「大政奉還を決断した慶喜は内心、かなりドキドキしています」松田翔太(徳川慶喜)【「西郷どん」インタビュー】

2018年9月9日 / 20:50

-そんな吉之助を演じる鈴木亮平さんの印象は?

 とても柔軟で、すごく大きな世界を見ながらやっている気がします。温かさもあって、慶喜も仲間の1人のように扱ってくれるので、一緒にやっていると、対立するシーンでもどこか愛情が感じられ、嫌われている気がしません(笑)。安心感がありますね。

-慶喜を支えるふき(高梨臨)の印象は?

 僕自身は、ああいう女性は苦手です(笑)。ふきは「自分がこう思っている」という発言が少ないんですよね。それよりも「西郷さんから逃げているんですよね」みたいに、慶喜の本心をズバズバ言い当てられることが多く、悔しくなってしまうので…。ふき自身の意思が出ていれば、言い返すこともできるんですけど(笑)。ただ、将軍になっても遠慮なく物を言ってくるので、立場を超えて話ができるところに慶喜は引かれているのでしょう。

-慶喜は、ヒー様のときの町人風の装いから、お殿様らしい風格あるものまで、衣装のバリエーションが豊富です。ご自身で気に入っているものは?

 御所に行くときの冠をかぶった格好が好きです。一見、真っ黒に見えますが、中に赤が入っている他、実は重ね着でいろんな色が入っているんです。かなりこだわりのある衣装で、日本人ならではの“見せない美学”みたいなものが当時からあったのかと思うと、おしゃれだなと。“モード”ですよね(笑)。

-慶喜を見ていると、松田さんが「平清盛」(12)で演じていた後白河法皇を思い出します。キャラクター的に似ている気がしますが…。

 僕も思い出しました。近い部分はありますよね。ただ、人物としては後白河法皇の方が自由で、慶喜の方が政治家らしい。慶喜は、せりふに「!」が多いのが特徴です。どちらも権力の座に就きたくないと考えていた人物ですが、慶喜の方は、その気持ちが途中で変わっています。あちこちから国を変えようとする動きが出てくる中で、中途半端な位置にいるよりは、将軍になった方がいいと。だから、強い人間を演じている。自分は偉いんだと。それを表現するために、人に命令する機会が増える。そのための「!」なのかなと。そういうところは、後白河法皇とは違いますね。

-主人公と対立する役を演じるのは、役者としてはいかがでしょうか。

 ヒール(悪役)を演じるのは好きです。どこか同情できるんですよね、ヒールは。主人公は共感されないと駄目ですが、ヒールは嫌われているところから、いきなり思いを寄せられることがある。そういうところが、演じる面白さです。ただ、ずっと怒鳴っているのは大変。本当はあまり怒りたくないんです(笑)。

(取材・文/井上健一)

徳川慶喜役の松田翔太

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