【インタビュー】「連続ドラマW ダブル・ファンタジー」水川あさみ、「表現こそ自由」コンプライアンスまみれの世界に覚える憂いと反抗心

2018年6月1日 / 12:00

 「コンプライアンス」「自主規制」が叫ばれる昨今、それはドラマや映画にも影響し、思わず首をかしげるシーンが増えた。女優・水川あさみも「無理やり車に乗せられた人が、次の場面ではシートベルトをしていて、なんで?と思う」と苦笑いする。そもそも架空の物語なのだから現実社会のルールをガチガチに適用する必要はないのだが、そうもいかず、なんとも窮屈になってしまったこの世界で、水川は不倫と大胆な性描写を描いた衝撃作でヒロインを演じ、物おじせずに「表現こそ自由」と訴える。その胸に秘めた思いとは…。

水川あさみ

 直木賞受賞作家・村山由佳氏の同名小説が原作の本作は、夫の支配と性の不一致から逃れるために家を出た35歳の女性脚本家・高遠奈津が、次々と男に抱かれ、性の快楽に溺れながらも、女の人生を生き尽くす姿を描いた官能ドラマだ。

 20年以上のキャリアを持ち、これまでにさまざまな役柄を演じてきた水川だが、「大胆な性描写のある作品や役に出会ったことがなかった」という。そのため、「とても驚きましたが、34歳というこの年になってこそできるのかなと思ったし、今までにない自分が引き出されたらいいなと思ってチャレンジしました」とオファーを受けた当初を振り返った。

 そうして不安と緊張を抱えながら飛び込んだ現場だが、ぬれ場のシーンでは「スタッフが、いかにきれいに、セクシーに見えるかを真剣に考えてくれて、みんなで作り上げていく感じがあった」そうで、「身構えていたのがばかみたいでした」とあっけらかんと笑った。

 水川は、自由を求める奈津に共感するものの、「求める欲の幅が大きいから大変ですね…(笑)」と客観視すると、「肉体的に満たされることで、精神的な充足感を得るところは男性的だと思うので、奈津のそういう部分を理解することは大変難しかったです」と苦労ものぞかせた。

 とはいえ、本作を通じて得たものは大きく、役の幅が広がっただけでなく、「女性にしかできない役をできたことは自信になりました」とにっこり笑う。なぜなら、女優という仕事は、目まぐるしい撮影に耐えるタフな肉体と精神が必要で、時折「女である自分がどこにいるのか忘れたりする」のだとか。だからこそ、奈津を演じることで「ちゃんと自分の中に女がいると確認できた」と安堵(あんど)したという。

 さらに「新しいことにチャレンジすることは、年齢を重ねるごとに怖くなるけど、そういうことに屈しないメンタルでいたい」と今後も挑戦し続ける姿勢を見せた。

 そんな水川は、本作について「社会的秩序を論破した作品だから、爽快と思ってくれる人がいてくれればうれしい。それに、奈津は性の部分での自由を求めたけど、何に自由を求めるかは人それぞれだから、たくさんの女性の背中を押す作品になればいいな」と目を輝かせた。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

渡辺大知「僕が演じた駒井という人物そのものがカメラの役割を果たしています」『道行き』【インタビュー】

映画2026年2月23日

 大阪から奈良に移住してきた青年・駒井は、御所市に代々暮らす老人・梅本から購入した古民家の改修工事を進めている。たびたび様子を見に訪れる梅本が語る昔の町や家に流れてきた時間の話が、駒井に大切な風景を思い出させる。『おばけ』でPFFアワード2 … 続きを読む

吉田恵里香氏「寅子の視点では描けなかったものを、どれだけ描けるか」「虎に翼」スピンオフに込めた脚本家の思い「山田轟法律事務所」【インタビュー】

ドラマ2026年2月23日

 2024年に放送されたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」。女性として日本で初めて法曹界に飛び込んだ佐田寅子(伊藤沙莉)の歩みを描いた物語は大きな反響を呼ぶと共に、第62回ギャラクシー賞テレビ部門大賞に輝くなど、高い評価を受けた。そのスピンオ … 続きを読む

【映画コラム】2月前半の公開映画から『ほどなく、お別れです』『クライム101』『ブゴニア』

映画2026年2月21日

『ほどなく、お別れです』(2月6日公開)  就職活動に苦戦する美空(浜辺美波)には、亡くなった人の姿が見え、声を聞くことができるという秘密があった。そんな彼女の能力に気付いた葬祭プランナーの漆原(目黒蓮)は、美空を葬祭プランナーの道へといざ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(12)道明寺天満宮と歴史の英雄たち ~野見宿禰、白太夫、そして道真~

舞台・ミュージカル2026年2月19日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。     ▼相撲 … 続きを読む

小林聡美、名作ドラマ「岸辺のアルバム」 舞台化は「今の時代も共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年2月19日

 小林聡美が主演する舞台「岸辺のアルバム」が、4月3日から上演される。本作は、数々の名作ドラマを世に残した山田太一が原作・脚本を務め、1977年に放送された連続ドラマを舞台化。一見平和で平凡な中流家庭の崩壊と再生を描く。ドラマでは八千草薫が … 続きを読む

Willfriends

page top