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西郷吉之助(鈴木亮平)、坂本龍馬(小栗旬)らの尽力により、ついに対立していた薩摩と長州が手を結び、薩長同盟が成立した。以後、両藩は手を取り合って倒幕へと突き進むことになる。この同盟を結ぶ上で、長州側の代表として交渉に当たったのが桂小五郎だ。明治維新後も新政府の中枢で活躍するこの人物を演じるのは、同じ幕末を舞台にした「八重の桜」(13)で、会津藩士・山川大蔵を熱演した玉山鉄二。薩長同盟に至る演技に込めた思いや、桂小五郎を演じる覚悟について語ってくれた。
長州が“朝敵”と呼ばれるようになった原因は薩摩にあります。そういうふうに対立していた藩同士が手を取り合うまでのプロセスは、切なさや憎しみにあふれ、見ていて痛々しいものがありました。ただ、長州に対する薩摩側の思いは、海江田(武次/高橋光臣)をはじめ、いろいろな人が表現していましたが、長州側の薩摩に対する“恨みつらみ”を表現するのは僕しかいない。だから、そこは卑屈さが増してでも強めにやらないと、薩長同盟に至る流れの中で、やや分が悪くなると考え、気を付けて演じました。薩長同盟を結ぶ場面も、いつ破綻するか分からない、糸をピンと張ったような緊張感が続く見応えのあるシーンになったと思います。
出会ったばかりの頃は、薩摩に対する憎しみや恨みつらみを、吉之助と大久保(一蔵/瑛太)にぶつけることを意識してやっていました。ただ、吉之助は懐が広く、人の話を受けるのがとてもうまい。だから、時には言ってみたものの、もしかしたら自分が間違っているのではないかと、桂の方が揺れる瞬間もある。そのため、長州側の思いを伝えるとき、ずっと張り合っているばかりでなく、時には「俺は間違ってないよな?」とすがるような感じも出して、深みを出せればと考えました。
当時の薩摩と長州の関係を考えると、どっちが先に頭を下げるかという、とてもシンプルな話です。恐らく、桂本人だけのことであれば、頭を下げることは容易だったでしょう。ただ、彼の後ろには、長州のためなら命も捧げるという藩士がたくさんいる。彼らの意気込みを背負えば背負うほど、こちらから頭を下げることはできなくなる。それは薩摩も同じだったはず。ただ、懐の広さや人の気持ちを受け止めるという点では、吉之助の方が大きかったのかな…と。
リハーサルの時、「きれいにハマりすぎるのはちょっと嫌だよね」という話をしていました。あの場面で薩長同盟が結ばれることは、皆さんが知っている。だから、見ている方に楽しんでいただくためのポイントは、「われわれが作るプロセスが、どういうラインをたどっていくか」にあります。そういう意味で、例え話として「上から水を落とすとき、みんながコップを持っているところに落とすのではなく、僕たちが右に行ったり、左に行ったり、揺さぶりながらあのシーンを作り上げたいね」と。
彼とは付き合いが長く、初めて一緒に仕事をしたのは僕が19歳の時。それからも一緒に仕事をしながら、スター街道を突き進む彼の姿を見てきたわけですが、華やかさや人を引きつける部分が、薩長同盟の橋渡しを行う坂本龍馬という役にすごくハマっている。ある意味、現代的な発想や、鋭いナイフのようなひらめきを持ち、その上、とてもセクシーで愛嬌(あいきょう)もある。「龍馬が来ると何かが起きる」という雰囲気をうまく作り上げているなと感心しました。実は、亮平くんとも今回ご一緒する以前に、旬から紹介してもらって一緒にお酒を飲んだことがあったんです。そう考えると、今回、3人がこういう形で共演できたのは、改めて不思議な縁だな…と。
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