「見ている方に楽しんでもらえることを常に心掛けています」高橋光臣(海江田武次)【「西郷どん」インタビュー】

2018年8月18日 / 14:09

 一橋慶喜(松田翔太)と決別し、いよいよ倒幕に向けて動き出した西郷吉之助(鈴木亮平)。その幼なじみで、若い頃から行動を共にしてきたのが、薩摩藩士・海江田武次だ。弟たちが桜田門外の変で命を落とし、薩英戦争の引き金となった生麦事件の当事者になるなど、時代の波に翻弄されつつ、波瀾(はらん)万丈の生涯を歩むこととなる。そんな海江田を人間味豊かに演じる高橋光臣が、これまでを振り返り、役に込めた思いを語った。

海江田武次役の高橋光臣

-海江田を演じる上で、意識したことは?

 最初のうちは、勢いを出そうと考えていました。精忠組の若々しさに加えて、後々日本を動かしていく人物の一人になることを考えたとき、そのエネルギー源になるものがほしかったので。さらに、尊王攘夷の過激な思想に染まっていく人物でもあるので、激しさも必要だろうと。そういうところから、やや思慮は浅いながらも、どんどん前に出て行くムードメーカーとして、明るく快活な感じに作っていこうと考えました。

-それは今も変わりませんか。

 今はだんだんそういう雰囲気ではなくなってきています。さらに、仲間の吉之助や大山(格之助/北村有起哉)たちがそれぞれ役職についてくると、場合によっては、今までのように「吉之助さぁ」、「大山さぁ」とは呼びにくくなる。その中で海江田も、明るさや快活な部分は影を潜め、少しずつ影のある重々しい人間になっていくのではないかと。

-役作りに役立ったエピソードなどはありますか。

 「翔ぶが如く」(90)など、海江田が登場する作品を見たとき、どちらかというと“陽”よりも“陰”という印象を受けました。その上で、どう役を作っていこうかと考えながら写真を見ていたら、笑いじわが多いことに気付いたんです。そこで「よく笑っていた人なんだろうな」とひらめき、そういう方向もありかな…と考え、それをベースに役作りをしました。さらに、桜田門外の変で命を落とした弟の代わりに婿養子に入って海江田家の名前を継いだ話など、情に厚い人間だったことをうかがわせる逸話も多かったので、そういう部分も取り入れています。

-海江田の吉之助に対する思いも、昔とは変わってきているのでしょうか。

 吉之助の場合、見ているものが大きすぎるので、海江田も含めて、周りの人間がついていけていない感じです。単に尊王攘夷とか、過激派、保守派みたいなことではなく、吉之助はもっと大きなものを見ている。だから、そこを理解しようとするのはなかなか難しい。現在の視点で当時を振り返ると、全て史実として残っているので、それぞれの考え方の違いは明確です。ただ、当時はみんな同じ時間の中で動いていたので、それぞれが何を考えていのるか、分かっているようで分かっていなかったと思うんです。見方を変えれば、尊王攘夷の過激派だった海江田の考え方も、吉之助に伝わっていたかどうか分かりません。

-同じく仲間だった大久保一蔵(瑛太)のことは、あまり快く思っていないようですね。

 単純に嫉妬ですよね。みんなが斉彬様(渡辺謙)という大きな存在を敬愛していた。だけど今は、その弟の久光(青木崇高)が、能力もないのに国父となって藩を動かしている。そのことに対して腹立たしさを覚えているにもかかわらず、取り入って、自分の思うように動かそうとする大久保のしたたかさ。自分にないそういう部分を尊敬しつつも、仲間だからこそ嫉妬している。そんなところから怒りが湧いてくるのではないかと。

-桜田門外の変で弟たちが亡くなったことは、海江田の生き方にどう影響しているのでしょうか。

 海江田の生涯をたどると、生きることに執着していたように見えます。ただ、桜田門外の変が起きるまでは、もっと過激な思想を持っていたと思うんです。それが、2人の弟が死んだことで、半歩後退した。その後、仲間たちが次々と命を落としていく中で、最後まで生き延びた海江田の人生観は、あそこで形成されたのではないかと。あの事件がなければ、寺田屋事件で亡くなった有馬(新七/増田修一朗)のように、もっと激しい行動に出ていてもおかしくなかった。それぐらい弟たちの死は、海江田にとって大きなものだったに違いありません。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

page top