「亮平さんの芝居に対する姿勢やお話の全てが勉強になりました」斎藤嘉樹(土持政照)【「西郷どん」インタビュー】

2018年6月24日 / 20:50

 国父・島津久光(青木崇高)の命に背いた罪で沖永良部島へ送られた西郷吉之助(鈴木亮平)。そこで出会ったのが、薩摩藩の役人として吉之助の世話をする土持政照だ。島出身ながら薩摩で学問を身に付けた土持は、献身的に吉之助を支え、やがて義兄弟の契りを交わすこととなる。土持役でフレッシュな演技を披露しているのは、期待の若手俳優・斎藤嘉樹。初めての大河ドラマ、初めての時代劇となった本作の現場で感じたことや、鈴木亮平との共演について語ってくれた。

土持政照役の斎藤嘉樹

-第24回、嵐の中で牢に入れられたまま衰弱している西郷を、土持が助けようとするシーンはすごい迫力でした。どんなことを考えて演じましたか。

 実はあまり覚えていないんです。美術が非常にリアルで、スタッフさんたちも緊張感のある空気を作ってくれた上に、本物の嵐が来て、雨もものすごくて…。完全に役に入り込むような状況だったので、始まるまでは「助ける!」という気持ちで集中していたのですが、始まった後は何も覚えていません。多分、せりふにないことも言っていたんじゃないかと…。僕も、どんな気持ちだったか知りたいぐらいです(笑)。

-初の時代劇、初の大河ドラマということですが、出演が決まったときのお気持ちは?

 とにかくびっくりしました。今までの経験上、僕には時代劇の演技論というものが全くない状態だったので。もちろんテレビでは見ていましたが、それを自分で表現できるのかな…?など、不安が大きかったです。所作も現代とは違うので、ものすごく勉強しました。

-土持政照は実在の人物ですが、演じる難しさはありましたか。

 いろいろ調べてみたのですが、西郷さんのことは詳しく書いてあっても、土持さんのことは、“こういうことがありました”という出来事ぐらい。人柄や性格までは分からず、「きついな…」と思ったまま沖永良部島に行くことになりました。ところが、ちょうど撮影初日が強風で休みになったんです。そこで、西郷記念館など、ゆかりの場所を回らせてもらいました。そうしたら、僕が土持役だと知った地元の方々が、いろいろなことを教えてくれて…。おかげで、僕の中でどんどん土持という人が確立されていきました。役作りの面では、島の皆さんにすごく助けられました。

-実際に演じてみた感想は?

 亮平さんがいろいろなアドバイスをくれたので、2人で「ここはこうでは?」、「このせりふ、俺はこう思う」などと話し合いながら、芝居を作っていきました。その結果、台本で「西郷先生」と呼んでいた部分を、義兄弟の契りを交わした後は「西郷さぁ」に変更させてもらったりもしています。

-鈴木亮平さんの印象は?

 初めて会ったとき、「よろしくお願いします」と笑顔で丁寧にあいさつをしていただいて、とても温かい人だなという印象を受けました。撮影に入ると、最初のうちは距離があって何を話していいのか分からない感じでしたが、今ではもう、お互いに目を見てうなずくだけで会話ができるくらいになりました。セッションなんかもできたので、まるで兄弟のような気分です(笑)。

-鈴木さんが演じる西郷はいかがでしょうか。

 すごいです。まず、押さえている情報量が半端ではありません。何を聞いても必ず答えが返ってきますから。西郷隆盛以上に西郷さんのことを知っているのではないかと。たたずまいも、まさに“西郷さん”といった雰囲気で、手を広げて待っていてくれるような懐の広さを感じるので、「西郷さぁ」と呼びかけるときも、遠慮なく向かっていくことができます。そういうところから役作りしているんだなと、改めてすごさを感じました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

城田優が語るミュージカル映画の魅力 「ただ画面を見ていれば物語に入り込める」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月29日

 本場ブロードウェイの舞台を中心に数々の傑作を映画館で楽しめる「松竹ブロードウェイシネマ」が、10月31日から「松竹ブロードウェイシネマ 2025秋」と題した連続上映を開催。トニー賞などを受賞した「エニシング・ゴーズ」「インディセント」「タ … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語」』(6)オノマトペに浸かる

2025年10月28日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼それは漫画本だった  玉秀斎が小 … 続きを読む

草なぎ剛「やっぱりすごい…。心からリスペクトしています」 風吹ジュン「学ぶことも多く、新しい意識が生まれるドラマ」「終幕のロンド」【対談インタビュー】

ドラマ2025年10月27日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。このドラマは、遺品整理人の鳥飼樹(草なぎ剛)が、遺品整理会社の仲間たちと共に、さまざまな事情を抱えた家族に寄り添い … 続きを読む

沢村一樹「勝負は“確認作業”」 孤高の馬主が見つめる“真の競馬”とは 「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年10月27日

 勝っても笑わず、負けても怒らない。日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」で沢村一樹が演じるのは、大手人材派遣会社を率いる敏腕経営者で、日本競馬界有数の馬主の一人、椎名善弘。冷静沈着で、どんな勝負にも動じない男だ。そんな椎名を演じるに当たり、本 … 続きを読む

長尾謙杜&山田杏奈&石原慎也(Saucy Dog)が話題の映画でタッグ!「主題歌が主人公たちの気持ちを表している」『恋に至る病』【インタビュー】

映画2025年10月24日

 10月24日公開の『恋に至る病』は、TikTokで話題になるなどティーンを中心に絶大な支持を集める斜線堂有紀のベストセラー小説を映画化した話題作だ。  内気な男子高校生・宮嶺望と学校中の人気者・寄河景。同じクラスになった2人は距離を縮めて … 続きを読む

Willfriends

page top