エンターテインメント・ウェブマガジン
「コンプライアンス」「自主規制」が叫ばれる昨今、それはドラマや映画にも影響し、思わず首をかしげるシーンが増えた。女優・水川あさみも「無理やり車に乗せられた人が、次の場面ではシートベルトをしていて、なんで?と思う」と苦笑いする。そもそも架空の物語なのだから現実社会のルールをガチガチに適用する必要はないのだが、そうもいかず、なんとも窮屈になってしまったこの世界で、水川は不倫と大胆な性描写を描いた衝撃作でヒロインを演じ、物おじせずに「表現こそ自由」と訴える。その胸に秘めた思いとは…。
直木賞受賞作家・村山由佳氏の同名小説が原作の本作は、夫の支配と性の不一致から逃れるために家を出た35歳の女性脚本家・高遠奈津が、次々と男に抱かれ、性の快楽に溺れながらも、女の人生を生き尽くす姿を描いた官能ドラマだ。
20年以上のキャリアを持ち、これまでにさまざまな役柄を演じてきた水川だが、「大胆な性描写のある作品や役に出会ったことがなかった」という。そのため、「とても驚きましたが、34歳というこの年になってこそできるのかなと思ったし、今までにない自分が引き出されたらいいなと思ってチャレンジしました」とオファーを受けた当初を振り返った。
そうして不安と緊張を抱えながら飛び込んだ現場だが、ぬれ場のシーンでは「スタッフが、いかにきれいに、セクシーに見えるかを真剣に考えてくれて、みんなで作り上げていく感じがあった」そうで、「身構えていたのがばかみたいでした」とあっけらかんと笑った。
水川は、自由を求める奈津に共感するものの、「求める欲の幅が大きいから大変ですね…(笑)」と客観視すると、「肉体的に満たされることで、精神的な充足感を得るところは男性的だと思うので、奈津のそういう部分を理解することは大変難しかったです」と苦労ものぞかせた。
とはいえ、本作を通じて得たものは大きく、役の幅が広がっただけでなく、「女性にしかできない役をできたことは自信になりました」とにっこり笑う。なぜなら、女優という仕事は、目まぐるしい撮影に耐えるタフな肉体と精神が必要で、時折「女である自分がどこにいるのか忘れたりする」のだとか。だからこそ、奈津を演じることで「ちゃんと自分の中に女がいると確認できた」と安堵(あんど)したという。
さらに「新しいことにチャレンジすることは、年齢を重ねるごとに怖くなるけど、そういうことに屈しないメンタルでいたい」と今後も挑戦し続ける姿勢を見せた。
そんな水川は、本作について「社会的秩序を論破した作品だから、爽快と思ってくれる人がいてくれればうれしい。それに、奈津は性の部分での自由を求めたけど、何に自由を求めるかは人それぞれだから、たくさんの女性の背中を押す作品になればいいな」と目を輝かせた。
映画2025年11月22日
『TOKYOタクシー』(11月21日公開) タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を東京の柴又から神奈川県の葉山にある高齢者施設まで乗せることになった。 すみれの「東京の見納めに、いくつか寄ってみたい … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年11月22日
数々のミュージカル作品へのオマージュが登場するコメディーミュージカル「サムシング・ロッテン!」が12月19日から上演される。2015年にブロードウェイで初演された本作は、「コーラスライン」、「アニー」、「レ・ミゼラブル」などの人気ミュージ … 続きを読む
映画2025年11月21日
日本独特のおかしな校則、ブラックな職場環境、暴走するSNSやネット報道といった社会問題を背景に、大人になりきれない中学校教諭が、生徒たちの金髪デモに振り回されながら成長していく姿を、坂下雄一郎監督がシニカルな視点で描いた『金髪』が全国公開 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年11月21日
映画やドラマ、アニメなど幅広いメディア展開を遂げてきた人気漫画「DEATH NOTE」のミュージカル版「デスノート THE MUSICAL」が11月24日から上演される。2015年に日本で世界初演された本作は、原作のスリリングな物語を世界 … 続きを読む
ドラマ2025年11月20日
なにわ男子・大西流星と、timelesz・原嘉孝がW主演する「東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ 横浜ネイバーズ Season1」が、2026年1月から放送がスタートする。 本作は、令和版『池袋ウエストゲートパーク』として注目を … 続きを読む