳優。こんなに長い間一緒にいられて幸せです」古舘寛治(可児徳)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

ドラマ2019年5月19日

 今や正月の風物詩となった箱根駅伝が、金栗四三(中村勘九郎)の発案でついに誕生。そんな四三の活動を見守るのが、恩師の一人でもある可児徳だ。嘉納治五郎(役所広司)を支え、日本のオリンピック参加に尽力したほどの人物でありながら、本作ではしばしば … 続きを読む

アクセスランキング RANKING

page top