【特集】『アリー/ スター誕生』監督・主演ブラッドリー・クーパー「自分が思い描いてきた映画をそのまま作ることができた」 

2018年12月19日 / 10:00

 人気ロック歌手のジャクソンに歌の才能を見いだされ、スターの階段を駆け上がっていく若き歌姫アリーの成功と葛藤、愛を描いた『アリー/ スター誕生』が21日から公開される。ヒロインのアリーを演じるのは映画初主演の”歌姫”レディー・ガガ。そして『アメリカン・スナイパー』(15)で製作と主演を兼任したブラッドリー・クーパーが、本作では初監督とジャクソン役を兼任した。そのクーパーが、作品に対する“深いこだわり”と演出の“狙い”を明かした。

(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

 クーパーは「この映画では、パパラッチや記者会見などのシーンを使ってスターの生活を描くことをあえて回避した。僕が目指した理想は、観客が、僕が演じたジャクソンとアリーの生活をじかに感じることができるような、体験型の作りにすることだった。この映画に見られる、騒がしさと静けさの間を行ったり来たりする音のリズムは、そういう意識からきている」と、こだわりと仕掛けを明かした。

 そうした対照的な音のリズムを使ったシーンは、映画の冒頭から見られる。その点についてクーパーは「ジャクソンが満席のコンサートでパフォーマンスをするシーンがあるけど、ライブを終え、車に退散する彼の姿には哀愁が漂う。普通は大盛況のライブを終えたミュージシャンなら、もう少し高揚感を期待するところだけど、彼は車の後部座席に倒れるように乗り込み、静寂の中でジンのボトルを手に取って飲む。その姿から哀愁が伝わるんだ。スターというのは、極端な騒がしさと孤独の間を行き来するものなんだ」と語る。

 ジャクソンが真のスターであることを、映像だけではなく“音”を使って表現したクーパー。見る者の想像力をかき立てながら、繊細でもある彼の演出は、とてもこれが初監督作とは思えない。

 そんなクーパーの演出を間近でみていたガガは「彼は、撮影中にものすごい集中力を発揮していて、揺るぎないビジョンを持っていました。彼が毎日全力を尽くすのを目の前で見ていました。まるで疲れを知らないかのように、ノンストップでこの映画のために全てを注ぎ込む姿を」と現場での鬼気迫るクーパーの様子を語った。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】夏の日の少年たちが頑張る映画『ベスト・キッド:レジェンズ』『蔵のある街』『海辺へ行く道』

映画2025年9月1日

『ベスト・キッド:レジェンズ』(8月29日公開)  北京でミスター・ハン(ジャッキー・チェン)からカンフーの指導を受けていた高校生のリー(ベン・ウォン)は、暴漢に兄を殺され母と共にニューヨークに移住する。  だがリーは、周囲やクラスメイトと … 続きを読む

新浜レオン「大きな夢がかないました」念願だった大河ドラマ初出演【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月31日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。8月31日放送の第33回「打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく … 続きを読む

水上恒司、池田千尋監督「人間の心が一番の謎。その謎を一緒に楽しんでもらえたらと思います」『九龍ジェネリックロマンス』【インタビュー】

映画2025年8月29日

 九龍城砦の不動産屋で働く鯨井令子(吉岡里帆)は、先輩社員の工藤発(水上恒司)に恋をしている。そんな中、令子は工藤の恋人と間違われ、しかも令子が見つけた写真に写っていた工藤の婚約者は自分とうり二つだった…。TVアニメ化もされた眉月じゅんの人 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(2)大阪下町に生まれて

舞台・ミュージカル2025年8月28日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼講談は落ちない  「今日の話はオ … 続きを読む

原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】

映画2025年8月26日

 海辺の街に暮らす14歳の美術部員と仲間たちに起きたちょっと不思議なひと夏の出来事を小豆島でのロケで描く、横浜聡子監督の『海辺へ行く道』が8月29日から全国公開される。本作で主人公の高校生・奏介を演じた原田琥之佑に話を聞いた。 -最初に脚本 … 続きを読む

Willfriends

page top