「桂小五郎役のオファーを頂いた時は驚きました」玉山鉄二(桂小五郎)【「西郷どん」インタビュー】

2018年8月26日 / 20:50

 西郷吉之助(鈴木亮平)、坂本龍馬(小栗旬)らの尽力により、ついに対立していた薩摩と長州が手を結び、薩長同盟が成立した。以後、両藩は手を取り合って倒幕へと突き進むことになる。この同盟を結ぶ上で、長州側の代表として交渉に当たったのが桂小五郎だ。明治維新後も新政府の中枢で活躍するこの人物を演じるのは、同じ幕末を舞台にした「八重の桜」(13)で、会津藩士・山川大蔵を熱演した玉山鉄二。薩長同盟に至る演技に込めた思いや、桂小五郎を演じる覚悟について語ってくれた。

桂小五郎役の玉山鉄二

-ついに薩長同盟が成立しましたが、吉之助との出会いからここまで、気持ちの動きをどのように考えて演じましたか。

 長州が“朝敵”と呼ばれるようになった原因は薩摩にあります。そういうふうに対立していた藩同士が手を取り合うまでのプロセスは、切なさや憎しみにあふれ、見ていて痛々しいものがありました。ただ、長州に対する薩摩側の思いは、海江田(武次/高橋光臣)をはじめ、いろいろな人が表現していましたが、長州側の薩摩に対する“恨みつらみ”を表現するのは僕しかいない。だから、そこは卑屈さが増してでも強めにやらないと、薩長同盟に至る流れの中で、やや分が悪くなると考え、気を付けて演じました。薩長同盟を結ぶ場面も、いつ破綻するか分からない、糸をピンと張ったような緊張感が続く見応えのあるシーンになったと思います。

-吉之助との芝居については、どのように考えていましたか。

 出会ったばかりの頃は、薩摩に対する憎しみや恨みつらみを、吉之助と大久保(一蔵/瑛太)にぶつけることを意識してやっていました。ただ、吉之助は懐が広く、人の話を受けるのがとてもうまい。だから、時には言ってみたものの、もしかしたら自分が間違っているのではないかと、桂の方が揺れる瞬間もある。そのため、長州側の思いを伝えるとき、ずっと張り合っているばかりでなく、時には「俺は間違ってないよな?」とすがるような感じも出して、深みを出せればと考えました。

-薩長同盟を結ぶ上で、2人の関係をどのように考えましたか。

 当時の薩摩と長州の関係を考えると、どっちが先に頭を下げるかという、とてもシンプルな話です。恐らく、桂本人だけのことであれば、頭を下げることは容易だったでしょう。ただ、彼の後ろには、長州のためなら命も捧げるという藩士がたくさんいる。彼らの意気込みを背負えば背負うほど、こちらから頭を下げることはできなくなる。それは薩摩も同じだったはず。ただ、懐の広さや人の気持ちを受け止めるという点では、吉之助の方が大きかったのかな…と。

-その辺りのお芝居について、鈴木さんとは話し合われたのでしょうか。

 リハーサルの時、「きれいにハマりすぎるのはちょっと嫌だよね」という話をしていました。あの場面で薩長同盟が結ばれることは、皆さんが知っている。だから、見ている方に楽しんでいただくためのポイントは、「われわれが作るプロセスが、どういうラインをたどっていくか」にあります。そういう意味で、例え話として「上から水を落とすとき、みんながコップを持っているところに落とすのではなく、僕たちが右に行ったり、左に行ったり、揺さぶりながらあのシーンを作り上げたいね」と。

-薩長同盟を結ぶ上では、坂本龍馬も大きな役割を果たしました。龍馬役の小栗旬さんの印象は?

 彼とは付き合いが長く、初めて一緒に仕事をしたのは僕が19歳の時。それからも一緒に仕事をしながら、スター街道を突き進む彼の姿を見てきたわけですが、華やかさや人を引きつける部分が、薩長同盟の橋渡しを行う坂本龍馬という役にすごくハマっている。ある意味、現代的な発想や、鋭いナイフのようなひらめきを持ち、その上、とてもセクシーで愛嬌(あいきょう)もある。「龍馬が来ると何かが起きる」という雰囲気をうまく作り上げているなと感心しました。実は、亮平くんとも今回ご一緒する以前に、旬から紹介してもらって一緒にお酒を飲んだことがあったんです。そう考えると、今回、3人がこういう形で共演できたのは、改めて不思議な縁だな…と。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【演劇コラム】人気俳優出演作から大人気原作の舞台化まで、2019年秋冬の注目舞台!

舞台・ミュージカル2019年8月16日

 昨今、夏恒例の音楽番組にミュージカル俳優たちが出演し、見事な歌声を聞かせることも多くなった。このように、大きな盛り上がりを見せているミュージカル、演劇業界だが、実際にはまだまだ劇場に足を運んだことがないという人も多いのでは。そこで、舞台初 … 続きを読む

【インタビュー】ミュージカル「ペテン師と詐欺師」山田孝之&石丸幹二コンビが送る珠玉のコメディー「見終わった後にすごくハッピーな気持ちになれる」

舞台・ミュージカル2019年8月15日

 テレビドラマの脚本・演出や映画監督としても活躍する福田雄一が演出・上演台本を手掛け、山田孝之と石丸幹二がW主演するミュージカル「ペテン師と詐欺師」が9月1日から上演される。2005年にブロードウェーでミュージカル化され、トニー賞で10部門 … 続きを読む

【2.5次元】財木琢磨&古田一紀、久々の共演で共に目指す「生演奏」 「この音とまれ!」インタビュー

舞台・ミュージカル2019年8月13日

 『ジャンプSQ.』に連載中のコミックス(アミュー作)を舞台化し、和楽器「箏(こと)」に情熱を注ぐ高校生たちの青春を描く「この音とまれ!」の公演が8月17日からスタートする。上級生にすら恐れられる不良少年だが仲間思いの優しさを持つ久遠愛を演 … 続きを読む

【映画コラム】日本の近代史を総括するドキュメンタリー映画『東京裁判』

映画2019年8月12日

 ドキュメンタリー映画『東京裁判』(83)が、監督補佐・脚本の小笠原清らの監修のもとで修復され、4Kデジタルリマスター版として8月3日に公開された。  本作は、終戦後の昭和23年に行われた極東国際軍事裁判(通称、東京裁判)の模様を、アメリカ … 続きを読む

「今までミュージシャンとして培ったものを生かして一生懸命、アナウンサーを演じているところです」トータス松本(河西三省)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

ドラマ2019年8月11日

 開幕したロサンゼルス五輪でメダルラッシュの快進撃を見せる日本水泳陣。日本国内にその喜びを伝えたのが報道陣だ。だが、当時のスポーツ報道は発展途上で、さまざまな苦労が伴った。第30回では、現場で見た競技の様子を、あたかも目の前で行われているよ … 続きを読む

アクセスランキング RANKING

page top