【インタビュー】「どこにもない国」内野聖陽 知られざる歴史上の偉人伝に感服

2018年3月20日 / 17:02

 第2次大戦の終戦後、ソ連占領下の満州にとり残され、略奪、暴行、病気、飢え、寒さなどで死にひんした150万を超える日本人の帰国を実現に導くため、命を懸けて奔走した男たちの戦いと、彼らを支えた妻の愛を、中国ロケを交えた壮大なスケールで描いたNHKドラマ「どこにもない国」(前編は3月24日、後編は31日の午後9時から放送)。実話を基にした本作で、主人公・丸山邦雄役を演じた内野聖陽が、本作に込めた熱い思いや撮影エピソードなどを語ってくれた。

丸山邦雄役を演じた内野聖陽

-命を賭して大勢の人の命を救った人物といえば、ナチス・ドイツに迫害されていたユダヤ人を助けた杉原千畝さんやオスカー・シンドラーさんが有名ですが、丸山さんの名前は初めて聞きました。

 私も全く知らなかったので、歴史の教科書に載っていない方がこんなにすごいことをしていたんだと驚きました。作品のお話を頂いてからは、あらゆる本を読んで、丸山さんや満州について勉強しました。

-丸山さんは信念を貫き、米国仕込みの英語力を武器に満州脱出を成し遂げ、日本政府やGHQに日本人の引き揚げを訴え続けた方ですが、どのような印象を持たれましたか。

 理想の在り方を求める純粋さと、自分を動かすパワーを持ち、悪法は変えていかなければいけないと戦い続けた人だと思います。ただ、そのひたむきさは、一方では危険でもあり、この男が暴走すると怖いぞ…とも感じました。

-外交官でも政治家でもなく、満州製鉄株式会社の一社員ということも意外でした。

 大学で政治学を学んだ学者肌の方だから、こういうことができたんでしょうね。劇中に「病気、暴力、寒さ、飢えから同胞を救えるのは最終的に武力ではない、人間の信念だけだ。政治を学ぶということは、その信念を学ぶことだ」という彼らしいせりふがあるんです。

-どのような役作りをされましたか。

 イメージは「危なっかしいおじさん」。自分の信念だけで動く人なので、資金もないのに行動に出ようとする、少し抜けている感じもうまく出せればいいなと思っていました。それから、丸山さんが日比谷で行った「至誠天に通ず」というスピーチの写しを持って、撮影中も時折読み返していました。満州に引き揚げ船を出すことが急務であることを情熱的かつ論理明晰(めいせき)に語っているのですが、つまりは「真の思いを持って事に当たれば、必ずそれは天に届く」というメッセージなんです。その諦めない不屈の精神こそが彼の原動力と思い、演じる上での核にしていました。

-英語が堪能な役柄で、流ちょうに話されていましたが、もともと得意なのですか。

 大学時代に英語劇はやっていたけれど、海外留学の経験もないし、ネイティブのように話せるわけでもないので、企画を頂いた時点で、プロデューサーに「私でいいの?」と確認しました。だから特訓の毎日でしたよ。「あんたの英語が上手過ぎたから、俺たちは捕まったんだ」と非難されるせりふがあって、それが一番のプレッシャーでした(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』『栄光のバックホーム』

映画2025年11月29日

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(12月5日公開)  太平洋戦争末期の昭和19年。21歳の日本兵・田丸均(声:板垣李光人)は、南国の美しい島・パラオのペリリュー島にいた。漫画家志望の田丸はその才能を買われ、亡くなった仲間の最期の雄姿を遺族 … 続きを読む

氷川きよし、復帰後初の座長公演に挑む「どの世代の方が見ても『そうだよね』と思っていただけるような舞台を作っていきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月29日

 氷川きよしが座長を務める「氷川きよし特別公演」が2026年1月31日に明治座で開幕する。本作は、氷川のヒット曲「白雲の城」をモチーフにした芝居と、劇場ならではの特別構成でお届けするコンサートの豪華2本立てで贈る公演。2022年の座長公演で … 続きを読む

岸井ゆきの「夫婦の“切実さ”が描かれている」宮沢氷魚「すごくやりがいがありました」すれ違っていく夫婦役で初共演『佐藤さんと佐藤さん』【インタビュー】

映画2025年11月28日

 大学で出会った佐藤サチと佐藤タモツはたちまち意気投合し、一緒に暮らし始める。ところが卒業後、弁護⼠を⽬指すタモツは司法試験に失敗。独学を続けるタモツに寄り添うため、サチも司法試験に挑むが、数年後、合格したのはサチだった。結婚、出産を経て弁 … 続きを読む

28歳で亡くなった阪神タイガースの元選手の実話を映画化! 松谷鷹也「横田慎太郎さんのことを知っていただきたい」前田拳太郎「誰かの背中を押す作品になるはず」『栄光のバックホーム』【インタビュー】

映画2025年11月28日

 プロ野球、阪神タイガースの将来を担う選手として期待されながらも、21歳で脳腫瘍を発症して引退、その後も病気と闘いながら講演会活動などを続け、2023年に28歳で亡くなった横田慎太郎の生きざまを描いた『栄光のバックホーム』が、11月28日か … 続きを読む

吉高由里子「忘れかけていたことをいきなり思い出させてくれる」 念願の蓬莱竜太と初タッグ パルコ・プロデュース2025「シャイニングな女たち」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月28日

 吉高由里子が2022年の「クランク・イン!」以来、3年ぶりに舞台主演を果たす。吉高が挑むのは、日常に潜む人間の葛藤や矛盾を丁寧にすくい取り、鋭い視点の中にユーモアを織り交ぜる作風で共感を呼んできた蓬莱竜太が描く新作舞台、パルコ・プロデュー … 続きを読む

Willfriends

page top