「大政奉還を決断した慶喜は内心、かなりドキドキしています」松田翔太(徳川慶喜)【「西郷どん」インタビュー】

2018年9月9日 / 20:50

 ついに将軍の座に就いた徳川(一橋)慶喜が、倒幕を目指す西郷吉之助(鈴木亮平)らと息詰まる駆け引きを繰り広げた末、朝廷に政権を返上する“大政奉還”を決断。歴史の転換点を迎えることになった。物語が緊迫の度を増す中、かつては“ヒー様”と呼ばれ、吉之助と行動を共にしたこともある慶喜を演じる松田翔太が、演技の裏に込めた思いを語ってくれた。

徳川慶喜役の松田翔太

-ついに大政奉還を決断しました。当時の慶喜の心境は?

 大政奉還は慶喜の判断で行ったことになっていますが、状況的に、いったんそうしておかないと立場がどんどん悪くなっていくので、そのカードを切ったに過ぎない。僕はそんなイメージで捉えています。だから、感情的になることなく、平静を保って淡々と家臣たちにそうすることを告げる。ただ、その後がどうなるかまでは分かっていないので、内心はかなりドキドキしています。「本当にやって大丈夫か?」という気持ちもあったのではないかと。結局、それが260年続いた徳川幕府の歴史を終わらせ、時代の転換点になったわけですが、今の世から見ると、正しい判断だったのではないかと思います。

-改めて、今回の出演が決まったときの感想は?

 以前、(「篤姫」(08)で)徳川家茂を演じたことがあったので、今度は慶喜か、と不思議な感覚になりました。あのときは、慶喜にとても嫌なイメージがありました。家茂にプレッシャーをかけてきて、それで亡くなってしまったのではないかというぐらい、苦しい思いをしたので…。ただその分、その後の世界をどう見られるのかな、という興味が湧きました。また、僕は鈴木(亮平)くんのデビュー作に出演して、一緒に食事に行ったりしていたんです。だから今回、十数年ぶりに再会して、また一緒にできることもうれしかったです。

-慶喜には影のある雰囲気が漂いますが、演じる上で心掛けていることは?

 悲しさや影のある雰囲気というのは、自分からは出さないようにしています。カメラの位置や編集などで表現できる部分でもあるので、あまり自分で表現してしまうと、そういうものが出過ぎてしまってよくない。むしろ、裏がありそうなお芝居をするよりは、ストレートにやった方が、見ている人が考えてくれる。そうすると、慶喜の強がりが悲しそうに見えてきたりするんです。

-政治の表舞台で活躍する慶喜と、世を忍んで街に繰り出していた頃の“ヒー様”との二面性についてはいかがでしょうか。

 基本的にはどちらも同じです。扮装が変わればイメージが変わりますし、表舞台で活躍するようになると、発言の内容も変わってきます。ヒー様の状態では、大政奉還はできませんから(笑)。だから、おのずと変化があるだろうなと思っていたので、お芝居は特に変えませんでした。それでも、変わったように見えたのではないかと思います。

-慶喜は、かつて行動を共にしていた吉之助と対立することになりましたが、そのあたりの心境の変化はどう捉えましたか。

 あれがなければ、もう少し楽だったのかなと。大局から見ると戦争ですが、吉之助と慶喜にとっては心理戦。お互いに兵を動かして、押したり引いたりの駆け引きを繰り広げる中で、昔の吉之助を知っているからこそ、それが弱みになり、ちゅうちょしてしまう。同時に、自分の性格を把握している吉之助に、そこをうまく利用されたな…と。だから、非常にやりづらいです(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】“映画の始まり”を知ることができる『カツベン!』

映画2019年12月13日

 舞台は、映画が活動写真と呼ばれ、まだサイレント(無声)だった大正時代。周防正行監督が、映画を説明する「活動弁士」に憧れる染谷俊太郎(成田凌)の夢や恋を描いた『カツベン!』が公開された。  弁士の語りはもちろん、活動写真風のスラップスティッ … 続きを読む

【2.5次元】舞台「鬼滅の刃」小林亮太&本田礼生インタビュー 「全員が気を引き締めて挑まなきゃいけない」

舞台・ミュージカル2019年12月12日

 2020年1月18日から舞台「鬼滅の刃」が上演される。原作は『週刊少年ジャンプ』に連載中の人気漫画。人と鬼との切ない物語に鬼気迫る剣劇と時折コミカルに描かれるキャラクターたちが人気を呼び、2019年4月から放送を開始したTVアニメも絶大な … 続きを読む

【インタビュー】舞台「この声をきみに~もう一つの物語~」尾上右近、演劇作品への挑戦が「自分にとって豊かな財産になっている」

舞台・ミュージカル2019年12月11日

 2017年に放送された、大森美香脚本によるNHKオリジナルドラマ「この声をきみに」がスピンオフとして舞台化される。竹野内豊が主演した同ドラマは、朗読教室を舞台に、現代に生きる大人たちの恋愛を描き、高い評価を得た。舞台版では、大森自らが脚本 … 続きを読む

【インタビュー】『カツベン!』周防正行監督、成田凌 「これが映画の始まりなんだ、ということを、意識して見てほしいです」

映画2019年12月11日

 今からおよそ100年前の日本。活動写真と呼ばれ、まだモノクロでサイレントだった映画をより楽しむため、楽士の奏でる音楽に合わせて、自らの語りや説明で映画を彩った活動弁士(通称カツベン)がいた。弁士に憧れる若き青年を主人公に、映画黎明(れいめ … 続きを読む

「東京オリンピックの聖火リレー最終ランナーという重要な役。プレッシャーを感じています」井之脇海(坂井義則)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

ドラマ2019年12月8日

 いよいよ大詰めを迎えた「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。次回、最終回でついに田畑政治(阿部サダヲ)らの悲願であった1964年東京オリンピックが開幕する。その開会式の見せ場となる聖火リレー最終走者に抜てきされたのは、広島に原爆が … 続きを読む

page top