「昔からの知り合いである小栗くんとは、打ち合わせなしで龍馬とお龍を演じることができました」水川あさみ(お龍)【「西郷どん」インタビュー】

2018年9月2日 / 20:50

 薩長同盟が成立した直後、坂本龍馬(小栗旬)は京都の寺田屋で奉行所の捕り方から襲撃を受ける。その危機を救ったのが、結婚間もない新妻のお龍。西郷吉之助(鈴木亮平)にかくまわれた龍馬と共に薩摩を訪れ、吉之助の妻・糸(黒木華)と女性同士の交流を図ることとなる。そんな龍馬の恋女房・お龍役で小栗と息の合った演技を見せるのは、「江~姫たちの戦国~」(11)以来、7年ぶりの大河ドラマ出演となる水川あさみ。龍馬の妻にふさわしい型破りなお龍の魅力、旧知の仲である小栗との共演について語ってくれた。

お龍役の水川あさみ

-初登場となった第33回、糸や大久保一蔵(瑛太)の妻・満寿(美村里江)らとの女性同士のやり取りには、お龍の個性がよく出ていました。

 「西郷どん」のお龍らしさがよく出ていましたよね(笑)。良かれと思ってやっていることがおせっかいでしかなかったり、その場の空気を凍りつかせたり…。自分も旦那さまと同じぐらい前に出て、思ったことを発言するなど、妻は旦那さまに付いていくことが当たり前だった当時、お手本になる女性とは言えません。特に薩摩はその傾向が強かったので、ギャップが色濃く出ていて…。素直に感じたことをそのまま言ってしまう人ですが、うそがないのは彼女のいいところです。

-糸はお龍とは真逆の女性ですが、お龍は糸をどんなふうに見ているのでしょうか。

 もっと積極的にいけばいいのに…みたいなところでしょうか。糸は奥さんとしてはお手本のような人ですが、もう少し自分の気持ちを素直に伝えてもいいのに…ぐらいのことは思っているはず。だからこそ、ああいうおせっかいをしてしまうのではないかと。ただ、糸の幸せを願っていることは間違いありません。応援の仕方は、あまりにも強引ですが(笑)。

-水川さんから見たお龍の魅力とは?

 とにかく龍馬を愛して、どこまでも付いていく。今回のお龍はそれが一番の魅力です。そこだけは何があっても譲れないという、信念みたいなもの。だから、そういう部分がいろいろなやりとりの中から少しずつ垣間見えると面白いな…と思いながら演じています。

-そんなお龍が心から愛する龍馬の魅力とは?

 次々と新しいことを試みるスケールの大きさがある一方で、後にお龍が語るように「船で世界の海をめぐって商いがしたかっただけ」という個人的な夢も持っている。そういうふうに、大きな夢だけでなく、個人的な夢もきちんと持っているところに魅力を感じます。おかげで、龍馬も普通の人間だと思うことができます。

-龍馬と一緒にいると、いつ命を落とすか分からないスリリングな人生になると思いますが、そういうお龍のような生き方についてはいかがでしょうか。

 心臓が幾つあっても足りません(笑)。すごいなぁ…と。この人を愛して一緒に付いていくと覚悟を決めた彼女のような生き方は、なかなかできるものではありません。とはいえ、後で亡くなったことを知って、「あれが最後だったんだ。もう二度と会えない…」と思うことを考えたら、たとえ危険でも一緒にいた方がいいのかも。邪魔で仕方ないでしょうけど(笑)。

-龍馬役の小栗旬さんと共演した感想は?

 今まで何度も共演していますが、今回は10年ぶりぐらいの共演になります。同世代で20代の頃から、いろんな仲間を交えて飲んだりしていた小栗くんと、こうして大河という大きな舞台で夫婦役をやる…。そう考えると不思議な気持ちになりますが、とても誇らしく、うれしいです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

 世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

Willfriends

page top