【インタビュー】「連続ドラマW ダブル・ファンタジー」水川あさみ、「表現こそ自由」コンプライアンスまみれの世界に覚える憂いと反抗心

2018年6月1日 / 12:00

 それは、目の前のことで精いっぱいで、どうにもならない自分にもがき苦しんだ20代を経験し、30代で独立し、新しい環境に身を置き、奈津のように自分らしく生きている水川だからこそ言える言葉だ。その証拠に、「大変なことも多いけど、今は自分にうそがなく、すこやかで、何がしたいか、どうあるべきかが明確になって、すごく楽しい!生きている実感がある」と声を弾ませた。

 そして、「表現できないことが増えていることに不安を感じる中で、この作品ができたことは大きい」と胸を張った。今のテレビ界では、そのシーンにおいて必要であるにもかかわらず、「脱げないし、いつの間にかシートベルトをしているという、たくさんの不思議なこと」が起きている。

 それに対して「疑問を感じながらお芝居をすることに、どの役者もきっと頭を抱えながらやっていると思う」と憂う水川は、「表現こそ自由だから、それを見ている人が面白がってくれないと、この世界は成立しない」と声を上げる。

 同時に、「お芝居の中でできることはたくさんあるのに、表現の幅が狭くなるし、事務的に規制線を張る感じがもったいない」と残念がると、「この作品が一つの道しるべになれば…」と大いなる期待を寄せた。

 何かにつけて批判の的にされてしまうご時世だが、それを厭うことなく、毅然としたたたずまいで、正面切って本音を語る水川の姿は何ともしたたかで美しい。彼女の存在もまた、これからの時代を生きる女優たちの道しるべになることだろう。

(取材・文・写真/錦怜那)

「連続ドラマW ダブル・ファンタジー」

「連続ドラマW ダブル・ファンタジー」WOWOWプライムで6月16日から毎週土曜午後10時放送(全5話/第1話無料放送)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)  真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺に引っかかり大金をだまし取られてしまう。  熊沢は、親友で刑事の八木(皆川猿時)の … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

-なるほど。では、公演が12月ということで、2024年の振り返りをお願いします。  今年は自分で掲げた目標に対しての成果も感じることができたので、充実した1年でした。これまではどこかで「やらされている」という感覚があって、自分の意志でできた … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

  Q:合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。 早川 中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした「伊藤塾」のオンライン授業を夜10時 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

-お2人は今回初共演となりますが、現場での様子はいかがでしたか。 八村 「シェアハウス対ユウ」という構図がある中で、共演者の方々とどういう距離感で接すればいいのか、だいぶ悩みました。でも僕は、役のために距離を取ったりすることが苦手なんです。 … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top