「江戸無血開城の場面は、鈴木亮平くんや監督といろいろアイデアを出し合いました」遠藤憲一(勝海舟)【「西郷どん」インタビュー】

2018年9月30日 / 20:50

 西郷吉之助(鈴木亮平)率いる新政府軍による江戸総攻撃は回避され、ついに徳川家は江戸城を明け渡すこととなった。日本史に名を残す「江戸無血開城」である。旧幕府側の代表として西郷と交渉を行い、この歴史的決断に大きく関わったのが勝海舟。第37回で繰り広げられた2人の交渉は、西郷役の鈴木と勝役の遠藤の芝居の応酬が印象深い場面となった。これまで勝を人間味豊かに演じてきた遠藤が、江戸無血開城を中心に撮影の舞台裏を語ってくれた。

勝海舟役の遠藤憲一

-江戸無血開城の場面を終えた感想は?

 勝は正直な人なので、「この戦で江戸をつぶしてほしくない」という思いを、腹の底から心を込めて演じることをテーマにしました。そこで思いついたのが、「正装と正座はしない」ということ。この作品ではそういう格好で西郷に会っている場面が一つもなかったので、大事な話し合いとはいえ、普段のままでいきたいと。事前に見せてもらった絵では正座で向き合っていたのですが、その場を見た人は誰もいないという話だったので、監督の了解を得てそうさせてもらいました。

-鈴木さんとは無血開城の場面について何かお話をされましたか。

 亮平くんも、人に説得されたから攻撃を中止するということだけにはしたくなかったらしく、監督を交えていろいろアイデアを出し合いました。俺も、自分だけでなく西郷の芝居まで考えるほどのめり込んでいたけど、監督の方がずっといいアイデアを持っていて…(笑)。その結果、勝と話し合った西郷が「天下万民のために行動を起こした」と思い出した後、庭で美しく咲き誇る桜と、その花びらが散っていくさまを見て、命の大事さに気づくという芝居を加えています。亮平くんもいろいろ葛藤しながら演じていましたが、お互いに人間同士のやり取りができたので、いいシーンになったと思います。

-改めて、勝海舟の役作りはどのように?

 中学校の同級生が高校で歴史の教師をやっているんです。俺は歴史に詳しくないので、大河ドラマをやるときは必ず彼に話を聞くようにしています。今回は明治維新の話を聞いて、人間関係や歴史の流れを整理してから、勝を主人公にした小説を読み始めました。勝が主人公のドラマも2作品ほど見ましたが、キャラクターについては、その小説からものすごく刺激を受けています。ただ、分厚い本が6冊もある長い小説なので、読み終わらないうちに無血開城の場面をやることになってしまいましたが…(笑)。

-物語に大きな影響を与える人物を演じる心構えは?

 出番が多ければまた違いますが、今回は限られた登場の仕方なので、勝の役割がきちんとシーンごとに出るように深く考えて、練習する。練習して考える、練習して考える…。その繰り返しです。休みの日など、時間ができたときは、ウォーキングと読書をするようにしているのですが、今回はその小説を読んでいたので、撮影がない日も勝海舟でいることができました。

-そういうところを踏まえて、遠藤さんから見た勝海舟とはどんな人物でしょうか。

 とても正直な人。立場がどうであろうと、基本的に誰に対しても対応を変えない。もちろん、相手が幕臣の場合と庶民の場合とでは話す内容は違いますが、人を区別せず、向き合う姿勢は変わらない。そこが一番の魅力ではないでしょうか。

-西郷と普段着のまま向き合うというのも、そういうところから出てきたものでしょうか。

 そうですね。そこは誇張したかったところです。大事な場面だから、正装してお願いをする、みたいなことにはしたくなかった。事実は違うかもしれませんが、この作品で俺が感じた勝という人物には、その方がふさわしいと思って。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

キタオ・サクライ監督「自分が夢中になってプレーしていた、子どもの頃の高揚感を生かしたいと思いました」『ストリートファイター/ザ・ムービー』【インタビュー】

映画2026年10月15日

 1993年。かつて共に天才格闘家として名をはせたリュウとケンは兄弟のような存在だったが、ある理由から疎遠になっていた。そんな彼らの前に謎の女性格闘家・春麗が現れ、「ワールド・ウォリアートーナメント(世界格闘王決定戦)」の招待状を差し出す。 … 続きを読む

山下幸輝、初めての舞台出演への思い「踏み込んで挑戦しよう」 福田雄一演出のコメディーで「笑わせたい」ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月15日

 山下幸輝が出演する、ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」が、2027年1月からEXシアター有明で上演される。本作は、イギリスの国民的人気コメディ・グループ、モンティ・パイソンの「アーサー王伝説」をベースにした映画『モンティ … 続きを読む

西川美和監督、小八重葵美「子どもたちが本当にみずみずしくて素晴らしいので、ぜひそれを映画館に見に来ていただきたいと思います」『わたしの知らない子どもたち』【インタビュー】

映画2026年10月15日

 戦争で家族と日常を奪われた12歳の少女・琴子は、生き延びるため自らの性別を隠し、少年として生きることを選ぶ。西川美和が原案・脚本・監督を務め、戦後の日本で家族を失い社会からこぼれ落ちた子どもたちを題材に描いた『わたしの知らない子どもたち』 … 続きを読む

松本怜生 豊臣兄弟を支える忠臣・石田三成を好演中「演技について家臣団で話し合っています」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年10月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴秀長/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡跡を描く物語は快調に進行中だ。劇中、秀 … 続きを読む

柚香光「つややかで、あでやかで、華やか、そして情に深く」 最後の「髑髏城の七人」に挑む思い【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月11日

 作・中島かずき、演出・いのうえひでのりによって生み出された劇団☆新感線を代表する演目である「髑髏城の七人」。7年ごとに繰り返し上演され、そのたびにさまざまな工夫を凝らし進化をし続け、これまで11バージョンが上演されてきた。そして、今回「髑 … 続きを読む

page top