【インタビュー】『ラプラスの魔女』三池崇史監督 “バイオレンス監督”の称号に疑問…それでもバイオレンスを撮る理由とは?

2018年11月13日 / 17:42

 しかし、撮る理由はいたずらっ子感覚だけではない。そこにあるのは「役と、それを演じる人への愛情」だ。とりわけ、「主役を格好良く見せるために存在する“負け役”に加担してしまう」そうで、「主役を演じる人間は放っておいても大丈夫だけど、そうじゃない人たちにも家族が待つ家に帰って飲むビールがうまくて、『役者やっていて良かった~!』と思ってほしい。そんな人たちが頑張ると、主人公に倒されても立ち向かうから殺すしかなく、自然とバイオレンスになるよね」と説明。

 「“愛情”と“バイオレンス”は僕にとって同義語。守るものがなければ闘わないし、怒りもない。愛のないバイオレンスはないでしょ」と言われると、確かにその通りと合点がいった。

 そして、全ての作品は「なぜ生まれて、どう生きていいか分からないけど、何かをつかみたくてもがいている登場人物」の物語であることも告白。恋愛映画もやくざ映画も、生まれてから死ぬ瞬間まで人生を楽しく全うしたいという、人間としての普遍的な思いがその根底に流れている。

 そんな三池監督は昨年からサモ・ハン・キンポーとタッグを組んで中国映画に取り組んでいる。進捗具合は「唐の時代の超大作から、火星に行く話とか、企画だけがどんどん膨らんで、全部で7作品、製作費は総額300億円を超える大プロジェクトになっている」という。

 あくまでも企画段階で、全てが実現するかは未定だが、今年撮影した映画は『ラプラスの魔女』のみ。「やたら撮る監督」にしては寂しい実情に、三池監督は「そのしわ寄せは来年、再来年にくるから」とニヤリ。次の落とし穴は想像以上に深いかもしれない…。

(取材・文・写真/錦怜那)

『ラプラスの魔女』Blu-ray&DVD

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

鈴鹿央士「絶対に映画館で見て損はさせない映画になっています」『藁にもすがる獣たち』【インタビュー】

映画2026年9月29日

-おばあちゃん役の風吹ジュンさんとの印象に残ったエピソードがあれば。  とても面倒見のいい方で、何か聞いたら何でも返してくれるし、気を使ってくださいました。本当は僕が気を使わなければいけないのに、風吹さんの方から、「大丈夫よ。頑張ろうね」っ … 続きを読む

向井理、演出家・倉持裕と再びタッグ 6人で描き出す会話劇に「戻ってきたな。こういうことがやりたかった」 M&Oplaysプロデュース「ブランク」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月29日

 向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む

「生きることはこんなに面白いと示したい」制作統括が「ブラッサム」に込めた思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月28日

-そんな珠の父・清治は、現代ではありえないほど娘に厳しく接しますね。  厳しい父親の話は、宇野千代さんの著書にも書かれていることです。現代の視点で見るとつらい話ではありますが、当時の家父長制の下では、ああいう側面があったことは事実です。ただ … 続きを読む

石橋静河「皆さんに『一歩前進してみようかな』と思っていただけたら」連続テレビ小説主演に懸ける思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月26日

  -劇中では、渡部篤郎さん演じる珠の父・清治が強烈な存在感を放っています。珠と清治の関係も物語の重要なカギになりそうですが、2人の関係をどのように捉えていますか。  実際のお父様は、宇野千代さんが「ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のよ … 続きを読む

page top