「西田さんの重みに負けないものを表現したい」鈴木亮平(西郷隆盛)「まさかこういう形で出演するとは…」西田敏行(西郷菊次郎&語り)【「西郷どん」インタビュー】

2018年10月21日 / 20:50

-第39回から登場した少年時代の菊次郎を演じる城桧吏くんの印象は?

鈴木 『万引き家族』(18)で大きな賞を取った直後ということで、周りの見る目が変わって来ると思うんです。でも、本人は浮ついた様子もなく、とても真面目にお芝居に取り組んでくれました。向き合ってみたら、何も話さなくても伝わる存在感や目力みたいなものをものすごく感じました。

-西田さんがここまでの鈴木さんをご覧になった感想は?

西田 本当に敬意を表します。僕も経験がありますが、1年間、吉之助から隆盛に至るまでやり遂げるのは、精神的な部分も含めて大変なこと。それをプレッシャーに負けず、よくやってきたなと。

-西田さんは、ご自身も「翔ぶが如く」(90)で西郷隆盛を演じていますが、鈴木さんの西郷をどんなふうにご覧になっていますか。

西田 僕のときは、どちらかというと、顔や扮装をなるべく上野の銅像の西郷さんに近づける形で役を作りました。ただ、「西郷どん」では、第1回の冒頭で、糸さんが銅像の除幕式の場面で「あれは、うちの旦那さんではない」と言っているわけです。だから、僕の場合とは違います。鈴木くんが自分の心の中に存在する“西郷隆盛”に肉付けして、新しく“西郷どん”という人物を立派に作り上げた…。僕はそんなふうに思っています。

-最終章となる明治編の見どころを。

鈴木 いろいろある中で一つに絞るなら、やはり西郷隆盛と大久保利通、すれ違っていく2人の関係です。鈴木亮平と瑛太、同い年の役者同士の全力のぶつかり合いを、ぜひご覧いただければ。愛情や憎しみ、全てが入り混じったぶつかり合いになっています。それとともにタイトルバックも新しくなりましたが、出演者クレジットの最後、瑛太くんの顔に合わせて名前が出るのを見たら、思わず涙が出てきました。最後の“トメ”と言えば、今までは大御所の方の定位置。そこに「瑛太」と出る…。瑛太くんがこの現場でどれほど頑張ってきたのかを知っているので、ものすごく感動しました。その点も、ぜひ注目してください。

西田 僕は福島の出身なので、戊辰戦争に対してはいろいろな思いを抱きながら、これまで見てきました。世の中を変えるためには、何らかの犠牲が必要ということは否定しません。ただ、あらがった者たちの言い分もきちんと聞いてほしい。西郷隆盛は、そういう思いを受けとめてくれる情の厚さがあるから、会津の人間からも好かれていると思うんです。そういった意味での集大成が、この明治編の中で出てくるのではないかと期待しています。

鈴木 その点に関して付け加えさせていただくと、戊辰戦争では多くの人が亡くなっていますが、そのうち数千人が会津の人。劇中では会津の戦いは描かれていませんが、そこも全部背負っていくことが、隆盛の人生につながると思っています。(会津側の視点で幕末を描いた)「八重の桜」(13)に出演していた玉山(鉄二:桂小五郎役)さんからも「会津の思いは全部背負っていってくれ」と言われました。それを踏まえてせりふも追加させてもらいましたし、演じる上でも意識しているつもりです。

(取材・文/井上健一)

西郷菊次郎役&語りの西田敏行

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

柄本佑「道長は権力を振りかざすことが、心底嫌だった」“出家”の節目を迎えた藤原道長役を振り返る【「光る君へ」インタビュー】

ドラマ2024年11月24日

-朝廷の実権を握った道長は、剛腕な政治家だった亡き父・兼家(段田安則)に近づいているように見えたこともあります。以前、兼家との類似性について「やっていることは同じでも、出発点となる気持ちが違う」とお話しされていましたが、出家で一区切りついた … 続きを読む

「光る君へ」第四十四回「望月の夜」孤独を深める道長を支えるまひろとの絆【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月23日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月17日に放送された第四十四回「望月の夜」では、3人の娘を天皇の后にした藤原道長(柄本佑)が、有名な「このよをば わがよとぞおもふ もちづきの かけたることも なしと思へば」という「望月の歌 … 続きを読む

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)  真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺に引っかかり大金をだまし取られてしまう。  熊沢は、親友で刑事の八木(皆川猿時)の … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

-なるほど。では、公演が12月ということで、2024年の振り返りをお願いします。  今年は自分で掲げた目標に対しての成果も感じることができたので、充実した1年でした。これまではどこかで「やらされている」という感覚があって、自分の意志でできた … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

  Q:合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。 早川 中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした「伊藤塾」のオンライン授業を夜10時 … 続きを読む

Willfriends

page top