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鈴木 『万引き家族』(18)で大きな賞を取った直後ということで、周りの見る目が変わって来ると思うんです。でも、本人は浮ついた様子もなく、とても真面目にお芝居に取り組んでくれました。向き合ってみたら、何も話さなくても伝わる存在感や目力みたいなものをものすごく感じました。
西田 本当に敬意を表します。僕も経験がありますが、1年間、吉之助から隆盛に至るまでやり遂げるのは、精神的な部分も含めて大変なこと。それをプレッシャーに負けず、よくやってきたなと。
西田 僕のときは、どちらかというと、顔や扮装をなるべく上野の銅像の西郷さんに近づける形で役を作りました。ただ、「西郷どん」では、第1回の冒頭で、糸さんが銅像の除幕式の場面で「あれは、うちの旦那さんではない」と言っているわけです。だから、僕の場合とは違います。鈴木くんが自分の心の中に存在する“西郷隆盛”に肉付けして、新しく“西郷どん”という人物を立派に作り上げた…。僕はそんなふうに思っています。
鈴木 いろいろある中で一つに絞るなら、やはり西郷隆盛と大久保利通、すれ違っていく2人の関係です。鈴木亮平と瑛太、同い年の役者同士の全力のぶつかり合いを、ぜひご覧いただければ。愛情や憎しみ、全てが入り混じったぶつかり合いになっています。それとともにタイトルバックも新しくなりましたが、出演者クレジットの最後、瑛太くんの顔に合わせて名前が出るのを見たら、思わず涙が出てきました。最後の“トメ”と言えば、今までは大御所の方の定位置。そこに「瑛太」と出る…。瑛太くんがこの現場でどれほど頑張ってきたのかを知っているので、ものすごく感動しました。その点も、ぜひ注目してください。
西田 僕は福島の出身なので、戊辰戦争に対してはいろいろな思いを抱きながら、これまで見てきました。世の中を変えるためには、何らかの犠牲が必要ということは否定しません。ただ、あらがった者たちの言い分もきちんと聞いてほしい。西郷隆盛は、そういう思いを受けとめてくれる情の厚さがあるから、会津の人間からも好かれていると思うんです。そういった意味での集大成が、この明治編の中で出てくるのではないかと期待しています。
鈴木 その点に関して付け加えさせていただくと、戊辰戦争では多くの人が亡くなっていますが、そのうち数千人が会津の人。劇中では会津の戦いは描かれていませんが、そこも全部背負っていくことが、隆盛の人生につながると思っています。(会津側の視点で幕末を描いた)「八重の桜」(13)に出演していた玉山(鉄二:桂小五郎役)さんからも「会津の思いは全部背負っていってくれ」と言われました。それを踏まえてせりふも追加させてもらいましたし、演じる上でも意識しているつもりです。
(取材・文/井上健一)
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