「精忠組は他の俳優がうらやましがるぐらい、いい雰囲気でした」増田修一朗(有馬新七)【「西郷どん」インタビュー】

2018年6月17日 / 20:50

 動乱の幕末、世を変えようと立ち上がった有馬新七だったが、説得に来た大山格之助(北村有起哉)らとの交渉が決裂。壮絶な斬り合いの末に散っていった。世にいう「寺田屋騒動」である。有馬の死は、幼なじみである吉之助(鈴木亮平)たちの心に深い傷を残すことになった。有馬を演じた増田修一朗が、寺田屋騒動に至る心情や、これまでの撮影を振り返ってくれた。

有馬新七役の増田修一朗

-有馬新七は寺田屋騒動で壮絶な最期を遂げました。今のお気持ちは?

 寺田屋騒動の有馬というと、剣術に長けていたことから、壮絶に戦って散ったという武勇伝的なイメージで知られています。でも今回は、そういった部分よりも、感情的なものに重きを置いて演じるつもりでした。ただ、そのときの演技については、本番まで深く考えることはしませんでした。この1年、みんなと一緒に芝居をしてきたので、そのときになれば何らかの感情は湧いてくるはず…。そう思っていたので。

-実際に演じてみた感想は?

 撮影で一緒だったのは、(北村)有起哉さんと(錦戸)亮くん(西郷信吾役)だけでしたが、最期の瞬間はみんなの顔が頭に浮かび、感情があふれてきました。せりふも「吉之助、すまん」の一言ですが、そこにはみんなに対する気持が詰まっています。

-寺田屋騒動のときの有馬の心情を、どんなふうに捉えましたか。

 これでいいのかという思いと、誰かがやらなければという思い。その二つの間で揺れていたに違いありません。それを表現するため、演出の方と相談して、テストではあまり動かずに芝居をしていましたが、本番ではもっと動く芝居に変えました。これによって、剣と剣を交えるピリピリした緊迫感とは違った、「これでいいのか?」という迷いを含んだ同士討ちの緊張感を醸し出すことができたと思っています。

-有馬はなぜ、命を懸けてまで尊王攘夷に走ったのでしょうか。

 有馬は頭が切れる人物なので、知恵を絞って世の中を変えようとしていたはずです。ただ、それがうまくいかず、けじめをつけるために死に場所を探していた。自分が犠牲になることで、成し遂げようとしていたことを継ぐ人が出てきて、世の中を変えるきっかけになる。僕は有馬の真意をそう解釈して演じました。

-脱藩前、大久保一蔵(瑛太)から説得される場面(第22回)も印象的でした。

 今まで、吉之助や大久保と2人で芝居をすることがなかったので、あの場面では有馬の本心や年上ならではの優しさをうまく表現したいと考えていました。ただ、演じている中で少し違った感情が生まれてきたので、台本通りではありません。大久保とのシーンは、土下座して脱藩を止めようとする大久保に「立て」と言う予定だったんです。でも、それだと違和感があったので、僕も腰を落として、同じ目線で「行かなければいけないんだ」と、兄が弟を優しく諭すような芝居にしました。

-同じ回で吉之助と対峙する場面もありました。

 あそこも、もともと台本では緊張感が高まって終わるはずでした。でも、僕はそれを緩和して終わりたかった。有馬が今まで吉之助という存在をどう感じていたのか。その本心をこのやり取りで見せたかったんです。そうすることで寺田屋騒動が生きてくるに違いない。そう思ったので。そこで、監督に相談した上で、リハーサルでは熱い感じだったのを、亮平くんには黙ったまま本番では芝居を変えて、仕掛けてみました。亮平くんのリアルなリアクションが引き出せたと思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】新旧監督の話題作が並んで公開に『TOKYOタクシー』『金髪』

映画2025年11月22日

『TOKYOタクシー』(11月21日公開)  タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を東京の柴又から神奈川県の葉山にある高齢者施設まで乗せることになった。  すみれの「東京の見納めに、いくつか寄ってみたい … 続きを読む

中川晃教「憧れることが原動力」 ミュージカル「サムシング・ロッテン!」で7年ぶりにニック役に挑戦【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月22日

 数々のミュージカル作品へのオマージュが登場するコメディーミュージカル「サムシング・ロッテン!」が12月19日から上演される。2015年にブロードウェイで初演された本作は、「コーラスライン」、「アニー」、「レ・ミゼラブル」などの人気ミュージ … 続きを読む

岩田剛典、白鳥玉季「全編を通してくすっと笑えるコメディー映画になっていますので、気楽な気持ちで映画館に来ていただきたいです」『金髪』【インタビュー】

映画2025年11月21日

 日本独特のおかしな校則、ブラックな職場環境、暴走するSNSやネット報道といった社会問題を背景に、大人になりきれない中学校教諭が、生徒たちの金髪デモに振り回されながら成長していく姿を、坂下雄一郎監督がシニカルな視点で描いた『金髪』が全国公開 … 続きを読む

加藤清史郎&渡邉蒼「僕たちも今、夜神月に巻き込まれている」 子役出身の二人が挑む「デスノート THE MUSICAL」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月21日

 映画やドラマ、アニメなど幅広いメディア展開を遂げてきた人気漫画「DEATH NOTE」のミュージカル版「デスノート THE MUSICAL」が11月24日から上演される。2015年に日本で世界初演された本作は、原作のスリリングな物語を世界 … 続きを読む

なにわ男子・大西流星「“timeleszのお兄さん”な原くんは印象通り」 timelesz・原嘉孝「流星は優しくてしっかりしてる子」 1月期ドラマでW主演【インタビュー】

ドラマ2025年11月20日

 なにわ男子・大西流星と、timelesz・原嘉孝がW主演する「東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ 横浜ネイバーズ Season1」が、2026年1月から放送がスタートする。  本作は、令和版『池袋ウエストゲートパーク』として注目を … 続きを読む

Willfriends

page top