「鈴木(亮平)くんと思い切って意見をぶつけ合っていきたい」石橋蓮司(川口雪篷)【「西郷どん」インタビュー】

2018年7月1日 / 20:50

 沖永良部島での島流しを終え、薩摩に戻ることとなった西郷吉之助(鈴木亮平)。過酷な日々の中でも、幾つかの幸運な出会いがあった。その1人が、吉之助より前に薩摩藩の罪人として島に送られてきた川口雪篷。吉之助と意気投合した雪篷は後に西郷家に迎えられ、終生、一家を支えていくことになる。演じる石橋蓮司に、出演の意気込み、主演を務める鈴木亮平の印象などを聞いた。

川口雪篷役の石橋蓮司

-川口雪篷を演じることが決まったときの感想は?

 今回、演じることが決まって、そういう人物がいたことを初めて知りました。どんな人物だったのか調べてみても、分かることといったら、西南戦争を経て、最後まで西郷家に居候していたことぐらい。だから、役については中園(ミホ/脚本家)さんの台本を待って作っていこうと考えています。中園さんとは「花子とアン」(14)など、幾つかの作品でご一緒させていただいているので、またその世界を生きることができるのが楽しみです。

-雪篷を演じる上で大事にしていることは?

 一番は西郷との友情です。たくさんの人が西郷と接していくわけですが、最後を見届けるまで居候させてもらうということは、雪篷がよほど気に入られていたということ。お互い、どんなところに引かれ合ったのか。その辺りの友情関係がどうやって築き上げられたのかを見極めながら、大事にやっていきたいと考えています。

-沖永良部島を訪れた感想は?

 実際に沖永良部島に行ってみて、当時、流されていた雪篷の苦労がよく分かりました。史実によると、島の人たちは温かく迎えてくれたそうです。ただ、やはり武士なので、薩摩の動乱の中に身を置いて、自分のポジションを探したい。そんな思いがあったのでしょう。そして、最終的に薩摩に帰ることができたのは、やはり西郷の力が大きかったのだろうなと、肌で感じることができました。

-雪篷は西郷と初めて会ったとき、どんな印象を持ったのでしょうか。

 初めて出会ったとき、西郷は野ざらしの牢に入れられ、食べ物もわずかしか与えられないという、まるで死刑のような状況。それほどの罰を受けることに対して驚きを覚える一方で、じっと耐えているその姿からにじみ出す武士としての信念が、雪篷の美意識に触れたのではないかと。同時に、そんな彼にとって、国を変えるという西郷のいちずな思いは、自分が諦めていたものを刺激する部分もあったに違いありません。久光(青木崇高)が大事にしていた書物を勝手に売って流されたという逸話が残る雪篷ですが、それが本当かどうかは別にしても、少なくとも反体制派であったことは間違いないでしょうから。

-二度の島流しを経験した西郷は、これから明治維新に向かっていきますが、沖永良部島に流されたときはどん底の状態です。初対面の場面を演じた際の鈴木亮平さんの印象は?

 初対面は野ざらしの牢に入っている場面でしたが、そのセットが「これは死ぬよな」というすさまじいもの(笑)。しかも場所は強風が吹いている海辺で、ものすごく寒い。そんなところで薄い衣装を着て演じるわけですが、一度牢に入ると、簡単に外に出ることができないんです。だから、撮影の準備をしている間、中でじっと耐えている姿を見て、「頑張っているな」と。そういう凄惨(せいさん)な場面から入れたので、いい出会いになったと思います。

-鈴木さんとの共演の感想は?

 鈴木くんのことは以前から知っていますが、顔を合わせて芝居をするのは、恐らく初めて。非常にタフで、撮影を頑張っています。年齢的にも絶好の時期だと思うので、そういうエネルギーが役に反映して内からにじみ出てくれば、面白くなるのではないでしょうか。台本上では、その辺りをなだめたり、少し道を外れたようなときに修正してあげたりするのが、僕の役どころなのかなと思いながら見ています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

井内悠陽「自分を貫くことは大切。でも、時には柔軟性も必要」 映画『爆上戦隊ブンブンジャー』で映画初主演を飾る20歳の新星【インタビュー】

映画2024年7月27日

 7月26日から公開中の『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』は、テレビ朝日系で大人気放送中のスーパー戦隊シリーズ第48作「爆上戦隊ブンブンジャー」初の劇場版だ。本作でブンブンジャーのリーダー、ブンレッド/範道 … 続きを読む

田中真弓「70歳、新人のつもりで頑張っています」憧れだった朝ドラレギュラー出演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年7月26日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。新潟地家裁三条支部に赴任し、娘・優未(竹澤咲子)と2人だけの暮らしに苦労する主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)を助けるため、かつて花江(森田望智)の家で女中として働き、第7週で故郷の新潟に帰った稲が … 続きを読む

真彩希帆、憧れの「モーツァルト!」でコンスタンツェ役 「この作品を見に来て良かったと感じていただきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年7月26日

 「才能が宿るのは肉体なのか?魂なのか?」という深遠なテーマをベースに、その高い音楽性と重層的な作劇で“人間モーツァルト”の35年の生涯に迫る、ミュージカル「モーツァルト!」が、8月19日から帝国劇場にて上演される。2002年の日本初演以来 … 続きを読む

【週末映画コラム】歴史の「if」を描いた2本『もしも徳川家康が総理大臣になったら』/『お隣さんはヒトラー?』

映画2024年7月26日

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(7月26日公開)  新型コロナウィルスがまん延した2020年。首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は、最後の手段として、歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活 … 続きを読む

鈴木梨央「特撮映画の魅力を実感しました」子役時代から活躍してきた若手俳優が、ファンタジー映画に主演『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』【インタビュー】

映画2024年7月25日

 高校生の時宮朱莉は、謎の男・穂積(斎藤工)と出会い、特殊美術造形家だった亡き祖父・時宮健三(佐野史郎)が制作を望んだ映画『神の筆』の世界に入り込んでしまう。怪獣ヤマタノオロチによって、その世界が危機にひんしていることを知った朱莉は、同級生 … 続きを読む

Willfriends

page top